最終更新日:2024年07月31日
会社経営を行う上で、銀行に代表される金融機関からの借入れで資金調達を行うことは決して珍しいことではりません。
しかし会社が借入れを受けることに対して抵抗感を持つ方も少なくないようです。 個人的な借入れは無いに越したことはありませんが、
クレジットカードも利用日から支払い日までの間はカード会社から借入れを受ける形で運営されるサービスなので、一概に借入れが悪いことではないとも考えられます。
会社経営を行う方にとって「無借金経営」は非常に魅力的な響きかも知れませんが、会社にとって借入れは悪いことばかりではありません。 会社と借入れについて解説します。
金融機関からの借入れに対して抵抗を感じる会社経営者の方は「借入れ=会社の業績悪化」という公式をイメージしているのではないでしょうか?
現金取引で潤沢な運転資金がありキャッシュフローに全く問題ない会社や、事業拡大を行わない会社であれば金融機関からの借入れの必要は無いでしょう。
業績の順調な大手企業でも有利負債(借入れ)を行う理由とは?
日本を代表する存在の会社であっても決算報告書を確認すると、非常に多くの会社が借入れを行いながら運営していることが分かります。
借入額は年商の約64%や約2倍などと会社によって異なりますが、決して少なくない額を借入れながら会社を運営していると言えます。
大手の会社の多くが借入れを行いながら運営する理由として、次の5つが考えられます。
・新規の資金調達に手間取らない
・高額な預金残高はキャッシュフロー健全化と資金調達難易度を下げる
・自己資金以上の規模の事業運営が行える
・積極的に新規事業を打ち出すことが出来る
・金融機関と強い信頼関係を結べる
非常に多くの自己資産を持つ会社であっても、借入れを行うのには上記のメリットがあると推測されます。
次項で借入れを受けて会社運営を行うメリットを具体的に紹介します。
年商に匹敵する金額や年商以上の借入れを行いながら運営される大手の会社では借入れを行うことで得られる5つのメリットに魅力を見出していると推測されます。
借入れを行うことで生まれる5つのメリットを具体的に紹介します。
借入れを利用して資金調達を行う際、金融機関は必ず審査と呼ばれる与信調査を行います。
審査の際には主に返済能力が測られますが、借入れに対する返済実績を積み上げることが金融機関に対する信用に繋がり、
新規融資に対する審査のハードルが下がり結果的に迅速な資金調達を行うことが可能となります。
キャッシュフローは会社運営に大きく影響します。
仮に売上1,500万円・売掛債権750万円・仕入れなどの支出1,000万円の条件で比較すると、無借金経営で預金残高100万円の会社のキャッシュフローは運転資金が150万円ショートしてしまいます。
一方500万円の借入れを行い500万円の預金残高がある会社ならキャッシュフローは250万円のプラスとなります。
また預金残高は事業体力を測る指標にもなることから、預金残高が多いほうが不測の事態で融資を受ける際にも、審査を通過しやすい傾向があると言えます。
借入れを受けることで自己資金以上の規模で会社運営を行えるのは、株主となる投資家にとって魅力的に映ります。
借入れで事業拡張することは、少ない資本投下で多くの利益を得られる可能性が高い「レバレッジをかけた積極的な会社運営」として投資家には映ります。
投資家の信用を高めることは会社運営を行うポイントの1つだと言えますし、経営者が出資者でもあるオーナー企業にとっても、
少ない資本投下で多くの利益を得られる可能性が高まることは魅力的だと言えるでしょう。
新規事業への参入や新たなビジネスチャンスを掴むための設備投資や、支払い条件が厳しい優良見込み客との新規契約など、会社を運営していると経営上の決断を迫られることは少なくありません。
預金残高を高水準で保つことで、資金繰りの心配をすることなく純粋に経営戦略に集中でき、より積極的な会社経営を行うことができます。
借入れを行うと取引先の金融機関に利子を支払うことになり、これをコストとして感じる方も居るでしょう。
しかし長期間の取引を行うことで金融機関との関係を構築することは会社運営のために決してマイナスになることではありません。
金融機関の社風によって取引先に対するスタンスは異なりますが、一般的に信頼関係が構築できた金融機関は、
新規提携先や取引先の紹介などの有益な情報提供で取引先の会社を支援してくれます。
安定した会社運営のために、借入れを上手に利用することが効果的であることは既に紹介しました。
一般的に会社が借入れを必要とするのは起業時・事業拡張時・運転資金調達時だと考えられます。
起業時は預金残高が不足しがちです。
事業拡張時には運転資金として預金残高を保留したまま借入れを行い事業拡張を行うことがリスク回避策として有効となります。
つまり全ての借入れ動機は「運転資金調達」に起因していると言えるでしょう。
運転資金はどのような業態の会社であっても必要不可欠なものですから、運転資金調達手段に多くの会社経営者の方は頭を痛めていると言えます。
既述した「借入れを行いながら会社運営を行う5つのメリット」からも借入れが新たな運転資金調達に効果的であるということが理解できます。
既に高額の預金残高を保有し、融資を受けることなく設備投資や運転資金の確保が行えている状態で有れば、無借金経営を目指すのも悪くないでしょう。
しかし一般的にはキャッシュフローの健全化や設備投資などの建設的な投資に対して融資を利用することは効果的に働くと言えます。
現代は驚くほどのスピードで様々なトレンドが変化しています。会社運営には時代の変化に柔軟に対応できるフレキシブルな行動力も求められます。
借入れに抵抗を持つあまり適切な設備投資や事業展開を行うことができず、機会損失を繰り返して会社の運営に行き詰ってしまっては本末転倒となります。
柔軟な会社運営を行うために事業規模に見合った運転資金の確保は不可欠ですので、
建設的な動機による借入れで運転資金調達を行うことは会社運営にとってマイナスになることではないと考えられます。
会社運営を安定させるために借入れを活用することは非常に効果的な手段だと言えます。
しかし借入れを行う際には無理のない返済計画をたて融資期間を決定しないと、
会社運営を安定させるどころか借入れの返済がキャッシュフローに悪影響を及ぼす可能性もあります。
近年返済計画の見直しを行うリスケジュール(リスケ)の存在が注目されていますが、
リスケを行うと新規融資を受けることが困難となりリスケは禁断の果実のような位置付けがされています。
事業資金調達手段は借入れだけに限らずファクタリングなどの方法も存在しますから、
資本のオフバランス化と借入れのバランスを取りながら会社運営を行うことが事業運営維持のポイントだと言えるのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?
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