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売掛金の消し込みとは? 消し込みの注意点ややり方、課題を解説!

最終更新日:2024年07月02日

企業の経理業務の中でも、重要な業務の一つが売掛金の消し込みです。しかし、消し込みがどのようなものなのか、実際にどのように消し込みを行うのか分からない方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は売掛金の消し込みの概要や注意点、具体的なやり方を解説します。加えて、消し込みが抱える課題も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

そもそも消し込みとは?

消し込みとは、商取引での入出金に応じて、売掛金や買掛金の残高を消去する作業のことです。

なお買掛金とは、取引によって自社に発生した後払い決済に使用する勘定科目、売掛金とは商品やサービスの代金が後払いで支払われる場合の勘定科目のことです。

また、消し込みには以下の2種類があります。

・入金消込
・支払消込

それぞれ詳しく解説します。

入金消込

入金消込とは、売掛金に対して入金が確認できた際に行う消し込みのことです。取引先への請求金額と、取引先から支払期日に入金された金額を照らし合わせ、間違いがない場合に会計帳簿に記載された売掛金を消す作業を行います。

取引先から支払期日を過ぎても入金されない場合は、担当者が取引先に連絡して確認し、その後も入金が実施されない場合は、入金の催促を行うのが一般的です。

入金消込を行うことで、支払期日までに売掛金が入金されているかを確認できる他、入金された金額に間違いがないか、回収ができていない売掛金がないかを把握できます。反対に入金消込が正確に実施されなければ、取引先の信用を失ったり、売掛金の未回収による企業の資金繰りの悪化につながったりするので注意しなければなりません。

支払消込

支払消込とは、取引先などに商品やサービスの代金を支払った際に行う消し込みのことです。

買掛金や未払い金の残高を実際の支払いと照らし合わせて消していく作業で、支払い漏れや支払金額の誤りを防止するために行います。

売掛金の消し込みを行う際の勘定科目・仕訳

売掛金への入金があった際に実施する消し込みは、帳簿を使用して業務を行います。帳簿(会計帳簿)とは、企業が事業を展開する上で生じる取引や金銭の流れを記録するための書類のことです。

会社法という法律によって企業は帳簿の作成が義務付けられており、企業の決算書にも使用される重要な書類であることから、資産や金銭の情報を正しく記録しなければなりません。

取引が発生した場合、以下の5つの勘定科目に分類されます。

・資産:企業が持つ財産や将来的に収益をもたらすもの
・負債:企業に支払義務、返済義務があるもの
・純資産:原則として返す必要がない会社の資産
・収益:商品やサービスの提供によって企業が獲得したもの
・費用:企業が利益を得るために支出した経費のこと

取引内容を帳簿に記載する場合、資産が増加する借方、負債が増える貸方の仕訳を行い、勘定科目に記帳します。

例として、掛け取引により、取引先から1万円のサービスの注文があった場合、帳簿に記帳される内容は以下の通りです。

借方 貸方
売掛金(資産) 10,000円 売上(収益) 10,000円

そして、取引先から支払期日に売掛金が入金された場合、以下のように仕訳します。

借方 貸方
普通預金(資産) 10,000円 売掛金(資産) 10,000円

入金があったタイミングで、売掛金の勘定科目が借方から貸方に変更されていることが分かります。

このような勘定科目の仕訳を行うのが、消込作業です。

売掛金の消し込みを行う際の注意点

売掛金の消し込みは未回収の売掛金の有無を確認したり、取引先からの支払状況や支払内容を把握したりできます。また、企業の取引情報を正確に記録するための重要な経理業務です。

そのため、消し込みを行うには、以下のポイントに注意しなければなりません。

・正しい金額が入金されているか確認する
・請求書と同じ名義で入金されているか確認する
・二重請求に注意する

それぞれ詳しく解説します。

正しい金額が入金されているか確認する

注意点の一つは、取引先から正しい金額で入金されているかどうか確認することです。

取引先への請求金額と、実際の入金金額が違う場合、帳簿の記載内容と照らし合わせ、どの取引に対する入金かを確認しなければなりません。また、合算請求の一部に対しての支払いの可能性もあるため、入金が済んでいる売掛金を全て洗い出して確認する必要があります。

他にも、振込手数料を相殺するのかしないのかといった、取引ごとのルールによって入金金額が正確ではない可能性もあります。いずれにせよ、金額の間違いやズレがあっては経理を正確に完了できない上、自社の信用にも関わるため、慎重な確認と処理が必要です。

請求書と同じ名義で入金されているか確認する

請求書と同じ名義で入金されているか確認するのも、消し込みを行う際の注意点です。

基本的に、請求書と振込口座の名義人は同じになるケースがほとんどです。しかし企業によっては、請求書を送付する企業の名前と、売掛金の支払いに使用された名義が違うケースがあります。このような場合に備えて、入金に使用される口座の名義を確認しておくことが大切です。

また、同じ取引先と同月中に複数の取引を行う場合では、どの入金がどの取引に対するものなのか、気を付けて確認しなければなりません。

取引先によっては、請求書の名義と振込口座の名義が異なるケースがあることを把握しておき、毎月の経理業務で適切に処理できるよう、事前に確認しておきましょう。

二重請求に注意する

売掛金の消し込みを正確に行えなかった場合、取引先に対する二重請求が発生する恐れがあります。二重請求とは、取引先から売掛金の入金がすでに行われているのに、再度請求してしまう行為です。二重請求が発生した場合、取引先からの信用問題に発展する可能性がある他、企業の金銭の記録にも大きく影響します。

このような事態を避けるためにも、売掛金の消し込み業務は慎重かつ確実に行わなければなりません。

売掛金の消し込みの方法

売掛金の消し込みの勘定科目や仕訳、注意点を紹介してきましたが、ここからは実際に売掛金の消し込みの方法を紹介します。

売掛金の消し込みを行う方法は以下の2種類です。

・Excelを使う
・会計ソフト・ツールを導入する

それぞれ詳しく解説します。

Excelを使う

売掛金の消し込み業務を行う場合、表計算ソフトのExcelを利用するケースが多いでしょう。関数やフィルター機能などを活用すれば、扱いやすいようにカスタマイズできます。

Excelはオフィスツールとして、会社用のパソコンにあらかじめインストールされていることが多く、新たに導入する場合でもコストが高額にはならないため、仕訳業務利用しやすいソフトです。

一方、Excelでの仕訳業務では、入金状況や請求額を目視で確認する必要がある他、消し込み・入力自体は手作業で実施するため、確認漏れや入力漏れが発生しやすいなどのデメリットがあります。

また、Excelの利用にはある程度の知識が必要になり、業務担当者によっては関数やデータを編集・消去してしまう恐れがあるため注意が必要です。作業が属人化しやすいため、効率的に業務をこなすためには工夫が必要です。

会計ソフト・ツールを導入する

売掛金の消し込み業務は、会計ソフトやツールを導入して行えば効率化できます。

Excelを利用しながら手作業で消し込み業務を行う場合、ヒューマンエラーが発生するリスクを完全に回避するのは難しいです。取引先の企業や取引数が多い場合、業務負担が増えてしまうため、手作業で全ての消し込み作業を確実に行うのは限界があるといえます。

会計ソフトや消し込み業務を自動化できるツールを使えば、正確な消し込み業務が可能になるため、業務を大幅に効率化できるでしょう。

消込業務の課題

企業の経理業務として消し込みを行う場合、以下のような課題に直面するでしょう。

・業務が属人化しがち
・担当者の負担が大きい
・人為的ミスが起こりやすくリスクも大きい

それぞれ詳しく解説します。

業務が属人化しがち

消し込み業務が抱える課題の一つが、業務が属人化しやすいということです。

消し込み業務にはある程度の経験値が求められるため、特定の従業員に対する負担が大きくなり過ぎると、確認漏れや入力ミスといったエラーやトラブルが発生しがちになります。

また業務が属人化しやすい性質があるため、他の従業員が業務を引き継げないというのもデメリットです。消し込みを担当する従業員が会社を休めなくなり、場合によってはそれを理由に退職してしまうケースも考えられます。

万が一、担当の従業員が離職した場合、消し込みができず経理業務が停滞したり、記入漏れによるトラブルに発展したりする恐れがあるため、注意しなければなりません。

担当者の負担が大きい

消し込み業務の課題として、業務担当者の負担が大きくなりやすい点が挙げられます。

消し込み業務は、以下の理由から重要度が高い業務といえます。

・会社の経営に直結する金銭の管理に関わる業務であること
・ミスやトラブルが発生しやすくその影響が大きい業務であること

また、経理部門では消し込み業務以外にもさまざまなタスクがあるため、消し込み業務を行うタイミングだけ残業が多くなったり、その都度営業担当者に確認したりと、負担がかかりやすくなるのです。

さらに、ミスが許されない業務でもあるため、担当者が抱える精神的なプレッシャーやストレスも負担がかかる要因です。

人為的ミスが起こりやすくリスクも大きい

会計ソフトやツールを導入して消し込み業務を自動化していない場合、ヒューマンエラーが起こりやすいのも、消し込み業務の課題となります。

一般的な消し込み業務では、担当者による数字の目視確認やデータの手入力が行われます。入金額の一致や振込口座などを確認するために必要な作業ですが、そこで人為的なミスが発生しがちです。

目視による確認は重要ですが、そこでミスが発生するリスクを完全に避けるのは難しいでしょう。ヒューマンエラーを防ぎたい場合は、消し込み業務を自動化できる会計ソフトや専用ツールの導入を検討するのがおすすめです。

まとめ

消し込みは企業の経理状況や経営状況を正確に把握するための重要な業務です。手作業や手入力で対応する場合、担当従業員の経験値と作業の正確さが求められます。

しかし、会計ソフトや専用ツールの導入によって、消し込み業務の自動化や効率化が実現可能です。業務が属人化している場合や、経理担当者の負担が増えている場合は、導入を検討してみましょう。

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