ファクタリングは会社設立費用にできる? 注意したい見せ金や預合いの概要からファクタリングがおすすめな理由まで徹底解説
最終更新日:2024年10月02日
会社を設立する際は、さまざまな費用が発生します。場合によっては資金が足りず、何らかの方法で調達しなければならないケースもあるでしょう。しかし会社設立時は融資を受けられないため、そもそもファクタリングを利用できるのか分からず、お困りの方もいるかもしれません。
そこで本記事では、会社設立時に注意したい見せ金・預合いの概要を説明した後に、資金調達時のファクタリングの利用可否や、必要な費用などを解説します。会社設立時の資金調達方法をお探しの方は、ぜひ参考になさってください。
目次
会社設立時に要注意な見せ金・預合いとは?
会社を設立する際に注意が必要な見せ金や預合いとは、一体何なのでしょうか。詳しく解説します。
見せ金とは?
見せ金とは、会社設立のタイミングで友人や知人などの第三者から借り入れ、会社を設立した後すぐに返却する方法のことです。
本来、資本金は自己資金を集めたり、株式発行によって出資者から集めたりして、会社設立の際に資本や純資産として計上するものです。資本金は銀行口座に払い込み、事業を開始した後は会社のキャッシュとして、運転資金や設備投資などに充てます。会社の余剰資金となるため、会社を経営する上で重要な役割を果たすお金となります。
見せ金を利用した場合、一時的に資金があるように見えるものの、実際には会社にキャッシュが存在しません。見せ金による資本金を見た顧客や金融機関などを騙すことになるため、違法行為と見なされます。うっかり見せ金に当たる行為をしないよう注意してください。
預合いとは?
預合いとは、会社を設立する発起人と、金融機関が共謀して発起人による資本金の払い込みを偽装する行為です。
具体的には、最初に発起人が個人で借り入れたお金を、借りた金融機関に開設した銀行口座に入金します。会社設立の手続きを完了させた後、発起人と金融機関は、借り入れた金額を返済するまで、出資金の引き出しを行わないという取り決めを交わします。
これにより、資本金の払い込みをしているように偽装するのです。しかし、会社のキャッシュとして使えるお金は確保できていないことになります。
預合いは、見せ金と同じように違法行為であり、会社法965条によって禁止されているため、こちらも行ってはいけません。
見せ金・預合いをするとどうなる?
見せ金や預合いが違法行為であることは解説した通りですが、実行した場合どうなるのでしょうか。
具体的には、以下の状況に追い込まれます。
・すぐに資金不足に陥る
・会社設立手続きが無効となる
・法律違反で罰せられる
・社会的信用を失う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
すぐに資金不足に陥る
見せ金や預合いを行った場合、会社が資金不足に陥る可能性があります。
見せ金と預合いは、いずれも資本金の払い込みを偽装している状態であるため、実際には経営や事業運営に使用できるキャッシュを確保できていません。これらの行為によって会社設立を実現したとしても、資金が不足しているため、事業活動を継続できなくなる確率が極めて高いといえます。状況によっては、早々に会社の資金がショートしてしまい、事業活動の継続が困難になって、倒産することになるでしょう。
見せ金や預合いによって、資本金の払い込みを偽装し、多額の資本を準備できているように見せることはできても、会社が使える資金を増やせるわけではないため、苦しい事業運営を強いられることになります。
会社設立手続きが無効となる
見せ金や預合いを行った場合、会社設立手続きが無効となる場合があります。会社設立においては、定款によって規定された設立時出資額を払い込む必要があることが、会社法によって定められているためです。
なお設立時出資額とは、株式会社を設立する際に、出資者が会社のために支払う金額を指します。設立時出資額が満たされていない場合、会社の財産が確保されていないことに加え、関係先や取引先に損害が及ぶ恐れがあるため、会社の成立が無効となります。
また、見せ金や預合いによって資本金を払い込んだ場合、払い込み自体が無効になるため、発起人は会社の株主としての権利の行使ができなくなるといったリスクを負うことになります。
法律違反で罰せられる
見せ金や預合いを行った場合、法律違反によって罰せられる恐れがあります。公正証書原本不実記載罪という刑法上の犯罪行為に該当するためです。
公正証書原本不実記載罪は刑法157条で規定されており、違反すると5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。見せ金や預合いを行った場合、偽装された払込金額を記載した上で法人登記を行うことになるため、罪に問われる可能性があるのです。
また、会社法52条における、出資された財産などの価額が不足する場合の責任違反となるケースもあります。会社設立の発起人と取締役の資本金の払い込みが足りていない場合、発起人は不足している金額を支払う義務を負うため、よく考えて行動しなければなりません。
さらに、預合いを行った場合、会社法965条の預合いの罪に該当する可能性もあります。預合いの罪となった場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、併科となる他、預合いに応じた人も同様に罰せられます。
社会的信用を失う
見せ金や預合いを行ったことが発覚した場合、会社や発起人の社会的信用は失墜するでしょう。繰り返しになりますが、見せ金や預合いは違法行為であるためです。
会社を運営するには金融機関から融資を受けるケースが多いですが、その際に会社の通帳の提出が求められます。審査の過程で、通帳の内容から不自然なお金の流れが発覚することが多く、見せ金を隠し続けるのは困難です。また、見せ金や預合いが発覚すれば、審査に影響するため、今後融資を受けるのは難しくなるでしょう。
また、預合いは違法行為であるため、協力してくれる金融機関はほぼ存在しません。協力を要請した時点で、金融機関からの信頼は失墜するため、その後に融資を受けられる可能性はほとんどないでしょう。
さらに根本的に資金力が低いため、事業の継続が難しく、取引先の信用を失う可能性もあります。
見せ金だと分かるのはどのようなとき?
見せ金行為を行った場合、どのようなタイミングで発覚するのでしょうか。発覚しやすいタイミングは、以下の通りです。
・銀行口座の入出が不自然な場合
・個人宛てに振り込んでいる場合
・決算書に出資者貸付金が記載されている場合
それぞれ詳しく解説します。
銀行口座の入出が不自然な場合
銀行口座において、お金の入出が不自然な場合、見せ金が発覚しやすくなります。
例えば、銀行口座に他人名義から数百万円の入金があった場合、銀行の担当者は不自然に感じるでしょう。また数百万円の入金に対して、会社の設立日以降に全てが引き出されていたり、入金名義の口座に振り込まれていたりすれば、見せ金を疑われることになります。
このような不自然なお金の入出は、会社設立時に融資を申し込む際の、通帳の確認時にも見つかりやすいです。
いずれにせよ、銀行の担当者が見れば分かってしまうものであるため、お金の流れから発覚するケースが多いといえるでしょう。
個人宛てに振り込んでいる場合
会社の口座宛てに個人が振り込みをしている場合や、会社の口座から個人宛てに振り込みが行われている場合も、見せ金が発覚しやすいでしょう。
仮に、会社を設立する前に個人事業主として活動していて、個人のクライアントが含まれていた場合、それを証明できれば疑いが晴れる場合があります。しかし証明できない場合は、会社の口座に事業と無関係の個人による入出金があることになります。
見せ金を行っていた場合は、その時点で発覚してしまう上、見せ金ではなかったとしても、事業と個人のお金のやりとりが混同している点から、マイナス評価となってしまうでしょう。
新たに融資を受ける際にも、金融機関から指摘が入り、説明できなければ審査に大きく影響する恐れもあります。
決算書に出資者貸付金が記載されている場合
会社の決算書に、出資者貸付金が記載されている場合も、見せ金が発覚しやすくなります。見せ金を返金する際には、出資者貸付金として財務諸表に記載しなければならないからです。
会社を設立した後に、出資者貸付金を記載せずに見せ金を返すことは不可能です。記載がなければ借りていないことになり、お金を返す必要がないため、整合性も取れなくなってしまいます。
そのため、決算書や確定申告書に出資者貸付金の勘定科目が記載されていれば、見せ金と判断されてしまうのです。
会社設立時の資金調達にはファクタリングがおすすめな理由
これまでの解説の通り、会社設立の際に見せ金や預合いをしてはいけません。しかし、会社設立の際に融資を利用して資本金を調達するのは困難です。資本金として利用できるのは資本(純資産)であって、負債となる融資は利用できないためです。
そのため、基本的には負債にならない方法で、資金を調達する必要があります。では、具体的にどうすればよいのでしょうか。
このような状況での資金調達法としておすすめできるのが、ファクタリングです。
自社の資産を現金化して資金調達する方法を、アセットファイナンスといいますが、ファクタリングはアセットファイナンスの一つであり、負債を作らない資金調達が可能になります。
ただし、会社設立時にファクタリングで資金調達ができるのは、個人事業主やフリーランスの状態から法人成りをして会社を設立する場合です。また、個人事業主やフリーランスのときの取引で、入金されていない売掛債権を保有していることも、ファクタリング利用の条件となります。
個人事業主やフリーランスが法人成りする場合で、売掛債権を保有している場合、ファクタリングは効果的で利用しやすい資金調達方法となることを理解しておきましょう。
会社設立時にファクタリングで資金調達する際にかかる費用の内訳
会社の設立の際に、ファクタリングを利用して資金調達する場合、以下の費用が発生します。
・手数料
・債権譲渡登記の作成費用
・収入印紙代
・振込手数料
・着手金
・提出書類の準備費用
それぞれ詳しく解説します。
手数料
会社設立時にファクタリングを利用する場合に発生する費用の一つが、手数料です。
ファクタリングでは、業者が債権を回収するリスクを負うことになるため、回収リスクが高い売掛債権を買い取る場合、高めの手数料が設定されます。
一方、回収リスクが低く、比較的安全な取引であると判断された場合は手数料が低くなる他、ファクタリングの契約形態の違いによって手数料が低くなる場合があります。
ファクタリングでは、売掛債権の額面金額に対して手数料率が設定されるのが一般的です。
ファクタリングの契約形態の違いにおける手数料の相場は以下の通りです。
・二社間ファクタリング:10~30%程度
・三社間ファクタリング:1~10%程度
売掛債権の額面金額が大きいほど、支払う手数料は多くなります。
債権譲渡登記の作成費用
ファクタリング利用時に発生する費用として、債権譲渡登記の作成費用もあります。
ファクタリングのうち、利用会社と業者のみが契約を締結する二社間ファクタリングは、スムーズな資金調達が可能で、利用会社にメリットが多い資金調達方法です。しかし、業者にとっては売掛債権が二重譲渡される可能性があり、その分のリスクを負うことになります。
そのリスクを軽減するために実施されるのが、債権譲渡登記です。利用会社から業者に売掛債権が譲渡されたことを公に証明する登記で、司法書士に書類作成を依頼することが多いため、その分の費用がかかります。
債権譲渡登記にかかる費用の内訳として、司法書士への報酬費が5万円程度、登録免許税が7,500円から1万5,000円程度必要です。
収入印紙代
ファクタリング利用時に発生する費用として、収入印紙代があります。
ファクタリングを利用する際、利用会社と業者の間で、債権譲渡契約書を取り交わすのが一般的です。ファクタリングでの契約書は、印紙税法での債権譲渡または債権引受けに関する契約書に該当するため、売却する売掛債権が1万円以上だった場合、200円の印紙税を支払う必要があります。
ただし、印紙代を手数料に含める業者もいるため、確認が必要になる他、オンラインで手続きが完了する場合は、印紙税が発生することはありません。
振込手数料
ファクタリング利用時に発生する必要の一つが、振込手数料です。ファクタリングを利用して、自社の銀行口座に入金してもらう場合、金融機関ごとに定められた振込手数料が発生します。
ファクタリングでは、入金にかかる振込手数料を利用会社に請求する業者が多いため、金額に応じた手数料を準備しておく必要があります。
なお、ほぼ全てのファクタリング取引では、買取代金が銀行振込によって支払われるため、多少の手数料が発生すると考えておいた方がよいでしょう。
着手金
ファクタリングを利用する際、着手金が発生する可能性があります。
現在では、着手金を無料に設定する業者が大半となっていますが、一部のファクタリング業者は、契約後の手続きが開始するタイミングで、着手金を請求してくることがあります。
着手金の相場は1万円から3万円程度です。こちらも必要経費として用意しておきましょう。
提出書類の準備費用
ファクタリングの利用に必要な提出書類を準備する費用も発生します。
提出書類の中には、取得するのに費用がかかるものがあります。例えば、以下のような種類です。
・登記簿謄本(1通600円オンライン申請では500円)
・印鑑証明(法人1通450円、オンライン申請では390~410円)
・納税証明書(1通400円、オンライン申請では370円)
これらの費用は手数料に含まれるケースが少ないため、書類準備の際に実費としてかかると考えておきましょう。
また、オンラインで手続きが完了するファクタタリングでは、契約時に登記事項証明書の交付費用を請求される場合があります。
まとめ
会社設立時にはある程度の費用がかかります。しかし、資本金を大きく見せるために見せ金をしたり、預合いをしたりするのは法律違反となるため、行ってはいけません。
また、会社設立の資本金のために融資は利用できません。そのような場合は、ファクタリングを利用して資金調達を行いましょう。本記事を参考に、会社設立時に必要な費用を正しく工面してください。
ファクタリングの利用を考えている場合は、Mentor Capitalのファクタリングサービスの利用をご検討ください。豊富な買取実績を生かした資金提供が可能で、手数料を低く抑えているため、効率的な資金調達が可能です。
柔軟な審査体制を整えているため、他社のファクタリングサービスを利用できなかった方の資金調達ニーズにも対応できます。
詳しくは、Mentor Capitalの公式サイトをご覧ください。