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ファクタリングの仕訳・会計処理の方法とは? 種類別の方法や注意点も解説!

最終更新日:2024年06月28日

新しい資金調達の方法として認知されているファクタリングですが、実際に利用する場合、会計上はどのように仕訳すればよいのか分からないケースがあるかもしれません。

ファクタリングの種類ごと仕訳方法が異なるため、的確に理解しておきたいところです。

そこで今回はファクタリングを利用する場合における、仕訳・会計処理の方法について解説します。仕訳を行う際に注意するポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

ファクタリングとは?

ファクタリングとは売掛債権の譲渡によって資金を調達する方法です。大きく以下の2つに分類されます。

・買取型ファクタリング
・保証型ファクタリング

買取型は、企業や個人事業主が所有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛金額に相当する資金を調達する手法で、2社間・3社間でのサービスがあります。

保証型は、売掛金の回収をファクタリング会社によって保証してもらうサービスです。取引先が倒産して売掛金を回収できなかったときに備えて利用するため、買取型とは異なります。

なお、ファクタリングといわれれば、買取型を指すのが一般的といえます。

ファクタリングの種類によって会計処理が変わる!

ファクタリングには種類がありますが、どの種類のサービスを使うかによって会計上必要になる処理が異なるため注意が必要です。

ここでは、それぞれの会計処理について解説します。

買取型ファクタリング

前述の通り、買取型ファクタリングは以下のように分類されます。

・2社間ファクタリング
・3社間ファクタリング

それぞれの会計処理の違いについて見ていきましょう。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶサービスのことです。

売掛債権をファクタリング会社に譲り渡すことで資金調達をし、後で取引先から支払われた売掛金をファクタリング会社に送金したら、取引が完了します。

2社間ファクタリングの特徴は、売掛先(企業の取引先)に知られることなくファクタリングの利用が可能ということです。

なお会計上の処理が必要になるのは、以下の時点です。

・売掛金の発生時
・ファクタリングの契約締結時
・ファクタリング会社からの売掛債権代金の入金時
・売掛金の入金時
・ファクタリング会社への売掛金の送金時

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社、売掛先の3社間で契約するサービスのことをいいます。

売掛先にファクタリング利用の承諾を得る必要があるため、自社の信用が疑問視されるケースがある他、資金調達に時間が掛かる可能性があります。

一方、売掛金を売掛先から回収できないリスクを低減できるため、手数料が安く設定されているのが特徴です。

会計上の処理が必要になるのは、以下の時点です。

・売掛金の発生時
・ファクタリングの契約締結時
・ファクタリング会社からの売掛債権代金の入金時

3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛金の回収を行うため、利用者による売掛金の回収や、ファクタリング会社への売掛金の送金が必要ありません。

保証型ファクタリング

保証型ファクタリングとは、倒産や経営状況の悪化など取引先の事情により、売掛金の回収が困難になった場合に、利用者に代わってファクタリング会社が売掛債権の代金を支払うサービスです。

主に、貸し倒れのリスク回避のために利用されることが多いサービスとなっています。

会計上の処理が必要になるのは、以下の時点です。

・売掛金の発生時
・ファクタリングの契約締結時
・売掛金の未回収の確定時
・ファクタリング会社からの保証金入金時

ファクタリングと融資の違い

資金調達の手段としては、ファクタリングの他に融資を利用する方法もあります。

融資とは銀行や貸金業者などから事業のためにお金を借りて資金を調達する方法です。

融資ではお金を借りますが、ファクタリングでは所有する売掛債権を売却(譲渡)して資金を調達することから、両者は大きく異なります。

また、資金調達のハードルにも違いがあり、融資と比較してファクタリングは比較的手軽に利用できます。特に、2社間ファクタリングは売掛先に知られることなく利用できるため、即座に資金が必要なケースには有効な選択肢になるでしょう。

一方、融資では支払いを分割できるものの、ファクタリングは原則一括支払いのみとなる点も理解しておきましょう。

ファクタリングの仕訳・会計処理方法

ここまでは、ファクタリングを利用する場合の会計上の処理方法が異なることを紹介しました。

ここからは、ファクタリング利用時の実際の会計処理の方法を具体的に解説していきます。

繰り返しになりますが、ファクタリング利用時の仕訳の仕方には、種類による違いがあります。それぞれの違いをよく理解して、正しい仕訳を行いましょう。

【買取型】2社間ファクタリングの仕訳・勘定項目

まずは買取型・2社間の仕訳です。会計上の処理が必要になるのは以下の時点です。

売掛金の発生時
ファクタリング契約締結時
譲渡代金の入金時
売掛先からの売掛金入金時
ファクタリング会社への売掛金の支払時

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売掛金の発生時

取引先に商品を提供して売掛金(150万円)が発生した時点で、下表のように会計上の処理を行います。

借方 貸方
売掛金 150万円 売上 150万円

一般的な会計処理と同じく、売上が発生した際には、取引先への請求書作成時点で売掛金と売上の仕訳が必要です。

ファクタリング契約締結時

ファクタリング契約の締結時の仕訳は下表の通りです。

借方 貸方
未収入金 150万円 売掛金 150万円

ファクタリング会社と売掛債権の売却について契約を交わした際に、前出の表にある売掛金を削除し、未収入金として記入します。

未収入金とは、通常取引によって発生した債権のうち、すでに支払期日に到達しているもの、もしくは通常とは異なる取引を行って債権が発生した場合に使用する勘定科目です。

なお、2社間のサービスにおいては、契約してからすぐにファクタリング会社からの入金が行われる場合があります。債権を譲り渡すことを売掛先に知らせたり、売掛先がファクタリングを利用することを承認したりする必要がないためです。

そのため、ファクタリング会社によっては申し込みから審査、入金が即日中に完了するケースもあります。

申し込みから即日での入金が行われた場合、会計上は売上が発生したときと、ファクタリングの契約が結ばれたときの仕訳をまとめることができます。

未収入金を計上する必要がなくなることから、即日入金の場合に限り、ファクタリング会社との契約を交わした際の会計処理は必要ありません。

譲渡代金の入金時

売掛債権を売却した際の代金がファクタリング会社から入金された時点(手数料7万円のケース)の仕訳は、以下の通りです。

借方 貸方
普通預金 143万円 未収入金 150万円
売上債権売却損 7万円

売上債権売却損とは、売掛債権を売却(譲渡)したことで生じる損失に対して使用する勘定科目を指します。損失とは手数料のことを指し、この表では手数料が7万円かかったことを示しています。

売掛先からの売掛金入金時

売掛先(取引先)によって売掛金の入金があった場合の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
普通預金 150万円 預り金 150万円

預り金とは、取引先などが負担するべき金銭を一時的に預かった際の勘定科目です。ファクタリング会社との契約により、売掛債権の所有権がファクタリング会社に移転しているため、預り金として会計処理を行う必要があります。

ファクタリング会社への売掛金の支払時

ファクタリング会社へ売掛金を支払う際の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
預り金 150万円 普通預金 150万円

【買取型】3社間ファクタリングの仕訳・勘定項目

次に、買取型・3社間での会計上の処理の方法を紹介します。

仕訳が必要になる時点と方法、勘定科目はそれぞれ以下の通りです。なお、ここでも売掛金は150万円と仮定します。

・売掛金の発生時

借方 貸方
売掛金 150万円 売上 150万円

・ファクタリング契約締結時

借方 貸方
未収入金 150万円 売掛金 150万円

・譲渡代金の入金時

借方 貸方
普通預金 143万円 未収入金 150万円
売上債権売却損 7万円

※売掛金が150万円、ファクタリング会社に支払う手数料が7万円のケース

3社間ファクタリングでは、取引先企業からの売掛金の入金やファクタリング会社業者への売掛金の送金が起こり得ないため、これ以降の仕分けをする必要はありません。売掛金の発生した時点やファクタリング契約が締結された時点、譲渡代金が入金された時点では、2社間と同様の仕訳が必要です。

【保証型】ファクタリングの仕訳・勘定項目

次に、保証型の仕訳の仕方を解説します。会計上の処理が必要になる時点と方法、勘定科目はそれぞれ以下の通りです。ここでも売掛金は150万円とします。

・売掛金の発生時

借方 貸方
売掛金 150万円 売上 150万円

・ファクタリング契約締結時

借方 貸方
支払手数料 7万円 普通預金 7万円

・売掛金の回収不能時

借方 貸方
貸倒損失 150万円 売掛金 150万円

・ファクタリング会社からの保証金入金時

借方 貸方
普通預金 150万円 雑収入 150万円

※売掛金が150万円、ファクタリング会社に支払う手数料7万円のケース

買取型との違いは、ファクタリング会社に支払う金銭が手数料(保証料)のみとなる点です。

また、売掛金の未回収が確定したときや、ファクタリング会社からの保証金の入金があったときの会計処理の仕方、採用する勘定科目が、買取型とは違います。

ファクタリングの仕訳時の注意点

最後に、ファクタリングの仕訳が必要な場合の注意点を2つ紹介します。具体的には、以下のポイントに気を付けましょう。

手数料は「売掛債権売却損」として仕訳する
消費税は上乗せしない

それぞれ詳しく解説します。

手数料は「売掛債権売却損」として仕訳する

サービス利用時にファクタリング会社に支払う手数料は、売掛債権売却損として処理しなければなりません。ファクタリングは金融商品の売買と同様の扱いとなるためです。

株式や債券の売買で見られるような、想定よりも損が発生したケースと同じように仕訳を行うため、売掛債権売却損として扱う必要があります。

なお、会計ソフトによっては売掛債権売却損の勘定科目を選択できないケースがありますが、支払手数料や割引料などで計上すれば問題ありません。

消費税は上乗せしない

ファクタリングでの会計処理を行う場合、消費税は上乗せしてはいけません。ファクタリングは非課税取引に当たるためです。

そもそも消費税が発生しない取引となるため、消費税に関連する仕訳は必要ありません。

ただし、ファクタリング会社の中には不当に消費税を上乗せしてくるケースがあるため、十分注意してください。

まとめ

今回は、ファクタリング利用時における仕訳の仕方について解説しました。

ファクタリングには3つの種類があり、どのサービスを利用するかによって、会計処理が必要になるタイミングや具体的な処理の仕方、勘定科目が異なります。融資とは異なる資金調達法であり、知らなければ対応できない場合もあるため、本記事を参考に仕訳方法を理解しておきましょう。

また、ファクタリングならではの仕訳時の注意点もあるため、併せて押さえておいてください。

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