ファクタリングに消費税はかからない? 非課税の理由や例外などを解説
最終更新日:2025年02月27日
ファクタリングは、売掛債権を支払期日よりも前に売却して現金化する資金調達手段です。ファクタリングは国税庁の定める非課税取引に該当するため、基本的に消費税はかかりません。ファクタリング会社に消費税の支払いを求められた場合、悪徳業者である可能性があります。
ただし、ファクタリングの契約の際に債権譲渡登記を求められた場合、その手続きの一部に消費税がかかることもあるため注意が必要です。また事務手数料が発生したり、ファクタリング会社の担当者の出張があったりする場合にも、消費税がかかることがあります。
今回の記事ではファクタリングの仕組みと原則として消費税がかからない理由、一部消費税が発生するケースを解説しています。
Table of Contents
ファクタリングとは
ファクタリングは、売掛債権を使った資金調達の手法です。売掛債権をファクタリング会社に売却することにより、支払期日よりも前に現金を入手できます。ファクタリング会社の中には即日入金に対応しているところもあり、急な資金需要が発生したときに便利です。
一方で、利用に当たっては手数料がかかるため、頻繁な利用は長期的な資金繰りを悪化させる恐れがあります。資金繰りに特に困っていないときは、ファクタリングは利用せずに売掛債権の支払期日を待った方が良いでしょう。
ファクタリングに消費税がかからない理由
通常、事業者が国内で事業として対価を伴う取引を行った場合には、売上金額に応じた消費税が発生します。
ただし、一部の商品やサービスの取引には消費税がかかりません。消費税がかからない取引は、以下の3つに分類できます。
・不課税取引
・非課税取引
・免税取引
ファクタリングは非課税取引に該当するため、消費税がかかりません。
消費税とは
消費税は、国内で事業者が事業として商品やサービスなどを取引した際に広く公平に課税されるものです。担税者は消費者、納税義務者は事業者です。両者が異なる間接税の一種であり、消費税が課税される取引には地方消費税も課税されます。
消費税は大半の対価を伴う取引に課税されますが、一部例外もあります。消費税の課税対象とならない取引は以下の通りです。
不課税取引 | 消費税の課税対象(国内で事業者が事業として取引を行う際に課税する)にあてはまらないもの。国外取引や寄付、配当などが該当 |
非課税取引 | 消費税の課税対象にあてはまるが、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から課税されないもの。土地や有価証券の取引などが該当 |
免税取引 | 商品の輸出、国際輸送などが該当 |
消費税が非課税となる取引
消費税が非課税となる主な取引は以下の通りです。
土地の譲渡および貸し付け | 借地権などの土地の上に存する権利を含む土地 |
有価証券等の譲渡 | 国債、株式、登録国債、抵当証券、金銭債権など |
支払手段の譲渡 | 銀行券、政府紙幣、硬貨、小切手など |
預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等 | 貯金や貸付金の利子、信用保証料、保険料、共済掛金、手形の割引料など |
国等が行う一定の事務に係る役務の提供 | 登記、登録、特許、許可、検査、試験など |
介護保険サービスの提供等 | 介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービスや施設サービスなど |
学校教育 | 各種学校の授業料、入学金、施設設備費など |
※参考:国税庁.「No.6201 非課税となる取引」.
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm ,(参照2025-01-20).
※参考:国税庁.「No.6221 預金や貸付金の利子など」.
ファクタリング取引に消費税がかからない理由
ファクタリングは国内の事業者であるファクタリング会社が事業として売掛債権を買い取る仕組みなため、一見消費税が課税されそうに見えますが、非課税取引に該当するため消費税はかかりません。
先ほど挙げた非課税となる取引の例の中に「有価証券等の譲渡」という項目があります。具体的な有価証券の例として国債や株式の他に、金銭債権が提示されています。売掛債権は金銭債権の一種と考えられるため、ファクタリングは非課税取引と見なされるのです。
ファクタリングの手数料に消費税がかからない理由
ファクタリング会社を通じて売掛債権を売却した場合、ファクタリング会社に対して手数料を支払うことになりますが、手数料の支払いも非課税取引の一種と見なされます。
先ほど挙げた非課税となる取引の例の中に「預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等」という項目があります。ファクタリングの手数料はこの項目にある「手形の割引料」に含まれると考えられるため、手数料は非課税取引と見なされるのです。
※参考:国税庁.「No.6221 預金や貸付金の利子など」.
ファクタリングで消費税がかかる場合
上記の通り、ファクタリングの利用、およびその際に発生する手数料に対して消費税がかかることはありませんが、契約内容によっては費用の一部に消費税が課税されます。
債権譲渡登記が必要な場合
ファクタリングの契約の際に債権譲渡登記を求められた場合、消費税の負担が発生する可能性があります。
債権譲渡登記とは?
債権譲渡登記とは、債権の譲渡を登記することによって、第三者に対抗できるようになる手続きです。債権譲渡登記を行えば、債権がいつ、誰から誰に渡ったのかを証明できるため、二重譲渡などのリスクが避けられます。
債権譲渡登記をするに当たって、債務者への告知は不要です。債務者に知られずファクタリングを利用したい企業にとって、債権譲渡登記は大きなメリットがあります。万が一登記を債務者側に閲覧された場合には債権が譲渡されたことを知られてしまいますが、登記の閲覧には手数料がかかりますし、リスクは低いでしょう。一方で、登記には登録免許税がかかるというデメリットもあります。
債権譲渡登記はファクタリングの必須項目ではないので、費用を抑えたい場合は債権譲渡登記を不要としているファクタリング会社を選んだ方が良いでしょう。
債権譲渡登記において消費税がかかる項目
債権譲渡登記をした際に発生する登記免許税には、消費税は課税されません。ただし、登記を司法書士などに依頼した場合の手数料に対しては課税されます。債権譲渡登記を専門家に依頼する場合には、注意が必要です。
事務手数料がかかる場合
ファクタリング会社が事務手数料を取っている場合、その部分に対しては消費税がかかります。手数料と名が入っていますが、ファクタリング自体の手数料とは別物です。
ファクタリングの手数料は、売掛債権の額面金額から、実際の売却金額を引いたファクタリング会社の取り分です。例えば100万円相当の売掛債権を95万円で売却した場合、手数料は5万円となります。
一方、事務手数料は審査手数料や登記簿謄本請求費用などからなるものです。こちらは事務作業という役務の提供に対して支払われる手数料であるため、消費税が課税されます。なお、業者によっては事務手数料の名目で不当な費用を請求してくるところもあるため、注意が必要です。
担当者の出張対応がある場合
最近は申し込みから審査、入金まで全てオンラインで完結するファクタリング会社も増えてきていますが、昔ながらの対面審査を行っているところも少なくありません。ファクタリング会社の担当者に来てもらう場合出張費が発生するケースがあり、出張費には消費税がかかる可能性があります。
出張費のうち、移動に費やした費用、例えば電車代、バス代、タクシー代などの実費は非課税です。 交通費を払った時点ですでに消費税は納付済みであり、さらに課税すると二重課税となるためです。
一方、出張手数料がかかる場合は消費税がかかります。出張手数料は、出張という役務の提供にかかる手数料だからです。ファクタリング会社によっては出張手数料がかからないところもあります。
再ファクタリングの場合
再ファクタリングとは、売掛債権を買い取ったファクタリング会社が、売掛債権をさらに別のファクタリング会社に売却することです。
例えば、ファクタリング会社Bが企業Aから100万円の売掛債権を90万円で買い取り、それをファクタリング会社Cに94万円で売ったとします。この場合、ファクタリング会社Bは4万円の利益を手にします。要するに、売掛債権の転売です。上記のケースでは、ファクタリング会社Bが得た利益の4万円の部分には消費税がかかります。
ただし、消費税を負担するのはファクタリング会社Bであり、利用者が消費税を支払う必要はありません。
消費税を請求されたら悪徳業者の可能性があるので注意
繰り返しになりますが、ファクタリングは非課税取引です。ファクタリングを利用した結果発生する司法書士への報酬や事務手数料などに消費税がかかることはあっても、ファクタリング自体に課税されることはありません。しかし、中には利用者側の知識がないことにつけ込んで消費税を請求してくるような、悪質なファクタリング会社もあります。
契約前の段階で消費税を請求された場合は悪徳業者の可能性が高いので、取引はやめた方が良いでしょう。
まとめ
ファクタリングは、売掛債権を売却して、支払期日よりも前に現金を用意する仕組みです。審査基準が比較的易しく、最短即日で入金が受けられるため、急な資金需要にも対応できます。
ファクタリングの利用に消費税はかかりません。ファクタリングが国税庁の定める非課税取引の範囲に含まれるためです。ただし、債権譲渡登記が求められ、手続きを司法書士に依頼した場合は、報酬に対して消費税がかかります。また、ファクタリング会社が事務手数料や出張費を徴収している場合、その部分に対しては消費税がかかります。
ファクタリングの利用自体に消費税を請求された場合、悪徳業者の可能性があるため利用は避けた方が良いでしょう。
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