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延現金とは? メリット・デメリットやファクタリングで資金繰りを改善する方法を解説!

最終更新日:2025年05月30日

近年、手形取引に代わって延現金(延現金払い)を導入する企業が増えてきています。延現金は手形を伴わない、支払いまでの期間が長い取引です。延現金は支払う側にとってはメリットが大きい一方で、受け取る側にとってはデメリットが大きいため、売掛先から打診されても安易に同意するのは危険です。

仮にすでに受け取る側として延現金をしている場合、ファクタリングの利用によって資金繰りを改善できる可能性があります。

今回の記事では、延現金の仕組みやメリット・デメリット、ファクタリングとの相性や注意点を解説します。

延現金(のべげんきん)とは?

延現金とは、通常よりも長い支払いサイト(取引の締め日から支払期日までの期間)を設定する取引のことです。一般的に企業間取引では支払いサイトは30日、もしくは60日に設定されることが多いですが、延現金では90日や120日に設定できます。なお「期日現金」は延現金と同義の単語です。

延現金は手形取引とは異なり、口約束に近い形で行われます。支払いサイトが長くなる都合上、支払う側(売掛先)は多くのメリットを得られる一方で、受け取る側(債権者)はさまざまなリスクを負うことになります。

支払い側として延現金を提案する場合は断られる可能性が十分にあることを、受け取る側として提案に乗る場合は資金繰り悪化や貸し倒れのリスクがあることを理解しておきましょう。

支払う側(売掛先)にとっての延現金のメリット

前述の通り、延現金は支払う側にとってメリットの大きい取引方法です。主なメリットは以下の3点です。

資金繰りが改善する

支払う側が延現金払いをすれば、資金繰りを改善できます。支払いサイトが長ければ、支払いに充てる資金を確保するための時間的な余裕ができるからです。特に一時的に資金が底を突きそうな場合には有用です。

また手元資金に余裕ができれば、新たな事業や設備投資に資金を充てられるため、よりスピーディーに事業を拡大させられます。

資金繰りの基本は「支払いはなるべく遅く、受け取りはなるべく早く」です。支払う側として支払いサイトを長くするための手段として、延現金を積極的に活用してみましょう。

手数料がかからない

延現金は手数料なしで利用できることもメリットです。

延現金を使わず支払いサイトを伸ばす方法に、約束手形があります。約束手形は支払う側(振出人)が受け取る側(受取人)に対して受取手形を振り出し、受取人が支払期日に金融機関に受取手形を持ち込むと現金化できるという仕組みになっています。

受取手形は有価証券の一種であり、口約束よりも信頼性が高いため受け取る側にとって有利な仕組みです。一方、支払う側にとってはコストがかかるというデメリットがあります。

資金繰りに悩む中小企業は、約束手形の他に、手数料がかからない延現金も検討すると良いでしょう。

煩雑な手続きが不要

延現金は金融機関を通す必要もなく、煩雑な手続きもありません。取引先との間に十分な信頼関係があれば、比較的簡単に利用できます。

支払いを待つ側(債権者)にとっての延現金のデメリット

前述の通り、延現金とは支払う側にとってはメリットが大きい反面、受け取る側にはデメリットが多いです。延現金を打診されたときには、慎重に検討しましょう。

資金繰りが悪化する

受け取る側から見た場合、延現金は回収サイト(締め日から売上金回収までの期間)が長いことになります。回収サイトが長くなるほど、手元の資金が乏しい期間が長くなるため、経営が苦しくなります。事業拡大や投資がしにくくなるだけでなく、最悪の場合給与が払えず倒産するといった事態にもなりかねません。

手形割引を利用できない

手形割引とは、支払期日前の受取手形を銀行や手形割引専門業者に持ち込み、割引料(手数料)を差し引いた金額を受け取る仕組みです。手形取引では通常、支払いサイトが長く設定されることが多いですが、手形割引の仕組みを使えば早期に現金化できます。審査はありますが銀行融資などと比べると審査難易度は比較的低めで、必要書類も少ないです。

一方、延現金は手形取引ではないので、当然手形割引も利用できません。

回収できないリスクが高まる

延現金は手形取引と比べて支払う側から見た優先度が低いため、売上が回収できなくなるリスクが高い取引手段です。半年以内に手形を振り出した企業が不渡り(支払期日までに代金を用意できないこと)を2回起こした場合、支払う側の企業は銀行との取引ができなくなります。これは実質的な倒産です。当然、売掛先は倒産を避けるためにも優先的に支払おうとするでしょう。

一方、延現金にはそのような支払いを促す外部圧力のようなものがないため、資金繰りが苦しくなった場合には、支払を後回しにされがちです。もちろん支払う側の企業は信用を失うでしょうが、銀行取引ができなくなるわけではありません。

売掛先が倒産した場合、受け取る側は買掛金との相殺や担保権の実行、強制執行に向けた準備などを行うことになります。ただし、それでも確実に債権が回収できる保証はありませんし、何よりそちらに時間と人員を取られれば本業がおろそかになってしまいます。

延現金で資金繰りが悪化した際はファクタリングがおすすめ

前述の通り、延現金とは受け取る側にとってはデメリットが大きい取引です。延現金を受け入れたことによって資金繰りが悪化してしまった場合、ファクタリングによって解決できるかもしれません。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングとは、企業が保有している支払期日前の売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた金額を受け取る仕組みです。大まかな流れは以下の通りです。

売掛金が発生したら、利用者(受け取る側の企業)はファクタリング会社に相談や見積もり依頼をして、その後審査の申し込みをします。ファクタリング会社は利用者が提出した書類などを基に審査を行います。

無事審査に通り、契約を結んだら、利用者は売掛債権の額面金額から手数料を差し引いた金額を受け取れるので、口座を確認しましょう。入金までの時間はファクタリング会社ごとに異なりますが、最近は即日入金に対応しているところも少なくありません。

支払期日が来たら、ファクタリング会社が売掛債権の額面金額を受け取って完了です。

ファクタリングの2通りの契約方法

ファクタリングは大きく、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングに分類されます。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングとは、利用者、売掛先(支払う側)、ファクタリング会社の3社で契約を行う仕組みです。売掛先が同意しなかった場合は利用できません。

3社間ファクタリングの大きなメリットとして、手数料が低いことが挙げられます。後述する2社間ファクタリングと比べると、売掛債権の存在を売掛先に直接確認できる分、ファクタリング会社にとってのリスクが小さいからです。また、審査にも通過しやすくなります。ファクタリング会社への支払いは売掛先が行ってくれます。

一方で、売掛先の同意が必要なことが大きなデメリットです。売掛先との力関係によっては断られる可能性も十分ありますし、自社の資金繰りが苦しいと見なされるかもしれません。また、売掛先の承諾が必要なため、入金まで時間がかかります。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2社間で契約を行う仕組みです。売掛先の同意は必要ありません。

2社間ファクタリングのメリットは、売掛先に知られずに行えることです。変に勘ぐられることもありませんし、承諾を得る手間も省けます。また、入金までにかかる時間も短いです。場合によっては、即日入金に対応してもらえるかもしれません。

一方、デメリットは手数料が高いことです。3社間ファクタリングと比べるとファクタリング会社の負うリスクが高くなるためです。

延現金払いの売掛金をファクタリングするメリット

ここでは、延現金払いの売掛金をファクタリングする主なメリットを紹介します。

早期に資金繰りを改善できる

延現金払いの売掛金をファクタリングする大きなメリットの一つは、早期に資金繰りを改善できることです。前述の通り、延現金の大きなデメリットとして回収サイトが長いことが挙げられますが、ファクタリングで売掛債権を売却してしまえば、すぐに現金を入手できます。

企業の資金調達の手段には、他にも銀行融資やビジネスローンなどがありますが、これらの手段はいずれも審査に時間がかかります。一方、ファクタリングにも一定の審査はありますが、銀行融資やビジネスローンなどと比べると易しめです。

またファクタリングでは主に売掛先の信用力が問われるため、自社の財務状況が良くなくても利用できる可能性が十分にあります。

貸し倒れリスクを抑えられる

ファクタリングでは、原則として償還請求権なし(ノンリコース)の契約を結びます。償還請求権は、債務者が金銭債権を支払えないときに、元の債権者に遡って費用の返還を求められる権利です。

償還請求権あり(ウィズリコース)でファクタリングの契約を行い、その後債務者が支払いを行えなくなった場合、ファクタリング会社から売掛債権の買い戻しを求められます。償還請求権なしの契約ではそのような心配はありません。

ファクタリングでは通常、償還請求権なしの契約を結ぶため、万が一売掛先が支払いを行えなくなった場合、損失はファクタリング会社が被ります。売掛債権を売却した時点で、利用者の貸し倒れリスクは原則なくなると考えてよいでしょう。

なお、貸金業登録をしていないファクタリング会社が償還請求権ありの契約を結ぶのは違法です。悪徳業者にはくれぐれも気を付けましょう。

企業負債を増やさずに資金調達できる

ファクタリングは融資ではなく売掛債権の譲渡であるため、利用しても負債が増えません。負債が増えないので信用情報に悪影響が出ることもありません。

また、資金が増えれば資金ショートを起こしづらくなるため、対外的な評価を獲得しやすくなります。加えて、ファクタリングで得た現金を既存の負債の弁済に充てた場合、ROA(総資産に対する利益の割合)などの指標を改善できます。

延現金払いの売掛金をファクタリングする際の注意点

延現金によって発生した売掛債権をファクタリングすれば、支払期日よりも前に現金を入手することが可能です。一方で、延現金払いの売掛金のファクタリングには注意点もあります。事前にそのリスクを把握しておけば、後悔するリスクを減らせるでしょう。

取引に応じてもらえるとは限らない

延現金払いの売掛金をファクタリングすれば売掛債権を早期に現金化できますが、そもそもファクタリング会社が必ず取引に応じてくれるとは限りません。審査は比較的易しいものの、100%通過できるわけではありません。

また、ファクタリング会社は一般的に回収サイトが長い売掛債権の買い取りを嫌います。支払期日までの期間が長くなるほど、売掛先の経営が急変して回収不能になるリスクが高くなるからです。前述の通り、延現金は回収サイトが長い取引なので、譲渡を断られる可能性は否定できません。回収サイトが短い売掛債権があれば、そちらを優先的に売却するとよいでしょう。

手数料負担が大きくなりがち

前述の通り、ファクタリングには手数料がかかります。手数料の相場は2社間ファクタリングなら4~18%、3社間ファクタリングは2~9%ですが、延現金の売掛債権の売却では高くなりがちです。

前述の通り、回収サイトが長くなるほど、ファクタリング会社が負う回収不能リスクは高くなります。その穴埋めをするために、高い手数料が設定されるわけです。回収サイトが2カ月程度ならば大した影響は出ませんが、半年近い場合は影響は少なくありません。

少しでも手数料を抑えたい場合は、3社間ファクタリングを利用しましょう。

まとめ

延現金とは、通常よりも支払いサイトならびに回収サイトが長い取引のことです。延現金では、90日や120日といった長期の支払いサイトの設定が可能で、通常は口約束に近い形で行われます。

延現金とは、支払う側にとってメリットが大きい仕組みです。支払いサイトが長くなれば手元資金に余裕ができ資金繰りが改善できます。煩雑な手続きもなく、手数料もかかりません。

一方で、受け取る側にとってはデメリットが大きい仕組みです。回収サイトが伸びるほど資金繰りが苦しくなりますし、手形を用いた取引ではないため手形割引(手形の買い取り)も利用できません。売掛先の経営悪化による回収不能リスクも高くなります。

そうしたリスクを低減できるのがファクタリングです。ファクタリングは売掛債権を買い取るサービスで、支払期日よりも前に現金を手に入れられます。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、2社間ファクタリングならば売掛先に知られません。ただし、ファクタリング会社は回収サイトの長い売掛債権を嫌うため、審査や手数料の面で不利になることもあります。

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