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経営者が知っておくべき「社会保険」~健康保険・介護保険・厚生年金保険~

最終更新日:2019年12月05日

 

 

Mentor Capitalです。

 

 

会社が加入すべき保険には、「社会保険」と「労働保険」がありますが、各々の内容を正確に把握し、

すみやかに手続きを行うためにも、正しく有意義な知識を身につけておくべきでしょう。

今回は、3つの「社会保険」、健康保険・介護保険・厚生年金保険について説明していきます。

 

 

 

健康保険について

 

 

健康保険は、雇った従業員がケガや病気をした場合、金額の負担をできるだけ少なくし、治療をさせてあげるためのものです。
個人事業主は国民健康保険に、会社勤めの人であれば勤め先の健康保険組合に、勤め先に健康保険組合がない場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入することになります。

「新しく雇用するのは、アルバイトだから健康保険まで負担できない。加入させたくない」
と思われる方もいるかもしれません。

ですが、健康保険・厚生年金保険の適用を受けている事業所では「常時雇用している従業員は加入対象」となります。

パートやアルバイトの場合、一般社員の労働時間の4分の3以上、労働日数の4分の3以上の勤務が、常時雇用の目安となります。
勤務時間、勤務日数が常時雇用者の4分の3未満であっても、つぎの5つの要件すべてに該当する人は、加入させないといけません。

 

短時間労働者の資格取得要件
①週の所定労働時間が 20 時間以上あること
②雇用期間が1年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万円以上であること
④学生でないこと
⑤被保険者数が常時501人以上の企業に勤めていること

 

まれに、ファイナンシャルプランナーによるネット情報で、年収が130万円以下の場合は加入させなくてもよいとしている例がありますが、それは誤りです。
収入は関係ありませんので、注意してください。
労働時間と労働日数によります。

 

ただし、つぎのように「臨時的に雇われる人」まで加入させる義務はありません。

 

・季節的業務に4カ月を超えない期間、使用される予定の人
・臨時的事業の事業所に6カ月を超えない期間、使用される予定の人
・臨時に2カ月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えない人
・臨時に日々雇用される人で1カ月を超えない人

では、皆さんが協会けんぽに支払う保険料はどのように決められるのでしょうか。
その保険料率は、都道府県によって異なりますので注意してください。
2017年4月現在、東京都で賃金の9.91%となっています。
ぜひ、皆さんの会社の所在地を調べてみてください。

 

 

介護保険について

 

 

40 歳から 64 歳の人は、介護保険にも加入しなければなりません。
保険料の支払いがスタートする以外には、とくにわずらわしい手続きは必要ありません。
介護を受けざるを得なくなった場合に、自身の生活を成り立たせるための介護サービスが受けられるようになります。
介護保険の保険料率は、全国一律で賃金の1.65%です。 つまり、東京都の場合、合計で賃金の11.56%を支払うこととなります。
そこから従業員と折半されるので、会社側の負担は5.78%となります。

 

 

厚生年金保険とは

 

 

健康保険や介護保険と同様、常時従業員を使用する会社は、厚生年金保険に加入する義務があります。
厚生年金保険への加入は会社単位ではなく、事業所単位(本社、支社、支店または工場など)で行い、新しく雇った人を、被保険者とするための手続きは事業主が行います。
被保険者に該当する人は、基本的には健康保険の場合と同じです。
臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、就業規則や労働契約などに定められた一般社員の所定労働時間と所定労働日数の4分の3以上の労働時間、労働日数がある従業員です。

また、一般社員の所定労働時間及び所定労働日数が4分の3未満であっても、つぎの5つの要件をすべて満たす人は、被保険者に該当します。
なお、この場合の従業員は、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず、事業所に雇用される人すべてを含みます。

 

短時間労働者の資格取得要件
①週の所定労働時間が 20 時間以上あること
②雇用期間が1年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万円以上であること
④学生でないこと
⑤常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

さらに、平成 29 年4月からは、従業員500人以下の会社でも、短時間労働者の従業員 と合意すれば社会保険に加入できるようになりました。
これにより従業員には、将来もらえる年金の増加、障害がある状態になり日常生活を送ることが困難になった場合もより多くの年金給付がある、などのメリットが生じます。

年金の3階建て構造について 

 

日本の年金制度はいわゆる「3階建て」の構造になっています。
1階が全国民共通の国民年金、2階が会社員、公務員のための厚生年金、3階が大企業などの年金制度である企業年金や、公務員独自の上乗せ制度である年金払い退職給付です。

経営者にとっても、会社から経営者の保険料を支払うことができるため、いま現在、国民年金保険料・国民健康保険料を支払っている方は、いまより保険料が安くなることがあります。
また、2階建て部分の、厚生年金を支払うことにより、国民年金だけの状態よりも将来受け取れる年金額は確実に増えます。
従業員と経営者の双方にメリットがありますから、「支払い負担が大きい」「加入手続きが面倒そうだ」という理由で加入しない状態を長引かせるのは、得策ではありません。

なお、厚生年金から受けられる給付としては、老齢になったときの老齢厚生年金、障害を負ったときの障害厚生年金・障害手当金、死亡したときの遺族厚生年金の3つがあります。
厚生年金の保険料率は、2004年の年金改革により、毎年少しずつ引き上げられることになり、2017年9月以降は賃金に対して 18.3%で固定とされます。
会社側の負担は、折半となりますので、9.15 %となります。

 

3階建て構造となっている公的年金のしくみ

 

 

「社会保険」に加入するための手続き

 

 

従業員を社会保険に加入させるには、まず会社が社会保険に加入していなければいけません。
まだ加入していない経営者は、必ず手続きをすすめるようにしてください。
担当窓口は、事業所を管轄する年金事務所となります。

加入の際には、

 

①健康保険厚生年金保険 新規適用届
②健康保険厚生年金保険 被保険者 資格取得届
③健康保険被扶養者(異動)届
④健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書

の4つの書類が必要になります。

窓口でこれらの届出用紙をもらい、提出しましょう。

これらの届出書は、日本年金機構のサイト(http://www.nenkin.go.jp/ )からダウンロードすることも可能です。

 

また、提出の際には「商業登記簿謄本」「出勤簿」「賃金台帳または雇用契約書」「労働者名簿」「源泉所得税の領収書」などのうち、年金事務所と相談のうえ、必要なものを添付するようにしましょう。

提出の際は、直接窓口を訪ねなくても、電子申請や郵送でも受け付けてもらえます。
新規適用届が年金事務所に受理されると、その月の初日が「社会保険の加入日」となり、年金事務所から「適用通知書」「被保険者資格取得確認通知書」が送付されます。
その送付された適用通知書には、事業所整理記号と事業所番号が記載されています。

この2つは今後、継続的に使用していくことになる、ひじょうに重要な番号ですので、大切に管理しましょう。

また、被保険者資格取得確認通知書にて、標準報酬月額や、加入した被保険者の氏名などを確認し、手続きが無事行われたかどうかをチェックするようにします。

保険料の支払いは、④の保険料口座振替納付(変更)申出書を提出していれば、加入月の翌月より口座からの引き落としとなります。
提出しなかった場合は、保険料が記載された納入告知書が送付されてくるので、期日までに銀行などの金融機関にて支払うようにしましょう。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

何か不明な点等が有れば、メンターキャピタルまでお問合せ下さい!!