最終更新日:2020年10月28日
Mentor Capitalです。
今回は、ファクタリングの手数料について解説したいと思います。
ファクタリングを利用して売掛金を現金化する際は、ファクタリングの手数料がかかります。
この手数料はファクタリング会社や取引の形態によって異なり、10~30%程度の手数料が発生する場合もあります。
ただし、法的な取り決めや業界内の明確な基準はなく、各ファクタリング会社の裁量次第となっていますので、あまりにも高い手数料率の場合は注意が必要です。
手数料が高くなると手元に入る資金が少なくなり事業にも影響する可能性がありますので、まずは手数料を払ってもファクタリングで資金調達するべきか、事前にしっかり検討しましょう。
ここではファクタリングの手数料の相場と仕組み、手数料を抑える方法を解説します。
ファクタリングの手数料を比較する前に知っておきたい点
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社によって違います。
利用する側として資金繰りに困っているケースもありますので、極力手数料が安いファクタリング会社を選びたいと思います。
しかし、手数料が安い=最善の選択、とならない場合があります。
後で詳しく解説しますが、手数料はリスクが影響します。
買取してもらう売掛金が確実に回収できる債権であれば買取する側(ファクタリング会社)はリスクがありません。
この場合は手数料が安くなります。
一方で、売掛金が回収できるかどうか分からない場合は、回収不能リスクが高まります。
この場合は手数料が高くなり、状況によっては買取してもらえない可能性があります。
手数料が安いファクタリング会社はリスクを取らない
ファクタリング会社の方針として、リスクが低い売掛金だけ買取する場合は総じて手数料は安いでしょう。
その時に、手数料の安さでその会社を選んで売掛金の買取りを希望した場合、あなたが保有する売掛金がリスクを基準にした場合に買取してもらえる債権かどうか、厳しい審査を受けることになります。
極端な例として、売掛先が上場企業で掛売りが毎月発生して毎月確実に回収されているという継続性が何年も続いている場合は、優良な債権として確実に回収できると判断され、手数料が安くなるでしょう。
そうでない場合は、リスクの高まりとともに、手数料も上がっていきます。
ここで大事な点は、自社の売掛金を適正に判断して妥当な手数料率を提案してくれるファクタリング会社を利用するのが最善の選択肢になるという点です。
それでは、ファクタリング手数料についてその他のポイントも見ていきましょう。
ファクタリングの手数料は会社や取引の種類で相場が違う
ファクタリングの手数料は主に以下の要因で変わります。
ファクタリング会社の年商が高いほど手数料が安い
ファクタリング会社によって規模の大きさが違うため年商も変わってきます。
一般的に億単位の年商がある会社は信用力が高まるためファクタリングの手数料も安くなることが多いです。
逆に年商が億単位ではない会社は未知数な部分が多いため手数料が高くなる傾向があります。
会社の年商別のファクタリングの手数料の相場は以下のようになっています。
3社間取引の方が2社間取引より手数料相場が安い
ファクタリングの取引方法は債権者とファクタリング業者の2社間、取引先にも通知する3社間があります。
どちらの方法でも手数料が発生しますが、3社間取引の手数料が安いです。
取引方法別のファクタリングの手数料の相場は以下のようになっています。
3社間取引をすると償還請求権があるのでファクタリング業者のリスクが軽減されます。
また手続きの手間も省けるため2社間取引より手数料が安いのです。
ファクタリングの手数料の勘定科目や消費税は?
ファクタリングで資金調達をしたときは会社の会計処理で計算する前に仕訳をしなければいけません。
仕訳をするときにファクタリングの手数料の勘定科目や消費税についてしっかり把握しておく必要があります。
以下のようになっていますので仕分けをする前に確認しておきましょう。
ファクタリングで資金調達をするときは金融取引に分類されます。
金融取引では債権の取引の手数料に関しては非課税と定められています。
そのためファクタリングの手数料は非課税となりますので消費税はかかりません。
ファクタリング会社が考える手数料の中身とは?
まずは、ファクタリングの手数料の中身について紹介します。
2社間取引のファクタリグ手数料が高額なのは登記費用が原因
2社間取引のファクタリング手数料は10%~20%程度と言われますが、全てファクタリング会社の利益になるわけではありません。
実は手数料の4割程度は登記費用となります。
2社間取引の場合、売掛金を現金化したい企業と、ファクタリング会社の2社間で取引を行いますが、ここで信用上のリスクが生じます。
売掛金を現金化したい企業が複数のファクタリング会社に権利を売却した場合、責任関係が曖昧になり、資金回収ができなくなる可能性が生じます。
そのため、債権化した売掛金の情報を登記という形で記録に残す必要が出てきます。
登記は公的な手続きを踏む必要がありコスト削減できません。
債権譲渡登記・抹消登記の登録免許税、契約書に貼る印紙税、登記事項証明書の交付手数料が発生し、手数料の1割は印紙代に消えていくと言われています。
登記作業は司法書士が行いますので、司法書士に債権譲渡登記に関する報酬を支払う必要があり、ケースにもよりますが手数料の40%程度を占めていると言われています。
司法書士報酬などを含めると一般的に登記費用は10万円を超えます。
これが2社間ファクタリングの手数料が高額になる理由です。
小額の2社間ファクタリングを行う場合、手数料の大部分が登記費用になる場合もありえます。
3社間ファクタリングであれば契約書が登記の代用となり、手数料を大きく抑えることが可能ですが、
2社間ファクタリングはスピーディーな現金化が可能な一方で、信用を担保するための費用がかさみます。
この様に、ファクタリング手数料のうち半分程度は債権譲渡の登記に費やされます。
他にも顧客を紹介して貰った場合などは紹介者に紹介料を支払う必要もあり、諸々の経費を差し引くと手数料全体の30~40%程度しか残らないと考えられます。
ファクタリングの手数料相場はリスクに比例する
ファクタリング手数料の基準は売掛金の回収リスクに比例しており、リスクが高いほど手数料も高くなる傾向にあります。
ファクタリングは売掛金を債権化し、ファクタリング会社に売却することで現金化する手法です。
担保が不要なため銀行の融資に頼らず資金を確保できるのが大きな魅力ですが、債権を買い取るファクタリング会社は、売掛金の回収先の倒産リスクなどに備える必要が出てきます。
そのリスクは手数料に上乗せされます。
例えば手数料20%で100万円の2社間ファクタリングを行う場合、ファクタリング会社は20万円の手数料を手にしますが、
経費の支払いを行うと最終的にファクタリング会社の手元に残るのは8万円程度と言われています。
100万の回収が行えない場合は92万円の赤字となります。
この様にファクタリング会社は、相手の与信を間違えば大きなダメージになりますので、どのファクタリング会社も与信管理に細心の注意を払います。
売掛金を回収するために企業の規模や収益力、与信力などの確認が行われます。
企業規模などである程度の目安を付けられても、後から重大な経営リスクが発覚することは珍しくなく、大幅に手数料が変更される可能性もあります。
しかし財務状況が悪い会社や、初回取引の会社がファクタリングを申し込んでも、債権の未回収リスクがあり手数料を下げる事ができません。
優良企業との取引であれば手数料を抑えられる可能性もありますが、ごく稀なケースだと言えるでしょう。
売掛先が上場企業などの場合はリスクを大きく取る必要はありません。
売掛金の回収先だけでなく、ファクタリングの依頼企業の体質も手数料に織り込まれるケースもあります。
申告に不備があれば信用リスクが生じ、面談時に現状確認を行い段階に応じて手数料を上げる措置がとられる場合もありえます。
また意図的にリスクを隠ぺいしていると判断された場合は、ファクタリングを拒否されることもあります。
ファクタリング会社の企業規模によって、受け入れられるリスクの内容も変わります。
ファクタリング会社が手数料を抑え同業他社との競争を優位にしたいと考えても、経費や与信リスクを考えると手数料を下げにくい事情が伺えます。
ファクタリングに掛かる経費を抑える方法とは?
ファクタリングの手数料構造を理解したうえで、ファクタリング会社に手数料の引き下げに応じてもらうのには次に挙げる方法が効果的だと考えられます。
ファクタリング会社が負担する手数料や経費の削減を提案をする
既述の通りファクタリング手数料のうち会社の手元に残るのは40%程度だと言われていますが、
仮に譲渡登記を行わなければ手数料の半分近くがファクタリング会社の手元に残るので、手数料を抑える事ができそうです。
2社間ファクタリングは譲渡登記の費用分手数料が高くなるので、手数料を抑えたい場合は「3社間ファクタリング」でファクタリングを行う必要があります。
3社間ファクタリングは売掛先企業の同意が必要なので譲渡登記を行わなくても、ファクタリングで債権譲渡が行われた事を証明できます。
そのため譲渡登記が不要となり、その分の手数料を抑えられます。
また、知人の司法書士が登記手続きを安く行ってくれるなどの理由で登記コストを下げられる場合はファクタリング会社に提案するのも良いでしょう。
ただし、ファクタリング会社も低コストで登記を行う司法書士事務所と提携している可能性もありますので、よほどの安値でない限り難しいのが状況だと言えます。
与信リスクが軽減できるアピールを行う
もう一つのアプローチは、ファクタリング会社の与信コストを削減するという手法です。
財務状況を明らかにし費用を支払う事は当然として、ファクタリング会社の与信コストを削減して手数料を抑えるためになにが効果的なのでしょうか。
債権の回収リスクがない事をアピールする
ファクタリング会社にとって安心できる債権として、病院が持つ診療報酬債権が挙げられます。
病院の診察の多くは国民保険や健康保険などが適用されますが、保険組合からの診療報酬の回収には申請後数ヶ月のタイムラグがあり、病院は保険組合に対して診療報酬債権を持つ事になります。
診療報酬債権は未回収の可能性はほぼない事から、ファクタリング会社にとって与信リスクが極めて低い債権だと言えます。
診療報酬債権は診療報酬債権ファクタリングとして特別なカテゴリーで低い手数料が設定されています。
診療報酬債権以外にも、調剤薬局が保険適用の調剤を行う際に支払われる調剤報酬債権、介護保険適用サービスで生じる介護報酬債権などは診療報酬債権同様、
未回収リスクが限りなく低いためファクタリング手数料が抑えられています。
同様に財務基盤のしっかりした大手企業も債権回収リスクが低いと捉えられファクタリング手数料を抑える事が可能です。
確かに大手企業の債権は手数料の交渉に有利ですが、ファクタリング会社は大手企業との取引実績を重視しますので、
大企業の債権でも取引実績の少ない企業はファクタリング手数料の値引きは厳しいかも知れません。
債権回収リスクの低い債権は手数料の値引き交渉が行いやすいものの、2社間ファクタリングでは債権回収リスクの低い債権でも値引きの交渉は厳しいと考えられます。
なぜなら2社間ファクタリングでは回収は債権を売却した事業者が行うので、事業者が債権を回収後ファクタリング会社に支払いを行わず運転資金に転用するリスクがあるからです。
複数回の利用を提案する
銀行やビジネスローンなどを取り扱う金融機関同様、ファクタリング会社も信頼の目安として、自社との取引実績を重視します。
初取引の事業者よりも複数回の取引実績のある事業者の方が手数料の交渉が行いやすくなります。
ファクタリング会社との初回取引で値引きの交渉を行うのではなく、取引を重ねた上で手数料の割引について交渉するのが、ファクタリング手数料を抑えるオーソドックスな手法と言えるでしょう。
また初取引の場合でも、継続的な利用を行えば次回以降手数料の割引はあるか事前に相談することで、継続的取引の意思があることを印象付けられ手数料交渉にプラスに働くと考えられます。
ファクタリングの手数料についてまとめ
資金調達を行う利用者からすればファクタリング手数料は高いと感じるかもしれませんが、譲渡登記費用に手数料の半分を費やし、
万一債権が回収できない場合には大きな損が生じるファクタリング会社にとってリスクに対する手数料率という側面から、必ずしもファクタリング手数料は高くないとも考えられます。
ファクタリング会社と手数料交渉を行う際に心がけておくべきなのはファクタリング会社の費用を減らすような提案、もしくはファクタリング会社の与信リスクを減らすような提案を行う事です。
前者は譲渡登記が不要である3社間ファクタリングを行うのが手数料を抑えるポイントとなります。
ただし、3社間登記には売掛先の企業の同意が必要となるので売掛先企業との関係を良好に保っておく必要があります。
後者は、取引実績を積み重ねるという方法が、地味ですが有効な方法です。
銀行と同じようにファクタリングの相手先が信用できるか否かについてファクタリング事業者はどの程度の取引実績があるかで判断します。
この様な観点から初回取引から値引き交渉を行うのは難しくても、十分に取引実績を積めば手数料の値引き交渉は可能だと考えられます。
また、債権回収リスクの低い債権は手数料を抑えることが可能です。
例えば病院の診療報酬債権に代表される医療ファクタリングや財務基盤のしっかりした大手企業の債権は中小企業の債権より未回収リスクが低く、
ファクタリング手数料の値引き交渉を行いやすいと言えます。
しかし大手企業との継続的な取引実績がない場合はファクタリング会社が不安視し手数料の値引きが難しいケースもあります。
このようにファクタリング手数料はいくつかの要因に影響されますが、逆説的には交渉次第で引き下げできる可能性もあると考えられます。
いかがでしたでしょうか?
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