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売掛保証とは? ファクタリングとの違いや利用するメリット・デメリット、手順などを徹底解説

最終更新日:2024年08月01日

売掛保証とは、未回収の企業の売掛金を保証するサービスです。どのようなメリットやデメリットがあるのか、またどのように利用すればよいのか、分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、売掛保証サービスの概要やファクタリングとの違いについて解説します。また、売掛保証のメリット・デメリットや利用する手順、サービス選びのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

売掛保証とは?

売掛保証とは、売掛金の回収が難しい場合や、できなくなった場合に、売掛金額を保証するサービスです。

企業間の掛取引では、売上が確定してから入金までに時間差が生じるため、その間にキャッシュフローに影響を与えます。万が一、取引先の倒産などにより売掛金が回収不能となれば、全額が損失となってしまうことから、自社の経営に深刻な影響を及ぼす恐れもあります。

売掛保証を利用すれば、売掛金が未回収になるリスクを軽減可能です。例えば取引先の信用度に不安がある場合や、多数の取引先を抱えていて与信管理が難しい場合、あるいは長期にわたる大口の売掛債権を保有している場合などに有効な手段となります。

万が一の事態が発生しても、売掛金が保証されるため、企業の財務的な安定性を高められ、安心して事業を展開できるでしょう。

ファクタリングとどう違う?

売掛金に関するサービスには、売掛保証の他にファクタリングがあります。

これらのサービスはどちらも企業の資金管理に関連するサービスです。しかし、サービスの目的と仕組みは大きく異なります。

売掛保証は保証型ファクタリングとも呼ばれており、主に売掛金の未回収リスクに備えるために利用されるサービスです。取引先からの入金が滞ったり、支払われなかったりした場合、保証会社が代わりに支払いを行います。この場合、売掛債権は売掛保証の利用者(企業)が保有しており、取引先への入金要求も継続することになります。

一方、ファクタリングの目的は、主に資金調達です。

売掛金をできるだけ早く現金化したい場合に利用されるサービスで、売掛債権をファクタリング業者に売却することで、予定入金日より早く資金を得られるのが特徴です。

この場合、売掛債権はファクタリング業者に移転するため、取引先への入金要求は不要となります。

これらのサービスの大きな違いは、売掛債権の所有権と資金調達のスピードにあります。ただし、具体的な契約内容は業者やプランによって異なるため、事前に詳細を確認することが大切です。

売掛保証を利用するメリット

売掛保証を利用した場合のメリットは次の通りです。

・売掛金が未回収になるリスクの解消になる
・与信管理業務の手間が軽減される
・取引先に知られずに利用できる

それぞれ詳しく解説します。

売掛金が未回収になるリスクの解消になる

売掛保証を利用すれば、売掛金が未回収になる「貸し倒れ」のリスクを回避できるメリットがあります。

貸し倒れとは、取引先の倒産などにより、売掛金や受取手形の回収が不可能になることを指します。

貸し倒れは企業の資金繰りに深刻な影響を与えます。特に特定の取引先に大きく依存している企業にとっては、存続の危機につながる恐れもあるでしょう。

売掛保証を利用すれば、取引先が倒産して売掛金の回収ができない場合でも、業者が売掛金に相当する金額を支払ってくれるため、貸し倒れリスクを軽減できます。企業は安定したキャッシュフローを維持しやすくなり、事業継続の確実性を高められる他、新規取引先との取引開始や既存取引先との取引拡大も積極的に行えるでしょう。

与信管理業務の手間が軽減される

取引先の与信管理業務の手間を軽減できるのも、売掛保証のメリットです。

信用取引を行う場合、取引先の与信調査と審査は欠かせません。しかし、企業にとってはこれらの業務を専門的に行う部署の設置が難しい他、必要な情報を収集することも困難なケースが多いのが実状です。

売掛保証サービスを利用すれば、企業は与信管理業務を外部に委託することができます。

そのため、与信管理のスキルや経験が不足している企業でも、専門的な視点から取引先の信用度を適切に判断できるようになります。

また、企業は人的リソースや時間を本業に集中させることができるため、生産性の向上につながる他、専門家による与信判断によって、新規取引先の開拓や既存取引先との取引拡大においても、確実な意思決定が可能です。

取引先に知られずに利用できる

売掛保証は、取引先に知られずに利用できるメリットがあります。このサービスでは、取引先への直接的な調査や連絡を必要としないためです。

そのため、企業間の信頼関係を損なうリスクを抑えられます。

売掛保証では、通常の信用調査とは異なり、取引先に不信感を与える可能性のある聞き取り調査などは行われないため、取引先が自社の信用度を疑われていると感じることがありません。

もし売掛保証を利用していることが取引際に知られれば、両社の信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があります。特に長期的な取引関係がある場合、このような事態は避けなければなりません。

売掛保証サービスの利用により、企業は取引先との良好な関係を維持しながら、同時に自社の財務的な安全性を確保できます。

売掛保証を利用するデメリット

売掛保証は、信用取引を行う企業にとって魅力的なサービスといえます。ただし、以下に挙げるようなデメリットもあることを理解しておきましょう。

・売掛先の信頼性によっては利用できない
・資金調達までに時間が掛かる
・手数料が掛かる

それぞれ詳しく解説します。

売掛先の信頼性によっては利用できない

売掛保証は、売掛先の信頼性によっては利用できないケースがあるのがデメリットです。

サービスの契約締結前は与信調査が実施されますが、取引先に対して売掛金を回収できないリスクが高いと判断された場合は、サービスの利用が認められないケースがあります。

しかし、売掛保証を利用する企業からすれば、リスクの高い取引先こそ、売掛金保証を付けて安全に取引したいというニーズがあり、逆にリスクの低い企業との取引に関しては、未回収リスクが低いため、サービス利用のニーズは減少します。

つまり、保証が必要な取引先に対して保証が得られず、保証の必要性が低い取引先に対してのみサービスが利用可能となるという矛盾が生じる可能性があるのです。

資金調達までに時間が掛かる

実際に保証金を受け取るまでに時間が掛かる点も、デメリットといえるでしょう。

取引先の入金遅延や倒産といった事態が発生した場合、企業は可能な限りスピーディに保証金を受け取りたいはずです。

しかし、保証金の申請手続きでは、以下のようなステップが必要となります。

1.保証会社への書類提出
2.審査期間
3.支払い処理

保証金の申請手続きでは、業者に対して発注書や取引先元帳など、保証対象となる債権を特定できる資料の提出が必要になることに加え、業者が書類を確認して、保証金支払いの妥当性を判断する審査も実施されます。

審査が完了したら、ようやく支払い処理が行われるのが実状です。

そのため、保証金の支払いが必要な場合でも即日入金は難しく、保証金の入金までに数週間程度掛かってしまいます。

売掛保証サービスを選ぶ際は、保証金の支払いのタイミングと手続きについて事前に確認しておくことが大切です。緊急での資金ニーズが発生しやすい場合は、別の資金調達手段も併せて検討する必要があるでしょう。

手数料が掛かる

手数料が掛かる点もデメリットです。

売掛保証に掛かる手数料は、売掛金額の5%から15%程度に設定されるのが一般的です。また、実際の手数料率は変動する可能性があります。

特に、以下のようなケースでは注意が必要です。

・リスク査定による変動
・取引先の規模による影響
・業界や経済状況の影響

取引先の信用度が低いと判断された場合や、取引先の規模が小さい場合、業界の市場や経済状況が悪化している場合などは、手数料率が高く設定される場合もあります。

売掛保証の利用を検討する際は、手数料率に加えて、自社の取引先の特性や業界の状況も考慮しなければなりません。

手数料コストが発生することと、手数料の負担が大きくなる可能性について考慮し、売掛保証の利用について慎重に判断する必要があるでしょう。

売掛保証を利用する際の手順

ここでは、売掛保証の利用の手順について解説します。具体的な手順は以下の通りです。

1.売掛保証サービスに連絡する
2.会員登録する
3.売掛先の登録・審査を受ける
4.保証開始の通知を受け取る
5.未払いが発生したら報告する
6.保証会社から入金されたか確認する

それぞれ詳しく解説します。

1.売掛保証サービスに連絡する

まずは、売掛保証サービスに連絡することから始めます。

最初の問い合わせは、サービスサイトにある問い合わせフォームから行いましょう。なければ、直接電話で問い合わせてみてください。

Webサイトに記載されている保証対象範囲や手数料の目安といった情報は確認できますが、担当者に直接連絡して確認すれば、安心してサービスが利用できるはずです。

また、時間的な余裕がある場合は、複数の売掛保証会社から相見積りを取ることをおすすめします。

取得できた情報から、各社のサービス内容や価格、対応の質を総合的に判断して、利用するサービスを選択しましょう。

2.会員登録する

次に、利用するサービスで会員登録を行います。

売掛保証の利用には、保証会社の公式サイトでの会員登録が必要です。会員登録は基本的には無料です。企業情報の入力と希望する保証プランの選択を行います。

3.売掛先の登録・審査を受ける

売掛先の登録を行い、審査を受けます。

基本情報として登録するのは、企業名や所在地、代表者名といった情報です。他にも保証を希望する売掛債権の内容について、取引の性質や取引金額、取引期間、決済方法、取引条件などを詳細に記載すれば、売掛先の登録は完了です。

登録された情報をもとに与信審査が実施されます。なお、反社会的勢力との関連性のチェックを除き、利用者側の審査が行われることはありません。

売掛保証会社は、審査で取引先の信用リスクを判断し、その上で適切な保証条件を設定します。

4.保証開始の通知を受け取る

売掛先の債権が保障できるものと判断され、利用者に通知されたら、審査は完了です。

その後、保証会社に正式に保証依頼を行い、設定した保証の開始日から売掛債権の保証が開始されます。

5.未払いが発生したら報告する

保証が開始されてから実際に未払いが発生した場合は、報告が必要です。未払い報告は、保証会社のWebサイトから行うのが一般的です。

所定の書類や添付書類などを保証会社に提出して保証金の入金手続きを行います。提出が求められる書類の一例は以下の通りです。

取引内容を確認できる書類:発注書、納品書、メールの履歴など
入金履歴を確認できる書類:取引先元帳、通帳のコピーなど

保証会社や取引内容などによって、提出が必要な書類が異なるケースがあるため、事前に確認しておきましょう。

6.保証会社から入金されたか確認する

保証会社への保証金の支払請求が完了したら、契約内容に沿った期日に、企業の指定口座に売掛金に相当する金額の保証金が入金されます。

短ければ、保証金の請求から10日程度で入金されるケースが多いですが、サービスや契約内容によって異なるため、こちらもあらかじめ確認しておきましょう。

売掛保証サービスを選ぶ際に押さえておきたいポイント

現在では、さまざまな売掛保証サービスが提供されています。実際にサービスを利用する場合、どのようなサービスを選べばよいのでしょうか。

押さえておきたいポイントは以下の通りです。

・価格設定が予算に合っているか
・サービス内容が自社に合っているか
・保証があるか

それぞれ詳しく解説します。

価格設定が予算に合っているか

売掛保証サービスは、価格設定が予算に合っているかどうかチェックして選びましょう。

売掛保証サービスの主な料金体系には以下のようなものがあります。

・保証限度額設定型:売掛債権の総額に上限を設けるプラン
・無制限型:保証額に制限を設けないプラン
・取引先数制限型:登録可能な売掛先の数に上限があるプラン
・月額固定型:毎月一定額を支払うプラン

例えば、取引先が少なく、大口取引の場合は無制限型、多数の小口取引がある場合は取引先数制限型が向いています。

また、予算上の観点からは、変動費として管理したい場合は従量制のプランが、固定費として計上したい場合は月額固定型が向いているでしょう。

自社のニーズと予算に合ったサービスを選択してください。

サービス内容が自社に合っているか

売掛保証を選ぶ際は、サービス内容が自社のニーズに合っているかを確認しましょう。

業者やプランにより、保証の条件や範囲が大きく異なるためです。

前述した予算に合致しているかに加えて、以下のポイントをチェックしましょう。

・保証対象の対象となる事象
・保証が発動する条件
・保証金が支払われるタイミング

保証の対象となる事象としては、倒産のみが対象のケースや、入金遅延が含まれるケースがあります。

また、保証が適用される状況や補償金が支払われるタイミングも重要です。

なお、保証内容が充実しているサービスは、手数料が高くなる傾向があります。サービス内容をよく吟味して、自社に合ったサービスを選択してください。

保証があるか

売掛保証のサービス選びでは、保証会社自体の信頼性や安定性をチェックすることも重要です。

信頼できる保証会社を選ぶポイントは以下の通りです。

・外部機関との連携
・会社の規模と実績
・財務状況
・顧客対応の質
・業界での評判

保証会社は単独で保証業務を行う会社よりも、外部の金融機関や保険会社と提携する会社の方が、安定した保証能力を持つ可能性が高いといえます。また、実績がある企業は、一般的に信頼性が高いでしょう。

さらに、公開された情報から保証会社の財務の健全性を確認したり、実際に担当者とコミュニケーションを取って、質問への対応や説明の明確さ、専門知識の深さなどを確認したりすれば、会社の信頼性を判断できます。

他にも、業界での評判についてチェックしておくことをおすすめします。

これらのポイントを総合的に判断して、信頼できる保証会社を選択することが大切です。

まとめ

売掛保証は、信用取引を行う企業の売掛金が未回収になるリスクを回避できるサービスです。与信管理業務の手間が軽減され、取引先に知られずに利用できるなど、メリットの多いサービスとなっています。

ただし、売掛先の信用度次第では利用できないケースがある他、資金を手にできるまでに時間が掛かったり、手数料コストが発生したりするデメリットがあります。

売掛保証の利用では、価格設定とサービス内容が自社のニーズに合っているかどうかを確認して、サービスを選択しましょう。

また、早急な資金調達が必要な場合は、Mentor Capitalのファクタリングサービスの利用を検討してみてください。

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