最終更新日:2024年04月08日
インボイスと聞くと、2023年10月1日に新しくスタートしたインボイス制度を思い浮かべる方が多いかもしれません。インボイスは「請求書」という意味を持つ言葉です。インボイスファイナンスとは、請求書を活用して資金調達をする方法のことを指します。
本記事ではインボイスファイナンスとはどのような資金調達の方法なのかや、注目を集めるようになった背景、インボイスファイナンスの種類、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。資金繰りにお悩みの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
インボイスファイナンスとは、請求書(インボイス)を活用して資金調達を行う方法です。
請求書は取引先に提供した商品やサービスの対価として、支払いを請求するための書類のことです。また請求書に明記された支払い期日までに、売掛金を受領する権利があることを証明する書類でもあります。
なお売掛金を受領する権利である「売掛債権」は、自社の資産に含まれるものです。インボイスファイナンスでは売掛債権を担保に入れたり売ったりして、資金調達を行います。
またインボイスファイナンスと一口にいっても、大きく分けて以下の3種類があります。
・売掛金担保融資
・インボイスディスカウントファイナンス
・ファクタリング
企業の資金調達方法としては、国や金融機関からの融資が一般的です。しかし国や金融機関の融資を利用する場合、担保となる不動産や経営者保証が必要となります。請求書を活用するインボイスファイナンスであれば、不動産などの担保がない中小企業であっても、資金調達をしやすいでしょう。
インボイスファイナンスは以前からある資金調達方法ですが、近年はより注目が集まっています。ここからは、インボイスファイナンスに注目が集まっている背景について詳しくご紹介します。
インボイスファイナンスに注目が集まるようになった背景には、前述した通り不動産を持っていない企業でも不動産以外の資産を資金調達に使えるという点があります。
主流の資金調達方法である金融機関からの融資は、不動産を所有している企業や個人が有利となる資金調達方法です。また融資を受ける際は不動産を担保に入れるか、連帯保証人を用意しなければないので、全ての人に使いやすい資金調達方法とはいえませんでした。
しかしインボイスファイナンスであれば資産の一つである売掛債権を資金調達に使えるため、不動産を所有していなくても審査に通れば資金調達ができます。また融資で必要な連帯保証人も必要ありません。
最近では不動産など不要な資産を所有していない企業の方が外部からの評価が良くなる可能性もあり、時代にマッチした資金調達方法としてインボイスファイナンスが注目されています。
請求書を活用して資金調達をしても、これまで通り営業を続けられることもインボイスファイナンスが注目されるようになった理由の一つです。
インボイスファイナンスの中には、請求書に対して抵当権を設定するものもありますが、請求書が差し押さえられる心配はなく、営業活動には支障がありません。
インボイスファイナンスのやり方次第では、売掛先に知られず利用できることもあります。
売掛先にインボイスファイナンスを行った事実を知られてしまうと、自社の経営状況を懸念されてしまう可能性もゼロではありません。最悪の場合、今後の取引に影響が出てしまう可能性もあるでしょう。
インボイスファイナンスの中には売掛先に知られることなく資金調達ができるものもあるので、インボイスファイナンスを利用したことによる売掛先との関係の悪化を防げます。例えば、ファクタリングの一種である2社間ファクタリングを利用すれば、売掛先に通知されることはありません。詳細については後述します。
資金調達が比較的早くできるものがあることも、インボイスファイナンスが注目されるようになった理由です。
資金調達方法にはさまざまなものがありますが、不動産を担保にして金融機関からの融資を受ける場合、金融機関は不動産評価額の算定を行わなくてはならず、審査に時間がかかります。
一方でインボイスファイナンスを利用する場合、請求書に書かれている金額が評価の対象となるため、審査が早く完了しやすくスピーディーな資金調達をできる可能性があります。ただし、インボイスファイナンスの種類によっては、審査に時間がかかることもあるので注意しましょう。
インボイスファイナンスには、主に売掛金担保融資、インボイスディスカウントファイナンス、ファクタリングの3つの種類があります。ここからはそれぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
売掛金担保融資は、売掛金を始めとした動産を担保にして金融機関から融資を受けるインボイスファイナンスです。「ABL融資」とも呼ばれることがあります。
売掛担保融資は資金の貸し付けを行うものなので、銀行業や貸金業登録事業者のみ取り扱えるものです。一般的に自社が保有する請求書に根抵当権を設定することで、融資枠を決めるか、1年以内の短期融資が受けられます。
売掛金担保融資のメリットは以下の通りです。
・不動産を所有していない企業でも融資が受けられる
・ファクタリングよりも手数料を抑えられる
・売掛先に通知せず利用できるケースもある
一方で、売掛金担保融資には以下に挙げるようなデメリットもあります。
・一般的な融資と比べると手数料が高い傾向にある
・審査に時間がかかることがある
・常に複数の売掛債権がないと審査が通りにくい
インボイスディスカウントファイナンスは、輸出債権を使って資金調達を行うインボイスファイナンスです。
輸出企業が、金融機関に輸出債権を売却します。原則、インボイスディスカウントファイナンスでは、万が一取引先が期日までに支払いを行わなかった場合でも、代金の返金責任を持つ必要のない「ノンリコース契約」を結ぶこととなります。
国外企業との取引では取引先の持つリスクを把握しにくいため、信頼できる企業なのか、業績が悪化していないかということに気付きにくいです。しかしインボイスディスカウントファイナンスを利用すれば、万が一取引先が支払いを行わなくても損失となることがないため、心理的な負担も比較的軽くなるでしょう。
インボイスディスカウントファイナンスのメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。
・取引先企業の信用リスクを軽減できる
・海外企業との取引でもキャッシュフローが滞りにくい
インボイスディスカウントファクタリングには、以下のようなデメリットもあります。
・取り扱っている金融機関が少ない
・取引先企業の同意が必要
ファクタリングは、ファクタリング会社に請求書(売掛債権)を売却することで、現金を調達するインボイスファイナンスです。
ファクタリングでも他のインボイスファイナンスと同様に審査が行われますが、重視されるのは自社の信用力よりも売掛先の信用力です。売掛金が問題なく支払われるのかという審査が行われ、リスクに応じて手数料が変わってきます。
またファクタリングには、主に以下の2種類があります。
・2社間ファクタリング:利用企業とファクタリング会社の2社で契約を結ぶファクタリング
・3社間ファクタリング:利用企業と売掛先、ファクタリング会社の3社で契約を結ぶファクタリング
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで、メリットやデメリットが異なるので自社に適した方を選びましょう。ここからは、ファクタリングの種類ごとの主なメリット・デメリットを簡単に紹介します。
2社間ファクタリングのメリットは、以下の通りです。
・最短即日で売掛金を現金化できる
・売掛先にファクタリングの利用を知られずに済む
また3社間ファクタリングのメリットは、主に以下の2つが挙げられます。
・2社間ファクタリングよりも手数料が安い傾向にある
・代金回収や売掛金の管理をしなくて済む
2社間ファクタリングには、主に以下2つのデメリットがあります。
・3社間ファクタリングよりも手数料が高い傾向にある
・3社間ファクタリングよりも審査が厳しい傾向にある
一方で、3社間ファクタリングの主なデメリットは以下の通りです。
・売掛先にファクタリングの利用が知られてしまう
・売掛先の承諾を受けられなければ利用できない
・売掛金を現金化するまでに時間がかかるケースが多い
本記事では、インボイスファイナンスの概要や注目を集めるようになった背景、種類ごとのメリット・デメリットなどをご紹介しました。
インボイスファイナンスは大きく分けると、売掛金担保融資、インボイスディスカウントファイナンス、ファクタリングの3つに分類されます。またインボイスファイナンスの種類によって、取引先企業に利用を知られずに済むもの・海外企業との取引リスクを下げられるもの・最短即日で資金調達ができるものなど、特長が異なります。自社に合った方法で資金調達方法を増やして、よりスムーズな経営を目指しましょう。
株式会社Mentor Capitalは、ファクタリングを専門に扱う企業です。全国対応もしており、東京都内だけで年間200件以上の実績があります。赤字や債務超過などの企業、個人などにも対応可能です。オンラインでの無料査定も行っているので、他社で契約を断られた場合でもお気軽にご相談ください。