社内コラムファクタリング関連の情報をお届けいたします

連鎖倒産を回避するセーフティネット!経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)とは?

最終更新日:2024年06月28日

keiei-rensatousan-kaihi

自社の業績に関わらず取引先が振り出した手形や小切手が不渡りとなったことが原因で連鎖倒産に巻き込まれるのは絶対に回避したい最悪のケースだと言えるでしょう。

取引先の業績が良好であれば取引先との関係が密接であることは有利に働きますが、万一取引先の業績が悪化した場合は連鎖倒産のリスクが高くなるのが悩ましいところだと言えます。

取引先の倒産に巻き込まれた連鎖倒産を回避するためには取引先を分散させることが効果的ですが、不測の事態に対応できる備えを行っておく必要もあります。

連鎖倒産を回避するセーフティーネットである経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)を紹介します。
 
 

 

経営セーフティ共済(中手企業倒産防止共済)とは?

 

取引先の倒産に巻き込まれ連鎖倒産する中小・零細企業のセーフティネットとして独立行政法人中小企業基盤整備機構(通称:中小機構)

が提供する共済が経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)です。

加入企業の取引先が倒産し売掛債権の回収が不能となった場合に無担保・無利子で共済金の貸付を行い連鎖倒産のリスクを回避することを目的に運営されています。

 

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の加入資格は?

 

中小・零細企業が連鎖倒産に巻き込まれることを回避する経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)ですが、

残念ながら無条件に加入できるものではなく1年以上の営業実績を持つ次に挙げる企業を対象に運営されています。

 

  • 資本金又は出資総額3億円以下で従業員数300人以下の「製造・建設・運輸・その他の業種」
  • 資本金又は出資総額1億円以下で従業員数100人以下の「卸売業」
  • 資本金又は出資総額5,000万円以下で従業員数100人以下の「サービス業」
  • 資本金又は出資総額5,000万円以下で従業員数50人以下の「小売業」
  • 資本金又は出資総額3億円以下で従業員数900人以下の「ゴム製品製造業」
  • 資本金又は出資総額3億円以下で従業員数300人以下の「ソフトウェア・情報処理サービス業」
  • 資本金又は出資総額5,000万円以下で従業員数200人以下の「旅館業」

 

また次に挙げる組合も経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)への加入が可能です。

 

  • 企業組合、協業組合
  • 共同生産、共同販売等の共同事業を行う事業協同組合、事業協同小組合、商工組合

 

 

万一の際に安心できる共済金貸付制度とは?

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の加入企業は取引先が倒産した場合、

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)から共済金の貸付を無担保・無利子で受けられるため連鎖倒産回避のセーフティネットとして機能すると言えます。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)から無担保・無利子で借り受けられる金額は最大積立金額の10倍に設定されています。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に積立てられる金額の上限は800万円となっているので仮に最大額を積立てている場合は、

8,000万円の共済金を無担保・無利子で借り受けられるということになります。

 

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の共済金貸付条件の取引先の倒産とは?

 

取引先の倒産によって売掛債権の回収が困難となった場合のセーフティネットとして、

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の共済金貸付制度は効果的ですが、制度利用には取引先が倒産した場合に限られます。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の定める取引先の倒産は次に挙げる状態を指します。

 

  • 破産手続、再生手続、更生手続、特別清算など法的整理開始の申し立てが行われた場合
  • 振出手形やでんさいネット取扱いなどで金融機関から取引停止処分が下された場合
  • 取引先から委託された弁護士や認定司法書士によって私的整理が通知された場合
  • 特定非常災害などで取引先の支払い能力が失われた場合

 

取引先が上記の条件に該当する状況に陥った場合、申し立てや取引停止処分が下された期日から6ヶ月以内に経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

に対して共済金貸付の手続きを行うことで共済金貸付制度を利用できます。

但し、上記の倒産日から6ヶ月を経過している場合や取引先が夜逃げした場合は、

残念ながら経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の共済金貸付制度は利用できなくなるので注意が必要です。

 

 

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)から借受けた共済金の返済方法などは?

 

万一の連鎖倒産回避のため50~8,000万円を無担保・無利子で借り受けられる効果的なセーフティネットである経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)ですが、

あくまで貸付である以上返済の義務が発生します。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)では全ての貸付に対して6ヶ月の据置期間を設定しており、据置期間を含む返済期間は貸付金額によって次に挙げる3つに分けられます。

 

  • 5,000万円未満の貸付:5年(据置期間+54ヶ月)
  • 5,000~6,500万円未満の貸付:6年(据置期間+66ヶ月)
  • 6,500~8,000万年未満の貸付:7年(据置期間+78ヶ月)

上記の期間で経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)から借受けた共済金を毎月均等払いで返済することが求められ、返済の延滞が生じた場合は年率14.6%の違約金が発生します。

 

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は資金調達手段や節税にも効果的!

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は連鎖倒産回避のセーフティネットとしてだけではなく一時貸付金制度を利用した事業資金の調達手段や税金対策にも効果的に活用可能です。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の一時貸付金制度は積立金納付月数12ヶ月以上から利用することができ納付月数によって次に挙げる借入限度額を設定しています。

 

  • 積立金納付額12ヶ月~23ヶ月:積立金額×75%×95%
  • 積立金納付額24ヶ月~29ヶ月:積立金額×80%×95%
  • 積立金納付額30ヶ月~35ヶ月:積立金額×85%×95%
  • 積立金納付額36ヶ月~39ヶ月:積立金額×90%×95%
  • 積立金納付額40ヶ月以上:積立金額×95%×95%
  • 積立金800万円:800万円×100%×95%(760万円)

 

上記割合で無担保・無保証人で30万円以上5万円単位、年利0.9%で一時貸付を行っています。

使用用途は事業資金に限定され返済期間は1年間、返済方法は一括返済のみとなっていますが、低金利で資金調達を行えるのは大きな魅力だと言えるでしょう。

更に経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)解約時には、次に挙げる割合で解約手当金が返還されます。

 

  • 加入12ヶ月以上:80%
  • 加入24ヶ月以上:85%
  • 加入30ヶ月以上:90%
  • 加入36月以上:95%
  • 加入40ヶ月以上:100%

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の積立金は年間240万円、総額800万円までの全額を損金として計上できる優遇措置が取られているため、

連鎖倒産リスクを回避するコストで税負担を軽減することができるのも大きなメリットだと言えます。

 

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の利用時の注意点は?

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は月額5,000~200,000円の範囲内で5,000円単位で積立金を自由に選択でき、無担保・無利子で利用できる効果的な連鎖倒産回避のセーフティネットです。

しかし共済金の借入を受けると借入額の10%が積立金から控除されるため、

借り入れた共済金完済後に経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)を解約した場合既述の解約手当金が返還されなくなってしまいます。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の共済金貸付制度を利用する際には、「一時貸付金制度」「解約手当金」と比較して共済金貸付制度が有利な場合のみ利用数るべきだといえるでしょう。

 

 

最後に

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)を提供する中小機構は、公的機関として位置付けることができる独立行政法人です。

公的機関の提供する共済サービスは取引先の倒産に巻き込まれた中小・零細企業が連鎖倒産しないためのセーフティネットの役割を果たす一方で、

共済金貸付制度の利用時には積立金が償却されるという弱点を持っています。

税金対策に有効な面を持つことから経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)への加入はおすすめしたいものですが、

共済金貸付制度の利用に関しては「現状では慎重に判断するべきではないか?」と考えられるのも事実です。

とはいえ取引先の倒産騒動に巻き込まれて連鎖倒産してしまうのは絶対に避けたいものですから、

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は最後の守り刀として温存させておくのが良いのではないでしょうか。

 

いかがでしたでしょうか?

何か不明な点等が有れば、お気軽にメンターキャピタルまでお問合せ下さい!!