最終更新日:2023年12月18日
「事業拡大に伴う追加投資」・「売掛債権の流動化」・「金融機関の評価スコアの向上」など資金調達に迫られる理由は様々です。
資金調達方法として銀行からの融資やビジネスローンの利用が知られていますが、実はこれ以外にも資金調達方法は多く存在します。
事業者間の生存競争が激化する現在、1つでも多くの資金調達方法の把握が事業運営には求められます。 いざという時のサバイバルテクニックとなる資金調達方法を紹介します。
目次
資金調達方法は大きく3つに分類され、それぞれの資金調達方法の特徴は以下のとおりです。
所有する自己資産の中で資産価値の高いものを売却し資金調達を行います。 売却可能な自己資産には有形資産や無形資産が含まれます。
アセット・ファイナンスでの資金調達は、流動性の低い資産を流動性の高い資金に置き換えることを意味します。
これは現在注目される「資本のオフバランス化」に繋がり事業運営の健全化を推し進める2次的効果も望めます。
金融機関や公的機関からの融資や手形を割引で資金化するなど、最も広く知られる資金調達方法です。
手形割引での資金調達はアセット・ファイナンスのように感じるかもしれませんが、割引で資金化を行った手形が不渡りになれば買い戻し義務が発生します。
ノンリコースではなく返済義務が生じるため、手形割引での資金調達はデッド・ファイナンスに分類されます。
投資家からの投資で資金調達を行うのがエクイティ・ファイナンスです。
投資という形で調達した資金には返済義務が発生しませんが、資本金増資の出資比率によっては投資家の発言力が強くなり、事業の自主性を保つことが難しくなるケースもあります。
新たな資金調達方法として注目を集めるクラウドファンディングや、仮想通貨の1つであるトークンを発行し世界中に投資を募り資金調達を行うICOなどもエクイティ・ファイナンスに分類されます。
事業運営には欠かせない資金調達ですが、資金調達方法は多種多様に存在します。
既述の資金調達方法では、どのような方法で資金調達を行えるのかを紹介します。
アセット・ファイナンスといえば
などがあります。
それらを含め、流動性の低い自己資産を売却し、資金調達を行うアセット・ファイナンスは次の方法で資本置き換えを行います。
無形資産の売却に含まれる売掛債権の売却が、流動性の低い資産のオフバランス化を行うファクタリングです。
デッド・ファイナンスといえば
などがあります。
融資で行う資金調達方法は最も身近な方法ですが、銀行やビジネスローン・商工ローン以外でも融資が受けられることは意外と知られていないようです。
日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関や地方公共団体の制度融資や信用保証協会の保証付で受ける銀行からの融資などが該当します。
動産譲渡登記を行い流動性の低い在庫や原材料などを担保に融資を受けます。ABL(アセット・ベースド・レンディング)と呼ばれ近年注目される資産調達方法です。
債権譲渡登記を行い売掛債権を売却することなく担保として融資を受けます。 売掛債権を売却しない点がファクタリングとは異なります。
上記以外にも手形割引・不動産担保ローンが一般的な資金調達方法だといえます。
また取引先から前払いを受ける形や事業所の従業員から借り受ける「社内預金制度」などで資金調達を行うことも可能ですが、取引先や社内の人間関係が大きく影響する資金調達方法だと言えます。
その他、親族・知人から借りるケースもあります。
エクイティ・ファイナンスといえば
などがあります。
IPOと呼ばれる株式公開や上場で資金調達を行うことが、資金調達の最終到達地点だと考えられています。
IPO後は新株を発行し第三者割当増資で資金調達が行えますが、IPOのほか、資金調達方法には次の方法が存在します。
投資先進国の欧米で盛んに行われる投資で、成長が期待できるベンチャー企業に投資を行います。国内でもベンチャー企業投資促進税制の創設後徐々に広がりつつある資金調達方法です。
ベンチャー企業に投資を行い、上場させることで資金回収を行う投資専門会社(ベンチャーキャピタル)からの出資で資金調達を行います。
投資専門会社によって目的別に設立された投資事業有限責任組合から資金調達を行います。
また従業員持ち株制度やストックオプションと呼ばれる新株予約権などで、事業所内で投資を募る資金調達方法も存在します。
ストックオプションの1つとしてトークンを発行するICOを採用するケースも増加しています。
また、オンラインで小口の個人投資家からの投資を受けられるクラウドファンディングは、
革命的なエクイティ・ファイナンスの手法として事業所や投資家から高い注目を集める資金調達方法だといえます。
その他の資金調達方法として、補助金・助成金も有力な方法の1つとなります。
また、比較的新しい方法として仮想通貨での調達方法もありますが、まだ国内での法整備が進んでいないため、積極的に活用するのは控えたほうが良いと言われています。
資金調達を考えている方にとって「アセット・ファイナンス」・「デッド・ファイナンス」・「エクイティ・ファイナンス」などの資金調達方法は非常に魅力的に映るのではないでしょうか?
しかし、それぞれの資金調達にもメリットとデメリットが存在するので紹介します。
【メリット】
保有する流動性の低い資産を流動性の高い資金に置き換えることで、資産のオフバランス化が可能となり総資産利益率を向上させます。
財務比率の改善に繋がり事業の信用の向上効果に繋がるのがメリットです。
【デメリット】
一方、資金に置き換えることができる資産がなければ資金調達を行えないことから、資金調達が資産の質に大きく影響される点はデメリットだと考えられます。
【メリット】
融資で資金調達を行うので融資元を選べる点や、借り入れに節税効果がある点は大きな魅力です。融資元の承認を得ずに事業運営を行え事業運営の自主性を守りやすい点もメリットだといえます。
【デメリット】
一方、融資には厳しい審査が存在し審査を通過できない可能性や融資元の判断で融資の引き上げが行われる可能性、完済まで発生し続ける利息などがデメリットだと考えられます。
【メリット】
投資を受け資金調達を行うので調達資金には原則返済義務や利息が生じないことや、貸借対照表(バランスシート)上では資本として扱われ自己資本率が向上することはメリットだといえます。
【デメリット】
一方、株式を発行することで事業運営権を投資家に握られる可能性や利益に応じた配当を株主に分配する際の配当政策を行う必要があるなど事業運営の自主性をも守り難い点がデリットだと考えられます。
資金調達は事業運営に欠かすことができないものですが、調達方法によっては事業の存続が危ぶまれる事態に陥るケースも存在します。
運営する事業によって最適な資金調達方法は様々ですので、多くの資金調達方法の情報を掴んでおく必要があると言えるでしょう。
企業がその時点で最適な資金調達方法を選択するためには、成長ステージにあった方法を知ることが大事です。
いかがでしたでしょうか?
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