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給与ファクタリングとは? 仕組みや違法性、リスクなどを解説

最終更新日:2025年10月29日

給与ファクタリングとは、個人の持つ給料を受け取る権利を業者が買い取るサービスです。給料日よりも前に現金が受け取れる便利なサービスに見えますが、金融庁が注意喚起をするなど高いリスクがあります。悪徳業者も存在するため、安易な利用はおすすめできません。

本記事では、給与ファクタリングの概要や違法性、利用するリスクなどを解説します。経済的にお困りで給与ファクタリングを検討している方は。ぜひ参考にしてください。

<この記事で分かること>
・給与ファクタリングの仕組み
・給与ファクタリングが違法になるケース
・万が一トラブルに巻き込まれた場合の対処法
・企業が売掛債権を売却するファクタリングについて

給与ファクタリングとは?

給与ファクタリングは、労働者が持つ給与債権(給料を受け取る権利)をファクタリング会社に買い取ってもらうサービスです。通常、給与債権は給料日まで現金化できませんが、給与ファクタリングを使うとそれよりも早く現金が受け取れます。ただし、サービスの利用には手数料がかかります。

給与ファクタリングの仕組みと流れ

給与ファクタリングでは、ファクタリング会社に申し込みをします。申し込み後には審査が行われ、通過できれば契約となります。。契約後、利用者はファクタリング会社に給与債権を譲渡し、ファクタリング会社からは手数料を引いた金額が振り込まれます。最後に給料日に受け取った給料をファクタリング会社に支払えば、契約終了です。

なお、給与ファクタリングには勤務先が関わらない2者間ファクタリングと、勤務先が関わる3者間ファクタリングに分けられます。2者間ファクタリングは勤務先に知られませんが、手数料が高くなることが多いです。

一方、3者間ファクタリングは勤務先の同意がなければ利用できませんが、手数料は低くなることが多いです。3者間ファクタリングでは、ファクタリング会社が勤務先から直接給料を受け取ります。

給与ファクタリングは貸金業である

 
給与ファクタリングは、貸金業です。金融庁は以下のように明言しています。

“ 「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します。”

貸金業登録をしていない業者が、給与ファクタリングを行うのは違法です。もし給与ファクタリングを利用する場合は、事前に貸金業登録の有無を確認する必要があります。

なお、企業や個人事業主などが売掛債権を売却する一般的なファクタリングは通常、貸金業には該当しません。間違えないように注意しましょう。

※出典:金融庁.「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」.

給与前払いサービスとの違い

労働者の所属する企業が福利厚生として行う給与の前払いは、給料日前に現金を手に入れられるという点では給与ファクタリングと類似していますが、全く別のサービスです。

企業の前払いには、労働基準法で義務づけられている非常時(出産や災害、結婚など)のみ使えるものと、企業が任意で提供するものがあります。そのため、非常時でない場合は前払いが断られることもある他、勤務先に金欠であることを把握されるリスクもあることを認識しておきましょう。

給与ファクタリングに違法性はある?

給与ファクタリング自体に違法性はありません。しかし、先述した通り貸金業登録をしていない業者が給与ファクタリングを行うことは違法です。正規の業者を装った悪質な無登録業者も多いため、もし利用する場合は細心の注意が欠かせません。

違法な給与ファクタリング業者の特徴は、法外な金利です。貸金業の利息は利息制限法および出資法で規制されており、利息制限法の金利上限(年15~20%)を超えた場合は利息が無効となる他、行政処分の対象になります。また出資法の金利上限(年20%)を超えた場合は刑事罰の対象となります。

一方、無登録のファクタリング業者はこれよりも遙かに高い金利を取ってくることが多いです。悪質な取り立てをされるリスクもあるため、違法な業者とは契約しないようにしてください。万が一契約してしまった場合は、しかるべき機関に相談しましょう。

金融庁も注意喚起を行っている

先述した通り、金融庁は給与ファクタリングに対して、以下のように注意喚起を行っています。

“貸金業登録を受けていないヤミ金融業者により、年率換算すると数百~千数百%になる手数料を支払わされたり、大声での恫喝や勤務先への連絡といった私生活の平穏を害するような悪質な取立ての被害を受けたりする危険性があります。
 
 また、高額な手数料を支払ってしまうと、本来受け取る賃金よりも少ない金額の金銭しか受け取れなくなるため、経済的生活がかえって悪化し、生活が破綻するおそれがあります。
  
ヤミ金融業者を絶対に利用しないでください。”

違法な業者を利用しないことは大前提ですが、正規の給与ファクタリング業者であってもリスクを十分に理解していない状態での利用はやめましょう。

※出典:金融庁.「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」.

給与ファクタリングを利用するリスク

ここからは、給与ファクタリングの利用によって起こる主なリスクを解説します。

法外な手数料を取られる恐れがある

違法な業者と契約してしまうと、法外な手数料を取られるかもしれません。過去には大手給与ファクタリング会社が給与債権の買い取りと称して年利で1,400%以上の利息を取り、役員ら複数人が逮捕された事例もあります。

被告の無登録業者は債権の買い取りをしていたと主張したものの、裁判所は給与ファクタリングは貸金業に当たるとの見解を出しました。

たとえ裁判で勝てたとしても多大な労力と費用がかかるため、違法な業者とは契約しないようにしましょう。

過度な取り立てを受ける恐れがある

違法な業者と契約してしまうと、過度な取り立てを受ける恐れがあります。

貸金業者の取り立ては、貸金業法によって制限されています。例えば、正当な理由なしに不適当な時間帯(夜9時~朝8時)に自宅を訪問したり、家族や第三者に借金の肩代わりを要求したりする行為は本来禁止です。貸金業登録をしていない悪徳業者がこれらのルールを守るとは考えづらいです。自身や身内の安全のためにも、違法な業者とは関わらないようにしましょう。

違法性のない業者に依頼する場合でも注意が必要

ここまで違法な業者の危険性を解説してきました。では、貸金業登録をしている正規の業者が相手ならば問題ないのかというと、一概にそうともいえません。

正規の業者であっても、金利は取られます。一度利用すると金利のせいで翌月も金欠に陥り、給与ファクタリングを利用せざるを得なくなる可能性があります。そうすると翌々月も金欠に陥ってしまうという悪循環に陥るかもしれません。安易な利用はやめてください。

どうしても給料日までお金が持ちそうもない場合は、勤務先から前払いが受けられないか検討するか、短期アルバイトや副業などを探した方がよいでしょう。

給与ファクタリングでトラブルになった場合の相談先

給与ファクタリングの利用でトラブルに巻き込まれた場合、一人で抱え込んではいけません。周囲に知られたくないからと一人で解決しようとすると、事態はますます悪化する可能性が高いです。ここからは、給与ファクタリングでトラブルになった場合の相談先をいくつかご紹介します。

金融庁 金融サービス利用者相談室

金融サービス利用者相談室は、金融行政や金融サービスに関する質問・相談を受け付けている金融庁の相談窓口です。一般的な質問から違法な取り立てや貸し剥がしなど具体的な相談にまで広く対応しています。もちろん、給与ファクタリングによる被害相談にも対応しています。連絡先は、以下の通りです。

電話:0570-016811/IP電話は03-5251-6811(平日10時~17時)
Webサイト:https://www.fsa.go.jp/opinion/

弁護士・司法書士

ある程度費用が用意できそうな場合は、弁護士や司法書士に対応を依頼するのも方法の一つです。弁護士や司法書士が窓口になれば、違法な取り立てをやめさせられたり、払い過ぎた利息を取り戻せたりするかもしれません。

ただし、弁護士や司法書士ごとに得意分野は異なります。給与ファクタリングに関する十分な実績がある専門家に依頼するのがおすすめです。

警察

暴力や脅迫などの実害が出ている場合は、警察に早急に相談しましょう。ただし、警察は明確な証拠がないと動いてくれないことも多いです。張り紙や音声など、証拠になり得るものがある場合は事前に準備してから相談に向かいましょう。

消費生活センターなどの消費生活相談窓口

消費生活センターでは、日々の商品やサービスの消費に関するトラブルの相談を受け付けています。公式サイトでも、給与ファクタリングに関する注意喚起が行われています。

全国統一の消費者ホットライン(188)の他、全国各地に設置されている消費生活センターにも相談できます。連絡先は、以下の通りです。

消費者ホットライン:188
各消費生活センター:国民生活センターホームページより検索

一般社団法人ファクタリング事業推進協会

一般社団法人ファクタリング事業推進協会は、ファクタリングの適正化と発展を目的に創設された団体です。ファクタリングの契約や実務に関するノウハウの提供、セミナーの開催、違法な業者に関する情報提供などを行っています。給与ファクタリングなどの相談がある場合は、以下の連絡先から相談しましょう。

電話:0120-123-022
Webサイト:https://factoring.ne.jp/

ファクタリング自体は資金調達手段として利用されているサービス

先述した通り、企業や個人事業主の売掛債権を対象としたファクタリングは貸金業ではありません。リスクの高い給与ファクタリングと異なり、適切に利用すれば有用なサービスです。

ファクタリングのメリットとして、企業の資金繰り改善に使えることが挙げられます。例えば業績が黒字で売掛債権は豊富にあるけれど、手元の運転資金が不足している場合、ファクタリングが役立ちます。銀行融資などと比べると入金までにかかる時間も短いため、急な資金需要発生の際に便利です。

また売掛債権を売却した後に売掛先が倒産した場合でも、損失を被るのは基本的にはファクタリング会社であるため、万が一の際もリスクを抑えられます。

さらにファクタリングの場合、赤字や税金滞納があっても利用できる可能性があります。資金繰りに困っている企業の経営者や財務担当者の方は利用を検討してみましょう。

まとめ

給与ファクタリングとは、労働者の給与債権をファクタリング会社が買い取るサービスです。給与債権の買い取りという体になっていますが実態は貸金業の一種であり、貸金業登録をしていない業者がサービスを提供するのは違法です。

違法な業者の給与ファクタリングを利用すると法外な手数料を請求されたり、過度な取り立て被害を受けたりするかもしれません。また違法性のない正規の業者であってもファクタリングの連続利用という悪循環に陥る可能性があるため、利用する際は十分な注意が必要です。万が一悪質な業者とトラブルになってしまった場合は、警察や弁護士、消費者センターなどに相談しましょう。

一方、企業などが持つ売掛債権を対象としたファクタリングは貸金業ではなく、うまく使えば効率的に資金繰りを改善できます。株式会社Mentor Capitalは、年間3,000件以上の取引実績を基に、柔軟かつ迅速に対応します。審査通過率は92%で、赤字や税金滞納などがある場合でも利用できる可能性があります。まずはお気軽にご連絡ください。なお、株式会社Mentor Capitalでは給与ファクタリングに対応しておりません。

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