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【簿記】ファクタリングの仕訳方法は? 買取型・保証型それぞれの方法をご紹介

最終更新日:2023年11月20日

ファクタリングを利用する場合、お金の流れを帳簿に記録する会計処理が必要です。ただしファクタリングの種類によって勘定科目や仕分け方法が異なるため注意しましょう。

本記事では買取型と保証型の仕分け方法の違いや、2社間方式と3社間方式の違い、仕分けする際の注意点について解説します。経営者の方や経理担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ファクタリングの種類によって会計処理が異なる

ファクタリングには買取型と保証型の2種類があり、それぞれで会計処理が異なります。

買取型は売掛債権をファクタリングのファクタリング会社に買い取ってもらい、支払い期日より前に売掛債権を現金にできる仕組みです。買取型には売掛先からの入金を待たずに、すぐに手数料を差し引いた現金を確保できるメリットがあります。

一方の保証型は、取引先からの支払いをファクタリング会社に保証してもらう仕組みです。保証料を支払うことで、万が一取引相手が倒産して売掛債権が回収できなくなっても、あらかじめ設定した補償額を受け取れるため、貸し倒れリスクを軽減できます。

買取型と保証型は全く別のサービスであり、利用する目的もお金の流れも異なります。勘定科目や仕訳方法も変わってくるため注意しましょう。次の項目からそれぞれの仕訳方法を詳しく解説します。

買取型ファクタリングの仕訳

買取型には利用者とファクタリング会社だけで契約する2社間方式と、取引先も含めた3社で契約する3社間方式があります。

2社間方式は売掛債権の譲渡を売掛先に通知せず、利用者とファクタリング会社の2社間だけで取引するため手続きがスムーズに進むのが特徴です。一方で3社間方式は2社間方式に比べて、手続きに手間と時間がかかるものの、手数料が安くなるのがメリットです。

2社間方式と3社間方式ではお金の流れが異なるため、仕訳方法も異なります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

2社間ファクタリングを利用する場合の仕訳例

2社間方式のファクタリングは利用者が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、債権額面から手数料を引いた金額を現金化する方法です。その後、売掛先から利用者に売掛金が支払われたら、利用者が回収した代金をf空く多リング会社に振り込みます。

2社間方式の流れは以下のとおりです。

1.取引によって売掛金が発生

2.ファクタリング会社に申し込み、契約を締結

3.利用者がファクタリング会社から買取金額を受け取る

4.売掛金の支払い期日に売掛先から利用者に入金

5.利用者が入金された売掛金をファクタリング会社へ支払う

この流れに沿って仕訳方法を解説していきます。ここでは売掛債権70万円、手数料7万円が発生する場合の仕訳を解説しましょう。

まず「1」で売掛金が発生した場合、請求書を作成した時点で次の仕訳を立てます。

借方 貸方
売掛金 700,000円 売上 700,000円

 
「2」の契約段階ではまだ現金が入金されていないため、保有する売掛金を未収入金として計上します。未収入金は資産の売却代金が後で入金されるときに使用する勘定科目です。

未収入金とするのは、売掛債権が金融債権に分類されるためです。契約を締結してから入金までの間は、未収入金で処理しましょう。

借方 貸方
未収入金 700,000円 売掛金 700,000円

 

「3」でファクタリング会社から買取金額を受け取る場合、手数料を差し引いた入金額を「現金・預金」として計上し、手数料を「売掛債権売却損」で処理します。70万円の売掛金を譲渡したときの手数料が7万円だった場合には、次のような仕訳となります。

借方 貸方
現金・預金 630,000円 未収入金 700,000円
売掛債権売却損 70,000円

 
なお、2社間方式では譲渡代金が即日入金されることも珍しくありません。即日入金される場合には一旦未収入金として計上する必要がないため、「2」の契約段階と「3」のファクタリング会社から買取金額を受け取った場合の仕訳を、以下のようにまとめて処理できます。

借方 貸方
普通預金 630,000円 売掛金 700,000円
売掛債権売却損 70,000円

 
2社間方式では「4」にあるように、利用者が入金期日に取引先から売掛金を回収します。その場合、利用者はファクタリング会社に代わって売掛金を回収する立場となるため、取引先からの入金を「預り金」の勘定科目として、以下のように仕訳します。

借方 貸方
現金・預金 700,000円 預り金 700,000円

 
利用者は取引先から回収した売掛金を「5」にあるように、すみやかにファクタリング会社に支払わなければなりません。その場合の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
預り金 700,000円 現金・預金 700,000円

 
2社間方式での仕訳は以上です。次に3社間方式の仕訳を解説します。

3社間ファクタリングを利用する場合の仕訳例

3社間方式では取引先に債権を譲渡する旨を通知し、取引先に承諾してもらった上で売掛債権を譲渡します。2社間方式と大きく異なるのは、利用者でなく取引先が直接ファクタリング会社に売掛金を支払う点です。

3社間方式の流れは以下のとおりです。

1.取引によって売掛金が発生

2.取引先(売掛先)に債権譲渡の同意を得た上でファクタリング会社と契約を締結

3.利用者がファクタリング会社から買取金額を受け取る

4.取引先がファクタリング会社に売掛金を支払う

3社間方式では、取引先がファクタリング会社に支払いをするため、2社間方式のときに必要だった「売掛先から利用者に入金があったとき」と「売掛金をファクタリング会社へ支払うとき」の仕訳は必要ありません。

必要なのは「1」の売掛金発生時と「2」の契約締結時、そして「3」の買取代金を受け取った際の仕訳です。ここでも売掛債権70万円、手数料7万円が発生するものとして仕訳方法を解説しましょう。

「1」で売掛金が発生した場合、2社間方式と同じく、請求書を作成した時点で次の仕訳処理をします。

借方 貸方
未収入金 700,000円 売掛金 700,000円

「2」の契約締結時にも、2社間方式と同様にファクタリング会社から代金が入金されるまで「未収入金」として処理します。

借方 貸方
売掛金 700,000円 売上 700,000円

 
「3」のファクタリング会社から入金されたときも、2社間方式の場合と同じく手数料を「売掛債権売却損」で計上します。

借方 貸方
現金・預金 630,000円 未収入金 700,000円
売掛債権売却損 70,000円

 
3社間方式も2社間方式と同じような仕訳方法ですが、計上する項目は少なくなります。

 

保証型ファクタリングの仕訳

貸し倒れリスクを軽減させる保証型を利用した場合は、次の2つのパターンのどちらかとなると考えられます。

● 保証型を利用したものの売掛金が無事に支払われた
● 保証型の利用後に取引先が倒産して売掛金が支払われなかった

どちらの場合にしても売掛金の発生時には仕訳が必要です。例えば70万円の売掛金が発生した場合は以下のような仕訳となります。

借方 貸方
売掛金 700,000円 売上 700,000円

 
売掛金が支払われた場合でも、ファクタリング会社には保証料の支払いが必要です。仮にファクタリング会社に保証料(手数料)3万円を支払った場合、仕訳は以下のように処理します。

借方 貸方
支払い手数料 30,000円 普通預金 30,000円

 

売掛債権が回収できず、ファクタリング会社から保証金を受け取った場合は、貸し倒れ損失の計上と補償金の受取に対する仕訳処理が必要です。

まず、貸し倒れ損失の計上は以下のとおりです。

借方 貸方
貸し倒れ損失 700,000円 売掛債権 700,000円

 

次にファクタリング会社から受け取った金額を仕訳処理します。仮に60万円を受け取ったとしたら、60万円を雑収入として以下のように処理します。

借方 貸方
普通預金 600,000円 雑収入 600,000円

 

ファクタリングの仕訳をする際の注意点

ここからは、ファクタリングのお金の流れを仕訳処理する際の注意点についてご紹介します。

売掛先との契約書を確認

買取型で2社間方式を利用する際は、売掛先との契約書を確認しましょう。契約によっては債権譲渡を禁止する条項が記載されている可能性もあるためです。債権の譲渡を禁止する条項がある場合、ファクタリング会社に売掛債権は譲渡できません。

手数料は「売掛債権売却損」として計上

手数料は、売掛債権売却損として仕訳する必要があります。売掛債権売却損とは、売掛債権を譲渡した際に生じた損失を処理する費用勘定です。ファクタリング会社に手数料を支払うと、本来入る予定だった金額より手数料分だけ損をするため、売却損として処理します。

なお、勘定科目に売掛債権売却損の勘定科目がない場合は「雑損失」や「支払い手数料」「割引料」としても問題ありません。

決算期をまたぐ場合は課税対象になる

ファクタリングでは、契約のタイミングから現金が振り込まれるまでに時間を要する場合もあります。入金までに決算期末をまたぐときは、その売上に対して法人税や消費税が課されるため注意しましょう。

保証型ファクタリングの場合、売掛債権の現金化が遅くなる場合も

保証型は取引信用保険と同じく、売掛先の倒産など回収不能となって初めて現金を受け取れる仕組みです。そのため買取型に比べて、売掛債権の現金化が遅くなります。保証型はあくまで貸し倒れリスクを軽減させるものです。資金調達を急ぐ場合には買取型を利用しましょう。

仕訳ルールを統一させる

仕訳のルールや表記を統一しておくことも大切です。例えば、前述したように手数料の勘定科目は売上債権売却損ではなく、勘定科目も雑損失や支払い手数料、割引料などに設定しても構いません。

しかしそれらの表記が混在していると、正しく仕分け処理できないだけでなく、税務署から指導を受ける可能性もあります。仕訳のルールを統一して、お金の流れが明確に分かるようにしておきましょう。

まとめ

ファクタリングには買取型と保証型があり、売掛金を早期現金化できるのは買取型です。買取型では金融機関からの融資と違い、負債となることはありません。契約も融資ほど厳しい審査がなく、迅速に資金調達を図れるのがメリットです。また万が一、売掛先が倒産した場合も弁済の必要はありません。

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