最終更新日:2020年03月02日
Mentor Capitalです。
2017年に貸金業法違反で業者が逮捕されたことで、ファクタリングが違法というイメージが広がったことは否めません。
逮捕されたのは、売掛債権を担保として法外な金利で貸付を行っていた業者ですので、貸金業無登録ということで逮捕されました。
そのため、別にファクタリングが法律に違反する行為だから逮捕されたわけではないことは確認しておきましょう。
そこで、ファクタリングが法律に違反するような危険な行為ではなく、完全に合法な行為である根拠を解説し、注意したい悪徳業者の特徴について詳しく見ていきます。
ファクタリングとは
売掛債権を企業から買い取って、その管理や回収などに携わる金融サービスのことです。
売掛債権を通常より早く現金化できるということで、資金調達の新しい方法として注目されています。
ただ、売掛債権は時間が来れば支払われるものであるため、それを別の業者に売って現金にするという行為には問題があるのかもしれないと感じる方もいることでしょう。
実際、悪質な業者が逮捕されたニュースもありましたし、法律に違反していないかどうか調べておくことは大切なことです。
そこで、安心して利用するためにも詳細を知っておきましょう。
ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社が買い取ること
悪徳業者が逮捕されたことで、いかにもその行為自体が法律に触れているかのように伝えられましたが、実際は法律にはまったく違反していません。
ファクタリングとは、ある企業が持っている売掛債権を別の企業が買い取ることを言います。
その別の企業が手数料やリスクなどを見越した上で手数料を決めて、実行料金を売掛金から引いた差額を買取り金として支払ってくれるという金融サービスです。
ファクタリングは貸金業ではない
ファクタリングが貸金業でないことは明らかです。
出資法や貸金業法など金融に関する法律には該当しません。
そのため、業者も貸金業者として当局に登録する必要がなく、自由に活動できるわけです。
なお、以前にも手形割引という似たようなものがありましたが、これは貸金業法に該当します。
貸金業法とは企業と個人間の取引について定めた法律だからです。
ファクタリングの場合、企業同士がやり取りを行うため、貸金業法による規制は受けないのです。
ファクタリングは経済産業省・金融庁も認める資金調達手段
実際、この種の資金調達手段は経済産業省や金融庁が認めています。
今後は法律の整備が進み、もっと安全に利用しやすくなるでしょう。
中小企業のなかには、売掛債権に手を出さないと資金調達できないほど資金繰りに苦労している企業もあります。
そういう企業に正当に資金を調達できる手段があると周知するためにも、法整備と利用しやすさの向上は急務です。
中小企業が所有している売掛金のうち、融資担保として活用されているのは全体の1%に過ぎないというデータもあります。
この眠っている余剰金をうまく活用できれば、資金繰りの苦しい企業のキャッシュフローも改善できるようになるでしょう。
ファクタリングの法的根拠
合法であることの法的な根拠を確認しておきましょう。
以下に挙げる法律が根拠になります。
売買契約(民法555条)
2社間ファクタリング
売買とは、民法第555条によると、当事者のうちの片方が財産権をもう片方に移転することを約束し、相手はそれに対して代金を支払うことを約束することで効力が発生する行為のことです。
つまり売買とは、物を売って、その対価としてお金を受け取るという契約ですので、2社間での例においても、
売掛金という債権を業者に売って、その対価としてお金を受け取るため、貸金ではなく売買行為に当たります。
当事者同士の合意があれば契約は成立です。
金銭消費貸借契約(民法587条)
ABL契約(債権担保融資)
民法第587条では消費貸借について、当事者のうち片方が、種類や品質、数が同じ物を返すことを約束して、相手からお金などを受け取ることにより効力が発生する行為と規定しています。
まったく同じものではなく種類や品質、数が同じという言い方をしているのは、たとえば食べ物を借りてそれを食べた場合、完全に同じものが返せなくなることを考えるとわかるでしょう。
借りたお金についても、完全に同じ紙幣を返すわけではないため、このような法律上の表現になります。
ファクタリングでは、利用者が自分の所有する債権を業者や金融機関などに担保として渡し、それを元手に融資を受けて、取引先から入金があった後にその返済に充てるという方法を採っています。
そのため、返済が滞るようなことがあった場合は、担保に設定した債権を業者が他者に譲渡などをして回収できるということです。
債権譲渡(民法466条、467条)
3社間ファクタリング
民法の第466条には、債権の譲渡性について規定されています。
債権は他者に譲り渡すことができるということです。
また、民法第467条には、指名債権の譲渡についての対抗要件が規定されています。
そのため、債権を譲渡する企業は、取引先に承諾を得ることなしに業者に債権を売却できるということです。
ファクタリング業者の法律違反事例
売掛債権の売買による資金調達の方法が法律に違反していないという根拠を確認しましたが、法律の説明では若干わかりにくいところもあるのではないでしょうか。
そこで、以下に逮捕された業者の事例から鑑みたわかりやすい例を挙げ、何が問題となっているのかを考えていきましょう。
「買い取り」ではなく「貸付」をしている
業者によっては、手数料20%などの高い数字を設定していることがありますが、これは利息制限法では法律違反になります。
100万円超の場合、年間の利息は15%が上限だからです。
このような高い手数料を設定していても法律違反とならないのは、あくまで貸付ではなく債権を買い取りしているからです。
債権を割引価格で買い取るということで、その割引差額が20%などの手数料となっています。
金券ショップに金券を売ると、額面通りではなくいくらか割り引かれて買い取られるのと同じことです。
業者を利用する際に契約書を交わすなら、その記載がちゃんと「債権買取り」となっているかを確認してください。
そこがもし「貸付」となっている場合、法律に反する貸付業者ということになってしまいます。
いわゆる闇金です。
売掛債権を売却して融資を受ける場合、売却してしまっている以上、同じ売掛債権を使って複数回取引を行うことは不可能なことがおわかりでしょう。
それなのに、同じ売掛債権で追加融資などを提案してくるとしたら、その業者は買取りではなく貸付を行っていることになるため法律に違反しています。
逮捕されるのも当然です。
もし、二社間でそのような提案をされたら、完全に違法業者ですのですぐに取引を中止してください。
なお、売掛債権とは別に担保や保証などを要求された場合も注意が必要です。
そのこと自体は法律違反にはなりませんが、そもそも売掛債権を売却するという行為なわけですから、それに対して担保や保証を求めるというのは自然な取引ではありません。
中古車の売買を考えてみればわかりやすいでしょう。
中古車業者に車を売った際に、売り物にならなかった時のための担保や保証を求められるようなものです。
法律に違反する取引とは言えなくても、売り手が著しく不利なことは明らかですから、そのような業者は避けるのが賢明でしょう。
3社間ファクタリングで「貸金業」登録がない、違法な利息金利を取っている
三者間では売掛債権を担保として貸付という形で行われるため、業者には貸金業登録が必要です。
もし貸金業登録を行わずにこのような形でファクタリングを行うと、それは法律に違反しています。
また、貸金業として登録されている場合でも、利息制限法に反するような高い金利を要求する業者も危険です。
貸金業者なら貸金業法に則って運営されなければならず、利息制限法では年利15%が上限ですから、
三社間で100万円超のやり取りを行う場合に15%を超える手数料を取るところは間違いなく悪徳業者です。
なお、100万円未満であれば、貸付の際の利率は年18%が上限となっています。金額に応じて確認してください。
また、手数料としては利息制限法内の15%以下に設定しているものの、それ以外に税金や手数料などと何らかの名目を付けて費用を請求してくる業者も存在します。
こういう業者も闇金です。
もしこのような業者に出会ってしまった場合は、即刻取引を中止することをおすすめします。
三社間でも売掛債権を担保にして融資を行うという形ですので、それ以外に担保や保証を求められることは基本ありません。
もし求められた場合、その業者が法律に反しているとは即座に言えないものの、顧客に著しく不利な取引を求める業者ということですので、なるべく利用しないのが賢明です。
怪しいファクタリング業者の見分け方
法律に違反している業者のやり方の例を見てきましたが、今度は実際に利用する際にどうやって安全な業者と違法すれすれの危険な業者を見分けることができるのかを考えましょう。
以下に挙げることに当てはまったら即刻アウトというわけではありませんが、怪しいことには変わりないので警戒するに越したことはないです。
企業概要に空欄がある
業者を選ぶ際、最初にその業者の公式サイトを見るのは基本ですが、サイトに記載されている内容は隅々まで確認しておかなければなりません。
この時点では、実在する信用に足る企業かどうかを判断する唯一の手段ですので、もしそこで怪しいと感じられるようなところがあれば、この時点で候補から外した方が安全でしょう。
特に大切なのが企業概要です。
企業のホームページというものは、企業名や代表者名、所在地や電話番号など基本的な項目とともに、「何をやっている会社なのか?」ということを説明した概要があるものです。
そこが空欄だとすれば、何をやっている会社なのか一般に向けて説明することを拒否していることになります。
そのような企業が信用できるかどうかというと、やはり信用できないと言わざるを得ないでしょう。
契約書に「償還請求権あり」と記載されている
契約書に「償還請求権あり」と記載されている場合、その意味は、売掛先が倒産するような万一の際に、依頼主に対して弁済義務を請求するということです。
しかし、売買契約が成立して以降は、売掛先が倒産しようが何があろうか業者がリスクを負うのが原則ですので、このような記載がある時点で怪しいと考えてよいでしょう。
売掛債権を買い戻すように要求する業者も同様に注意してください。
売掛債権を買い取る業者のように見せかけつつ、その実は法外な利息を取って貸付を行っている闇金業者である可能性が高いです。
法外な遅延金や分割手数料を要求する契約書になっている!
少しでも売掛金の支払いが遅れるようなことがあると、法外な遅延金や分割手数料を要求してくるような業者も存在します。
しかし、法律に則った優良な業者であれば、法外な費用を要求してくることはありません。
商法第514条には、遅延損害金について年利6%以内と定められています。
それを超えるような遅延金や手数料などを請求するようなことはないか、契約書をしっかり確認しておきましょう。
売掛債権の買取りを行わない!
売掛債権の買取りではなく、それを担保に貸付を行ったり、買い取っても一部だけで、やはり残りの売掛債権を担保に貸付を行う業者もいます。
買い取らないのであれば貸金業者ですから、その時点で怪しい業者と言わざるを得ないでしょう。
もし手数料が20%などと高い場合は確実に闇金業者です。
手数料が法外な金額
売掛債権をすべて買い取ってくれる業者は、闇金業者のような法律に反するような存在ではないでしょう。
ところが、売掛債権を買い取ってくれるのに法外な手数料を取るなどして、依頼者を苦しめている悪徳業者も存在します。
法外な手数料を取る業者は怪しいということは何度もお伝えしてきた通りですが、たとえ法律に反しない範囲だとしても、あまり高い手数料を要求するようなところは危険です。
20%を目安に、それ以下の手数料で買い取りをしてくれる業者を見つけてください。
携帯電話での通話がメインで、契約書の控えを発行しない
業者によっては、やり取りをすべて携帯電話で済ませようとするところもあります。
顔も合わせませんし、契約書の控えも発行してくれません。
そのような業者は、やはり何かしら後ろ暗いところがあるからこそ契約書の控えを発行してくれないのでしょう。
無理にそういう業者を選ぶのではなく、顔を合わせて納得いくまで相談できる業者をおすすめします。
担保や保証人を要求してくる
担保や保証人を要求してくるということは、もうそれはすでに融資です。
融資を行うのであれば貸金業登録が必要ですが、ファクタリングという名目で融資を行おうとするような業者は、そもそも貸金業登録のない法律に違反した存在でしょう。
闇金業者が隠れ蓑として運営している可能性もあります。
担保や保証人を要求してくる時点でアウトだと覚えておきましょう。
継続的に取引しようとしてくる
一つの売掛債権に対して、融資は一度しか行えません。
2社間ファクタリングを行う場合、それは売掛債権の売買ということですから、一度取引を行った後にふたたび同じ売掛債権を使って取引することは不可能です。
三社間でも、担保にしている売掛債権を回収した後に融資を行うのでは、それは貸付に当たります。
ですので、いずれにせよ取引は1回限りです。継続して取引を持ちかけてくるような業者は避けましょう。
また、継続的に取引しようとしてくるという意味では、追加料金として後から金銭を請求するような業者も非常に怪しいです。
こちらも闇金業者などが偽装している可能性があるので注意してください。繰り返しになりますが、担保や保証、法外な手数料を要求してくるような業者はほぼアウトです。
闇金業者など法律に反する存在が偽装している可能性が高いでしょう。
もしそのような業者にかかわってしまった場合、警察に相談することも考えたいところです。
ただ、明らかに法律に違反しているならともかく、金利を利息制限法内に抑えていたり、手数料を請求しても合法の範囲内に留めたりと、相手も巧妙なことがあります。
はっきり法律に反していると認められない時は警察に相談しても助けになってくれない可能性が高いので、利用する自分自身が注意するしかありません。
それほど業者選びは重要なのです。
もし、違法とまでは言えなくともグレーと感じられるようなことがあれば、こうした問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
問題への対処は早ければ早いほどよいものです。
いかがでしたでしょうか?
何か不明な点等が有れば、お気軽にメンターキャピタルまでお問合せ下さい!!