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運転資金とは? 内訳から種類、資金調達の方法まで紹介!

最終更新日:2024年07月02日

事業の運営にはさまざまなお金が必要になりますが、中でも重要なのが運転資金です。しかし、運転資金がどのようなお金なのか、正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は運転資金の概要や内訳、種類に加えて、運転資金の調達方法まで紹介します。

運転資金とは?

運転資金とは、会社を経営・運営するために必要な費用のことです。

材料の仕入れや販売に係る人件費、会社の家賃や固定資産税など、事業展開するために必要なほとんどの費用をまかなうお金が、運転資金です。

運転資金が不足してしまい、原材料を仕入れるための費用や従業員への人件費、水道光熱費などが支払えなくなった場合、会社を経営・運営することができなくなります。

また取引先と買掛・売掛での取引を行う場合、売上の計上と入金のタイミングが異なるため、入出金のタイミングを把握して、運転資金が不足しないよう準備しなければなりません。

設備資金との違い

運転資金と混同されやすいものとして設備資金があります。設備資金とは、企業の経営や運営に必要な資産を購入する資金のことです。

例えば、商品を製造するための機械の購入資金や工場・オフィスの拡張費用、車両・不動産の購入費用など、一時的に大きな金額での出費となるものをまかなうのが設備資金です。

金融機関から融資を受ける際に提出する決算書や書類を作成する場合でも、異なる区分で記入しなければなりません。仮に設備資金として受けた融資を運転資金として使用した場合、契約違反となって融資の返済を求められるケースもあります。

似たようなものでも、扱い方が全く異なることを理解しておきましょう。

運転資金の大まかな内訳

運転資金を大まかに分類すると、以下の2種類となります。

・変動費
・固定費

それぞれの違いについて詳しく解説します。

変動費

変動費とは、売上に比例して金額が変動する費用です。つまり、売上が上がるほど増加し、下がれば減少します。

なぜ売上に比例するかというと、自社の事業が成長して売上が増加した場合、製品やサービスをより多く提供しなければならなくなるためです。製品を多く製造するためには仕入れも増加し、製造をアウトソーシングしている場合は外注費用も増加します。

変動費に該当する主な費用は以下の通りです。

・製品を製造するための材料費用
・製品を製造するための仕入れ費用
・外部の業者に製造や業務を委託した場合の外注費用
・製品の製造やサービスの提供に関連する消耗品の費用
・製品を納品、販売するための運搬費用
・売上が増加に合わせて従業員に支払う出来高払いの賃金 など

変動費の割合が大きい場合は、売上が増加しても利益はそれほど増加しません。しかし、売上が減少した場合は変動費も減少するため、事業が比較的安定しやすいという特徴があります。

固定費

固定費とは、売上の増減に関係なく、月ごとや年ごとに一定額で発生する費用のことです。

固定費に該当する主な費用は以下の通りです。

・工場やオフィスの賃料
・従業員に支払う賃金
・社用車やOA機器類の利用で発生するリース費用
・管理費用
・広告宣伝費用
・工場やオフィスに掛ける火災保険や地震保険などの保険料
・購入した設備や資産の減価償却費 など

一見すると、従業員に支払う賃金や広告宣伝費用は、変動するケースがあるように思われます。というのも、固定費とは売上の増減に比例せず、生産活動を行わない場合でも一定額の支出が発生すると考えられているからです。

そのため、固定費として扱われる費用の中には、金額が変動する可能性があるものが含まれています。

なお、従業員に支払う賃金に限っては、基本給は固定費として、残業代や出来高分は変動費として考えるケースがあります。

運転資金の種類

運転資金は固定費と変動費に分類できることを解説しました。より細かく分類する場合、運転資金の種類は以下の4つとなります。

・経常運転資金
・増加運転資金
・減少運転資金
・季節運転資金

それぞれどのように分類されるのか、詳しく解説します。

経常運転資金

運転資金の一つが、経常運転資金です。経常運転資金とは、事業の運営に常に必要とされる資金のことです。

運転資金といえば、経常運転資金を示すケースが多く、事業運営において欠かせない資金となります。具体的には、人件費や工場、オフィスの家賃、製造に必要な仕入れへの支払費用などが、経常運転費用に該当します。

また売掛取引を行っている場合、取引先から売掛金が入金されるまでの間に資金が不足する状況になりますが、その期間内は経常運転資金を利用して事業を継続するのが一般的です。

増加運転資金

増加運転資金とは、事業を拡大させるために支出する運転資金のことです。

企業によって事業を拡大させる具体的な方法は異なりますが、製造業であれば製品の製造量や販売量を増やしたり、取引先を増やしたりする必要があるでしょう。

製品を増産できるよう、新たな設備を導入したり、工場のラインを増やしたりしなければなりません。また、製造に関わる人材を採用したり、製品を売り込む営業担当者を増やしたりする必要もあります。

このような場合に必要になるのが、増加運転資金です。事業をさらに拡大するフェーズで増加運転資金が足りなくなった場合、資金繰りが悪化したり、黒字なのに倒産に追い込まれたりする可能性もあるため、注意しなければなりません。

減少運転資金

減少運転資金とは、事業がうまくいかずに売上が減少している状況で必要な運転資金です。

売上が減少しても、従業員に支払う賃金や工場・オフィスに支払う家賃などの固定費は発生します。また、売上が良好だった際の仕入れ代金の支払いも必要です。

減少運転資金が必要な状況が長く継続した場合、資金繰りが悪化して経営状態は悪化するため、できるだけ早く資金繰りを改善しなければなりません。

このような状況で、事業を継続するための資金が減少運転資金です。つなぎの資金としてお金を回しつつ、売上の増加を目指したり、人件費などのコストを削減したりして、資金繰りの改善を目指します。

季節運転資金

季節運転資金とは、決まった時期に支払いが必要になる運転資金です。

季節性のある製品を製造したり、サービスを提供したりしている場合の仕入れ費用の他、夏と冬に工場やオフィスで使用する冷暖房機器の購入費用、従業員に支払う賞与も季節運転資金に該当します。

また、夏場に売れる製品の製造をメインに展開している場合、冬や大型連休などに製品が売れなくなるようなケースで、売上が下がる分を補填する費用も季節運転資金となります。

展開する事業によって金額に差があるものの、何らかの季節運転資金が必要になると考えておきましょう。

その他

その他の運転資金として、赤字補填資金も運転資金に該当します。

その名の通り、事業で赤字が発生している場合に、運転資金をつなぐために受ける融資が赤字補填資金です。本来であれば、事業の利益によって資金がスムーズに回るはずが、売上の減少などが原因で赤字が発生している場合に利用します。金融機関が提供する一般的な融資は利用しづらいため、信用保証協会などの保証が付いた融資を利用することになります。

なお、赤字補填資金として融資を受ける場合は、経営改善計画を立案しなければなりません。

運転資金の算出方法

運転資金は、経営や事業運営、資金繰りを安定させるための重要な項目です。そのため、運転資金の算出方法と目安となる運転資金の金額を把握しておくことが大切です。

必要な運転資金を算出する場合、以下の計算式を利用します。

運転資金=売上債権(売掛金)+棚卸資産(在庫)-仕入債務(買掛金、未払金)

売掛債権(売掛金)とは取引先から回収できていない代金、棚卸資産(在庫)とは仕入れたもののまだ販売できていない商品または材料の金額、仕入債務(買掛金)は取引先から仕入れて支払いをしていない代金を指します。

上記の計算式によって、これから入金される金額から、今後支払う金額を差し引けば、運転資金が算出できるわけです。

上記の計算式の各項目は、決算書の貸借対照表に記載されているので、それぞれの金額を当てはめれば必要な運転資金の目安を把握できます。

例えば、売掛債権が500万円、棚卸資産が400万円、仕入債務が300万円だった場合の運転資金の目安は以下の通りです。

運転資金=500万円+400万円-300万円=600万円

運転資金の調達方法9選

運転資金は自社の利益からまかなうのが理想ですが、状況によっては資金が必要であるものの、自社では準備できないケースもあります。

そこで、運転資金の調達方法を紹介します。具体的な方法は以下の通りです。

・日本政策金融公庫の融資を受ける
・民間の金融機関から借り入れる
・一般の事業性融資を受ける
・不動産担保ローンを利用する
・ビジネスローンを利用する
・補助金、助成金を利用する
・クラウドファンディングを活用する
・ベンチャーキャピタルから投資を受ける
・ファクタリングを利用する

それぞれ詳しく解説します。

1.日本政策金融公庫の融資を受ける

日本政策金融公庫とは日本政府が出資する金融機関で、個人事業主や小規模事業者でも利用しやすいのが特徴です。一定の要件を満たせば、無利子・無担保での資金調達ができ、無利子がかなわない場合でも低金利で借り入れができます。

ただし、融資に係る審査が長い傾向にあり、相談してから融資が実行されるまでに2カ月前後掛かる点には注意しなければなりません。

2.民間の金融機関から借り入れる

メガバンクや都市銀行、地方銀行からの融資により、運転資金を調達可能です。

日本政策金融公庫と比較して金利が高い場合が多いものの、後述する事業性融資や不動産担保ローンを利用する場合は、一般的な無担保型ローンよりも低金利で資金を借りられます。

次項では、事業性融資や不動産担保ローンについて詳しく解説します。

3.一般の事業性融資を受ける

一般に提供されている事業性融資を受けることで、運転資金の調達が可能です。

事業性融資とは、事業で使用する設備資金や運転資金を借りられるもので、事業内容や将来性を考慮して審査してもらえる融資です。

一般的な事業向け融資と事業性融資では、審査の方法が異なります。

事業向け融資では、決算書の内容や保証人、担保の内容によって融資の是非が判断されますが、事業性融資では事業計画や創業計画といった計画書を提出して審査が行われます。

さまざまな金融機関で利用できる他、金利が低いのが特徴です。ただし、審査は厳しい傾向にあり、審査期間は1カ月から長ければ3カ月程度掛かります。

4.不動産担保ローンを利用する

不動産担保ローンとは、企業や個人が保有する不動産を担保に受けられる融資です。

不動産の評価額を上限に融資を受けられるのが特徴で、金融機関は貸し倒れのリスクを回避しやすいことから、不動産の所有者にとっては利用しやすいローン商品といえます。

審査期間も短く、数週間から1カ月程度で融資を受けられるため、早急に資金が必要な場合でも利用しやすいでしょう。

ただし、借り入れを返済できない場合は、不動産を売却したお金によって融資が弁済されるため、不動産を失うことになります。

5.ビジネスローンを利用する

運転資金の調達には、ビジネスローンを利用する方法もあります。ビジネスローンとは、銀行以外の金融機関(ノンバンク)が提供する事業性融資のことです。銀行が提供する融資と比較して、審査時間が短く、早ければ申し込み即日で借り入れができるケースもあります。

ただし、金利が高いため返済に係る負担が大きくなりやすいデメリットがあります。

短期的に資金が必要で、返済の目処が付いている場合におすすめの方法です。

6.補助金・助成金を利用する

国や地方自治体が提供する補助金制度や助成金制度を利用して、運転資金を調達できます。審査をパスできた場合、返済が必要ない点が利用するメリットです。

一方、申し込みには詳細な資料や多くの書類の提出が必要なため手間が掛かる他、審査期間が長ければ半年程度になる点には注意が必要です。

7.クラウドファンディングを活用する

クラウドファンディングを活用して、運転資金の調達を広く募る方法もあります。金融機関などでの審査と比較して、手軽に利用しやすいのが特徴です。

一方、出資者に対して自社製品の送付や、特別なクーポンの提供といったリターンを提供する必要があります。また、資金調達を募集しても、希望する金額が集まらないケースもあります。

8.ベンチャーキャピタルから投資を受ける

ベンチャーキャピタルからの投資を受けるのも、運転資金の調達手段です。

ベンチャーキャピタルとは、投資家から収集した資金を未上場企業に投資して、上場が実現した際にリターンを得る企業のことです。製品やサービスについて、これまでにない画期的なアイデアがある場合や、将来的に上場を目指している場合に利用できます。

ただし、ベンチャーキャピタルにとっては企業が上場するかどうかが重要になるため、上場を視野に入れていない企業は利用できません。

9.ファクタリングを利用する

運転資金の調達手段として、ファクタリングの利用も挙げられます。ファクタリングとは、企業が持つ売掛債権を専門業者に譲渡することで、資金を調達する手段です。事業性融資や不動産担保ローンと比較して、スムーズに資金を調達できます。

業者によって売掛債権の買取金額の上限や手数料、資金調達までの期間が異なるため、自社のニーズに合った業者を選ぶことが大切です。

まとめ

事業の運営に欠かせない運転資金には、さまざまな種類があります。自社の事業によって発生した利益から運転資金をねん出できるのが理想ですが、難しい場合は本記事で紹介した運転資金の調達手段の利用を検討してみてください。

また、運転資金のスムーズな調達を希望する場合は、Mentor Capitalのファクタリングサービスの利用をおすすめします。業界でも低水準の手数料と高い買取率で、中小企業や個人事業主の資金調達をサポートします。

柔軟でスピーディな審査を行っておりますので、他社でファクタリングの利用を断られた場合でも、ぜひご相談ください。

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