最終更新日:2024年02月28日
利用会社とファクタリング会社で契約をする2社間ファクタリングでは、債権回収委託契約を結ぶため利用会社が売掛金の回収義務を負います。回収した売掛金は期日までにファクタリング会社に支払う必要があり、故意に支払いを遅らせた場合は、遅延金の支払いが必要になる他、罪に問われてしまう可能性もあるでしょう。
本記事では、ファクタリングの支払期日の目安や、売掛金を支払う際の注意点、支払いを踏み倒したときの罰則などについて詳しく解説します。
目次
自社が保有する売掛金(売掛債権)を売却して、資金調達する方法をファクタリングといい、ファクタリングの中には2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。どちらを利用するかによっても後日、売掛金の支払いが必要かどうか異なるため、事前に認識しておきましょう。
ここからは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングそれぞれの概要や、売掛金の支払期日などについて解説します。
2社間ファクタリングとは、利用会社とファクタリング会社の2社のみで契約する資金調達方法です。売掛先に債権譲渡を知られる心配がない一方で、ファクタリング会社にとっては売掛金の未回収リスクが高いため、手数料の目安は10~20%と高額になっています。
ファクタリング会社によっても詳細は異なるものの、一般的な2社間ファクタリングを利用する際の流れは、以下の通りです。
1.ファクタリング会社を選び、利用の申し込みをする
2.申し込み内容を元に審査が行われ、ファクタリング会社から見積額が提示される
3.見積額に問題がなければ、契約を締結し売掛金を売却する
4.ファクタリング会社から、利用会社の口座に買取価格が入金される
5.売掛先から売掛金が入金され次第、ファクタリング会社に支払いをする
2社間ファクタリングでは、利用会社はファクタリング会社に手数料と売掛金を支払われなければなりません。なお手数料は売掛金から差し引かれるため、別途支払う必要はありません。
また売掛金は利用会社が回収し、その後ファクタリング会社に支払わなければなりません。売掛金の支払い期日はそれぞれの会社によって異なるものの、「入金日当日中」や「入金から10日以内」など期間は短いケースが多いため、確認でき次第速やかに支払いましょう。
3社間ファクタリングとは、利用会社とファクタリング会社、売掛先の3社で契約を締結する資金調達方法です。利用時に売掛先から債権譲渡の承諾を得る必要がある点が、2社間ファクタリングと異なります。また売掛先がファクタリング会社に直接売掛金を入金するため、未回収リスクが低く手数料は1%~9%程度に抑えられます。
3社間ファクタリングを利用する際の主な流れは、以下の通りです。
1.ファクタリング会社に3社間ファクタリングの利用申し込みをする
2.申し込み内容を元に審査が行われ、ファクタリング会社から見積額が提示される
3.売掛先に債権譲渡の了承を得て、3社間で契約を締結する
4.ファクタリング会社に売掛金を売却する
5.ファクタリング会社から利用会社の口座に買取価格が入金される
6.支払期日に売掛先からファクタリング会社に直接売掛金が入金される
3社間ファクタリングの場合、利用会社がファクタリング会社に対して支払うのは手数料のみです。とはいえ、手数料はファクタリング会社の入金時に売掛金の額面から差し引かれるため、別途、指定の口座に入金するなどの手間はかかりません。売掛金は売掛先が直接ファクタリング会社の口座に入金するため、利用会社に支払い期日や支払い義務は生じません。
なお、売掛先に了承を得る、支払い口座をファクタリング会社に変更してもらうなどの手続きは利用会社が行う必要があります。特に口座の変更案内を忘れると、売掛金が期日までに入金されなくなるため、必ず対応しましょう。
2社間ファクタリングで回収した売掛金は、原則、期日までに一括で支払わなければなりません。遅延理由によっては、罪に問われる恐れもあります。
ここからは、ファクタリングで売掛金を支払うときの注意点についてご紹介します。
2社間ファクタリングでは、通常、債権回収を利用会社に委託する債権回収委託契約を締結します。またいつまでに支払期日も契約書に定められます。債権回収委託契約を締結している以上、利用会社は売掛金を回収の上、期日までに支払わなければなりません。基本的には、支払期間の延期は認められないのです。
さらに売掛金が売掛先から入金されているにもかかわらず、使い込みなどにより支払えない場合、契約違反となるため罪に問われる可能性もあります。詳しい内容は後述します。
回収した売掛金は、一括でファクタリング会社に支払わなければなりません。ファクタリング会社は貸金業者ではないため、分割支払いや先延ばしのジャンプなどが認められず、これらの対応に対する利息も受け取れないためです。
また期日までの支払いができないからと、分割支払いの相談をして認められた場合、ファクタリング会社を装った闇金業者の可能性もあります。分割払いを希望する場合、ファクタリング会社ではなく金融機関などの融資を活用した資金調達を検討しましょう。
2社間ファクタリングで売掛金を支払えなくなる主な理由として、以下のようなものが挙げられます。
・売掛先が倒産した
・別の支払いに流用した
・二重譲渡していた
売掛先の倒産以外は、業務上横領罪などの罪に問われる可能性も高いため、期日までに支払えるように事前に資金計画を立てておかなければなりません。詳細を見ていきましょう。
売掛先が倒産してしまい売掛金が回収できず、期日までに支払えないケースがあります。一般的なファクタリング契約は償還請求権なしのノンリコース契約である場合が多く、万が一売掛先が倒産してしまった際の未回収リスクはファクタリング会社が背負うため、利用会社が返金する義務はありません。もし売掛先の倒産が分かったら速やかにファクタリング会社に連絡し、どのように処理すればよいか確認しましょう。
なお、償還請求権(リコース)付きの契約をしている場合は注意が必要です。償還請求権とは、売掛先から売掛金を回収できない場合、利用会社に弁済責任が生じる契約方法です。売掛先が倒産したからといって、支払いが免除になる訳ではありません。
ファクタリングの契約を結ぶ際は、償還請求権があるかどうかを事前に確認しておきましょう。
資金繰りが悪化しているからといって、故意に売掛金を他の支払いに流用してしまうケースもゼロではありません。また社内で入出金の管理がずさんだと、誤って他の支払いに使ってしまうこともあるでしょう。
一度は売掛先から、売掛金が自社の口座に入金されたとしても、売却した売掛金の所有権は既にファクタリング会社に移行しています。そのため故意か過失かを問わず、流用すれば他人の資金を勝手に使ったことと同様です。ファクタリング契約にも抵触するため、入金状況を正しく管理して速やかに返金するようにしましょう。
二重譲渡とは、同じ売掛債権を2社または複数のファクタリング会社に売却し、資金調達を図ることです。この場合、一方のファクタリング会社には期日までに入金できるものの、もう一方には資金がないため入金できない事態となるでしょう。二重譲渡はいずれファクタリング会社にバレるだけでなく、法律に抵触する行為でもあるため、行ってはなりません。
なお、二重譲渡を防止する手段として、ファクタリングを利用する際には「誰が・いつ・誰にどの債権を売却したか」を公的に証明する債権譲渡登記が必要になるケースが多くあります。
売掛金の支払いを踏み倒すと、売掛先へ通知されたり損害賠償を請求されたりとさまざまなリスクがあります。最悪の場合、罪に問われることもあるため、事業存続のためにも支払期日を守って誠実に対応しましょう。
ここからは、万が一売掛金の支払いを踏み倒したときのリスクについて詳しくご紹介します。
売掛金の入金を踏み倒すと、売掛先に債権譲渡の事実が通知されます。2社間ファクタリングの場合、売掛先にファクタリングの利用が知られない点がメリットですが、支払いが遅れればこのメリットが消失します。今後の売掛先との信頼関係にも影響が出る可能性があります。
入金が遅れればファクタリング会社が損害を被るため、損害賠償金や損害遅延金を請求される可能性があります。一般的に損害遅延金の年率は6.0%ですが、ファクタリング契約時に取り決めをしていた場合は、それぞれ設定していた年利が適用されます。
ファクタリング会社からの連絡を無視し、踏み倒した場合、業務上横領罪、詐欺罪などの罰に問われたりする可能性があります。務上横領罪や詐欺罪の具体的な罰則は、10年以下の懲役刑です。
2社間ファクタリングの場合、利用会社は売掛金の債権回収委託契約を結んでいるため、売掛先から入金されれば期日までにファクタリング会社に支払わなければなりません。売掛金を流用し、支払いを踏み倒すなどすれば、最悪の場合、刑事罰に問われる恐れもあります。
ファクタリングサービスを提供している株式会社Mentor Capitalでは、債権回収委託契約が必要な2社間ファクタリングだけでなく、自社での支払いが必要ない3社間ファクタリングもご用意しております。赤字決算や債務超過などの問題がある場合でも柔軟な対応をいたしますので「資金繰りが悪化している」「なるべく早く資金調達したい」というお悩みがある企業担当者の方や個人事業主の方は、お気軽にお問い合わせください。専任のスタッフがお客さまの状況に適したプランをご提案いたします。