医療ファクタリングでレセプトのオフライン化を行うことが医療機関運営の鍵となる?
最終更新日:2021年09月09日
Mentor capitalです。
一般の事業所では売掛債権証券化・売掛債権担保融資・ファクタリングという方法を用いて売掛金のオフバランス化が推し進められる傾向が強くなっています。
医療機関を運営するなかで発生する売掛金といえばレセプトと呼ばれる診療報酬ですが、
レセプトの存在は比較的小規模で運営されている医院や歯科医院の運営に大きな負担となっているのも事実です。
専門性の高い技術や特殊な設備の導入や維持が求められる医療機関の運営は、一般の事業所とは異なる高額な運転資金求められる半面、
医療報酬として得ることができる大部分の金額は売掛金となるレセプトが適用されます。
レセプトのシステムは患者にとってはありがたいものですが、医療機関を運営する方にとって流動性の低いレセプトは厄介なシステムであると言えるでしょう。
しかし一般の事業所の売掛金同様に、医療機関でもレセプトを流動性の高い資金にオフバランス化することは可能です。
高い注目を集めるレセプトのオフバランス化「医療ファクタリング」を紹介します。
【レセプトのオフバランス化、医療ファクタリングの仕組みとは?】
一般の事業所での取引で発生する売掛金は取引先の事業所との間で発生しますが、
医療機関の売掛金(レセプト)は国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金という公的な機関に対して発生します。
レセプトは国保や社保という公的機関に対する売掛金ですから倒産の可能性がなく、一般の事業所に対する売掛金よりも遥かにリスクの低い優良な売掛債権だと言えます。
しかしその一方で、レセプトの請求を行っても医療保険の利用内容が審査されるため入金されるまでに時間が必要となり、
医療行為の施術から入金までに60~80日間の時間を要するというデメリットが内在するという側面もあります。
医療ファクタリングは現在抱えているレセプトをファクタリング企業に譲渡し、国保や社保からの支払い期限の前にレセプトを資金化するシステムで医療機関のみが利用することができます。
レセプトの持つ入金サイクルが長いというデメリットを解消し、オフバランス化を実現することができるのが医療ファクタリングだと言えるでしょう。
医療ファクタリングには3つの種類が存在する!
医療ファクタリングには
- 病院や診療所などの医療機関で発生する診療報酬をオフバランス化する「診療報酬債権ファクタリング」
- 介護施設で発生する介護報酬をオフバランス化する「介護報酬債権ファクタリング」
- 調剤薬局で発生する調剤報酬をオフバランス化する「調剤報酬債権ファクタリング」
上記3つのカテゴリーで構成されます。
医療機関以外でも介護施設や調剤薬局など国保や社保が適用される施設が、医療ファクタリングの利用が行える業種だと言えます。
【医療ファクタリングでレセプトをオフバランス化するメリットとデメリットとは?】
医療ファクタリングを利用してレセプトをオフバランス化することは、医療機関の運営をスマート化することに繋がります。
またレセプトの請求先が国保や社保という法的機関であることからレセプトは一般的な売掛債権よりも回収率が遥かに高く、優良な債権だと捉えられます。
一般的な売掛債権よりも優良な債権であるレセプトを取引する医療ファクタリングを利用することには、具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのかを紹介します。
医療ファクタリングを利用することで発生するメリット
レセプトは回収率の高い優良な売掛債権であることから、一般の売掛債権のファクタリングと比べるとレセプトを取引する医療ファクタリングには次に挙げるようなメリットが存在します。
・レセプトを短期間で資金化できる
・ファクタリングは借入れではないので信用情報へ影響しない
・借入れと違いバランスシート(賃借対照表)への影響がなく総資産利益率が向上する
・ファクタリング契約の審査のハードルが比較的低い
・ファクタリング企業から担保設定を求められない
・償還請求権なしのノンリコースで契約できる
・最大2ヶ月分のレセプトを資金調達できる
上記のメリット以外にもレセプトの請求先が公的機関であることから、
取引先との関係悪化や運営状態を疑われることがないのが一般の事業所が行うファクタリングと医療ファクタリングの大きな違いであり、この点もメリットとして捉えることもできます。
医療ファクタリングを利用することで発生するデメリット
医療ファクタリングを利用することは、一見デメリットが発生しないようにも感じますが、次に挙げる要素をデメリットとして感じてしまう方もいるかもしれません。
・ファクタリング契約が必ず成立するとは限らない
・レセプトが優良債権であるにも関わらず手数料を割高に設定する企業がある
・ファクタリングできるレセプトが最大2ヶ月分に限定されてしまう
・2ヶ月分を超えるレセプトをファクタリングする際は更に手数料が割高となる
流動性の低いレセプトを流動性の高い資金に転換する際に発生する手数料が、医療ファクタリングを利用する際のデメリットであると言えるでしょう。
仮に金融機関から短期融資を受けられる状態であれば、ファクタリング手数料を支払ってレセプトをオフバランス化するよりも有利なケースも存在します。
【医療ファクタリングを利用する際の注意点とは?】
多少のデメリットが予想されるものの、医療ファクタリングを利用してレセプトのオフバランス化を行うことは数多くのメリットを生み出すと考えられます。
非常に魅力的な医療ファクタリングですが、実際に医療ファクタリングを利用する際に気をつけるべき事項がいくつかありますので紹介します。
ファクタリングの取引条件には注意を!
一般的なファクタリングには売掛債権を持つ事業所と買掛債務を負う事業所、
そしてファクタリング企業が行う3社間ファクタリングと売掛債権を持つ事業所とファクタリング企業で行う2社間ファクタリングの2つの契約形態が存在します。
医療ファクタリングの場合レセプトを担保するのが公的機関であることから、レセプトを譲渡したことを通知する債権譲渡通知を行っても、
今後の取引にマイナスに働くことがないため通常3社間ファクタリングの形態で契約を行います。
3社間ファクタリングは2社間ファクタリングよりも手数料が割安となるものですが、
2社間ファクタリングで契約を結ぼうとするファクタリング企業も存在しますからファクタリング契約締結の際には契約条件をしっかりと確認する必要があります。
ファクタリングを利用すると契約を解除しずらくなる
国保や社保の診療報酬に対する審査期間を待たずにレセプトを資金化することができるのが医療ファクタリングの魅力ですが、
一旦医療ファクタリングを利用するとファクタリング契約を解除した月から2ヶ月ほど診療報酬が途切れてしまうケースがあります。
一般の事業所で有れば売掛債権のある取引先の中からファクタリングする債権を選ぶことができますが、
医療機関の場合は国保と社保の2つしかファクタリングできる取引先がないことから、
双方のレセプトをファクタリング契約すると新たなレセプトが資金化されるまでのタイムラグが発生してしまうからです。
医療ファクタリングを利用する際にはファクタリング契約を解除した後の資金調達計画をしっかりと建てる必要があると言えます。
【最後に】
現在医療ファクタリングを利用する医療機関や介護施設、調剤薬局などの施設数は2014年から2016年の2年間の間に約20%程の伸びを示しています。
一般の事業所で積極的に行われている売掛金のオフバランス化は、レセプトの存在に頭を悩ませている医療機関でも確実に実施され始める傾向にあると言えるでしょう。
医療機関と言えども施設間の競争が激化する現在、医療ファクタリングを利用したレセプトのオフバランス化は検討するに値する資金調達方法ではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?
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