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ファクタリングで二重譲渡をしたら犯罪になる? リスクやバレる理由、該当しないケースを解説

最終更新日:2025年09月10日

1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡する行為(二重譲渡)は犯罪です。売掛先が契約に介入しない2社間ファクタリングならばバレないのでは、と思うかもしれませんが、実際には発覚するケースがほとんどです。

二重譲渡がバレた際には社会的信用を失うだけではなく、ファクタリング会社から損害賠償を請求されたり、懲役刑が科されたりすることもあります。これらの不利益は故意ではなく過失であっても発生し得るため注意が必要です。

本記事では、ファクタリングの二重譲渡の概要やリスク、バレる理由などについて解説します。

ファクタリングの二重譲渡とは?

ファクタリングの二重譲渡とは、1つの売掛債権を2つ以上のファクタリング会社に譲渡(売却)する行為のことです。最終的にファクタリング会社にバレる上に、詐欺罪や横領罪に問われるリスクもあります。

売掛債権は土地や建物などと違って現物が存在しないため、うまくごまかせば複数のファクタリングと債権譲渡契約を結ぶところまではいけるかもしれません。しかし、実際の売掛債権が1つしかない以上、売掛金を受け取れないファクタリング会社が出てきます。そして後に待ち構えているのは、自身の企業の信用失墜や損害賠償請求、有罪判決などになるでしょう。

債権を二重譲渡する目的は?

違法行為と知りながらファクタリングの二重譲渡をしようとする人がいます。二重譲渡の目的は、不正に多くの資金を得ることです。

例えば、100万円の売掛債権を通常通り1社のファクタリング会社に売却すれば、得られる金額は最大100万円です(手数料を考慮しない場合)。しかし、2つのファクタリング会社と契約できれば2社から100万円ずつ、計200万円を得られるかもしれません。

もちろん、実際に売掛債権の二重譲渡が成功する確率はほとんどありません。ファクタリング会社側も二重譲渡の危険性は十分承知しているため、審査や支払期日の際に確認が入ります。

ファクタリングの二重譲渡が起こるケース

二重譲渡は、主に2社間ファクタリングの際に発生します。2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2社が契約する仕組みです。また利用者とファクタリング会社と売掛先の3社が契約する仕組みのことを、3社間ファクタリングといいます。

3社間ファクタリングでは、売掛先も売掛債権の譲渡に同意する必要があります。仮に利用者が二重譲渡をしようとしても売掛先が気付くため、二重譲渡は発生しません。

反対に、2社間ファクタリングは売掛先が契約に関わらないので、二重譲渡が発生する可能性があります。特に契約時に債権譲渡登記(債権が譲渡された事実を登記すること)が行われていない場合、ファクタリング会社の背負うリスクは高くなるでしょう。

ファクタリングで二重譲渡をした場合のリスク

ファクタリングの二重譲渡がバレた場合、さまざまな不利益を被ります。最悪の場合、刑事罰に問われる可能性もあります。詳細について、見ていきましょう。

売掛金を支払えなくなる

二重譲渡を行うと、ファクタリング会社に対して売掛金を支払えなくなる可能性が高いです。

2社間ファクタリングでは、利用者はまずファクタリング会社から売掛債権売却額(額面金額から手数料を引いた金額)を受け取ります。その後、売掛先から入金を受け、ファクタリング会社に対してその売掛金全額を支払います。

しかし、二重譲渡で2つのファクタリング会社から売掛債権売却額を受け取っていても、売掛先から受け取れるのは1社に対して支払えるだけの入金です。二重譲渡に手を出すほど資金繰りが厳しい状況で、2つのファクタリング会社に売掛金全額を支払うのは難しいでしょう。

社会的信用を失う

二重譲渡は、自社の社会的信用を毀損する行為でもあります。バレなければよいという考えは通用しません。

支払期日までに利用者から売掛金が入金されない場合、ファクタリング会社は売掛先に対して債権譲渡通知を行います。債権譲渡通知とは、債権の権利者が他の人に移ったことを知らせる手続きです。2社間ファクタリングであっても、債権譲渡通知によって売掛先は利用者がファクタリングを利用していたことに気付きます。そして、利用者が受け取ったはずの売掛金をファクタリング会社に支払っていないことを知り、不自然に思うでしょう。

ファクタリングの仕組みに詳しい人ならば、二重譲渡に気付くかもしれません。そして二重譲渡が発覚すれば、企業の社会的信用は大きく失墜します。

事業を続けられなくなる

二重譲渡を行った場合、事業を続けるのは極めて難しくなります。二重譲渡だと発覚すれば、社会的信用を失うため取引先は離れていってしまう他、後述する損害賠償請求で資金が枯渇する可能性も十分考えられます。さらに、最悪の場合懲役刑となり、そうなったらもはや事業どころではありません。

損害賠償請求される

ファクタリング会社に売掛金を支払わなかった場合、損害賠償を請求されるかもしれません。その場合、もともとの売掛金だけではなく、遅延損害金や訴訟にかかった費用なども上乗せして払うことになります。支払いができない場合は、資産を差し押さえられるかもしれません。事業に必要な資産まで差し押さえられれば、事業の存続は極めて難しくなるでしょう。

罪に問われる

ファクタリングの二重譲渡は犯罪であり、発覚した場合罪に問われる可能性が高いです。具体的には詐欺罪や横領罪に該当し、場合によっては両方の罪に問われます(※)。

詐欺罪は、人を欺いて財物や財産上不法の利益を得る行為などに成立する犯罪です。詐欺罪と認められた場合、10年以下の懲役が科される可能性があります。なお、契約前であっても二重譲渡しようとしている事実が発覚した場合は、詐欺未遂罪に問われることがあります。二重譲渡はするのも、しようとするのも厳禁です。

一方で横領罪は、自己の占有する他人の物(他者から管理を委託されている物)を不法に得る行為などに成立する犯罪です。売掛先から入金された売掛金をファクタリング会社に支払わないという行為は、横領に該当する可能性があります。

詐欺罪や横領罪が成立した場合、初犯であっても懲役刑が科されるかもしれません。特に金額が高い場合はその可能性が高まります。取り返しの付かない事態を避けるためにも、二重譲渡はやめましょう。

※参考:e-gov法令検索.「刑法」.

ファクタリングで二重譲渡がバレる理由

ここでは、ファクタリングで二重譲渡がバレる主な理由をご紹介します。

審査の際に債権譲渡登記の情報を確認するため

2社間ファクタリングでは、契約の際に債権譲渡登記が求められることがあります。債権譲渡登記は、債権が譲渡された事実を登記することです。債権譲渡登記を行えば、債権が譲渡された事実を第三者に対して主張できるようになります。東京法務局の窓口や郵送で手続きできます。

債権譲渡登記はファクタリング会社と利用者が共同で申請するため、二重譲渡をしようとしてもその段階でバレるでしょう。この場合、売掛債権自体の信頼性が高くても、ファクタリングの契約は断られるはずです。

ファクタリング会社へ支払う際に発覚するため

債権譲渡登記を行わない場合、ファクタリング会社が契約時に二重譲渡に気付かない可能性は否定できません。ただし、複数のファクタリング会社と契約した場合、複数のファクタリング会社に売掛金を支払う必要があります。いずれかのファクタリング会社に支払いできなければ、その時点でバレるでしょう。仮に複数のファクタリング会社に支払いできるだけの余裕があるならば、そもそも二重譲渡をする必要はありません。

経理担当者が問い合わせする可能性があるため

自社の経理担当者が二重譲渡に気付き、ファクタリング会社に連絡して発覚する可能性も否定できません。ファクタリングの利用回数が1回なら、ファクタリング会社への支払いも1回であることは経理担当者であれば知っているはずです。それにもかかわらず複数回の支払いをすることになったら、少なからず不審に思うでしょう。

ファクタリングで二重譲渡に該当しないケース

ファクタリングでの二重譲渡は違法行為です。ただし、二重譲渡に該当しないケースもあります。詳細について見ていきましょう。

異なる売掛金をそれぞれ別のファクタリング会社に譲渡する

繰り返しになりますが、ファクタリングの二重譲渡とは、1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡する行為です。異なる売掛債権を別のファクタリング会社に譲渡するのは、全く問題ありません。例えば、売掛債権AをX社とY社の両方に譲渡するのは二重譲渡ですが、売掛債権AをX社に、売掛債権BをY社に譲渡するのは正当な取引です。

例えばすぐに現金化したい売掛債権は審査の早いファクタリング会社に、大口の売掛債権は手数料の安いファクタリング会社に、といったように使い分けできます。ただし、ファクタリングへの過剰な依存は、企業の経営を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。

複数のファクタリング会社で見積もりを取る

1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡するのは二重譲渡ですが、1つの売掛債権について、複数のファクタリング会社から見積もりを取ることは問題ありません。これを相見積もりといいます。相見積もりは問題ないだけではなく、むしろ積極的に行うようにしましょう。

相見積もりをするメリットは複数あります。1つ目のメリットは、自社が持つ売掛債権の手数料の目安を知れることです。インターネット上の情報を見るだけでもファクタリングの手数料相場は分かります。ただし、それはあくまで一般的な目安であり、実際の取引条件は個別の売掛債権の質などを考慮して決まります。複数のファクタリング会社に相見積もりを依頼することで、当該の売掛債権に対する手数料の目安を把握可能です。

2つ目のメリットは、悪徳業者かどうかを判断しやすくなることです。1社からしか見積もりを取らなかった場合、手数料が相場より高かったり、違法な行為を推奨されたりしても気付けないかもしれません。複数社から見積もりを取れば、常識外れの行為をする悪徳業者を避けやすくなります。

ただし、そのまま見積もりを取った複数のファクタリング会社と契約してしまうと、悪意がなくても二重譲渡となってしまうため、1つの売掛債権につき1社に絞るようにしましょう。

二重譲渡以外で犯罪に該当する行為

ファクタリング関連で、二重譲渡以外で犯罪に該当する行為がいくつかあります。詳細について見ていきましょう。

架空の請求書を発行する

存在しない取引に関する架空の請求書を発行して売掛債権をでっち上げ、ファクタリング会社に買い取ってもらう行為は詐欺罪に該当します。

請求書や契約書、入出金履歴などをまとめて偽造すればファクタリング会社を一時的に欺けるかもしれません。しかし、実際に売り上げがあったわけではないのでファクタリング会社に支払いが行えず、最終的にはバレるでしょう。より悪質なケースでは、実際の売掛先と共謀して架空の請求書を発行し、ファクタリング会社から得たお金を両者で分け合うこともあります。

さらに、存在する取引に関する請求書の内容を偽造するのも詐欺行為です。例えば、本来の売掛金額が100万円のところに0を1つ足して1,000万円にするといった手法が典型例です。支払日や請求日といった金額以外の情報の偽造も詐欺罪になるため、してはいけません。

粉飾した決算書・試算表を提出する

決算書や試算表を粉飾する行為は、詐欺罪に該当する可能性が高いです。

ファクタリングでは主に売掛先の信用力が問われます。そのため、自社の経営状態が良くなくても審査に通る可能性は十分ある一方で、経営状態が良ければ条件面で有利になるケースもあります。しかし、決算書や試算表を粉飾してはいけません。

例えば、売り上げを過大に計上する(あるいは存在しない売り上げを計上する)、借入金を過少に計上する、在庫を少なく見せるなどの粉飾を行った場合、民事・刑事両方の責任に問われる可能性があります。

売却金を使い込む

2社間ファクタリングを利用した際に、売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に支払わずに自社で使い込むのは違法行為です。使い込みの結果、約束の期日にファクタリング会社に支払いを行えなかった場合は、横領罪に問われるかもしれません。

まとめ

1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡することを二重譲渡といいます。二重譲渡はほぼ確実にバレる上にリスクが大きいため、してはいけません。具体的には、社会的信用を失い事業継続が困難となり、特に悪質と認められた場合は懲役刑が科されます。その他、架空の請求書発行や決算書の粉飾、売掛先から支払われた売掛金の使い込みなども違法行為ですのでやめましょう。

ただし、複数の売掛債権をそれぞれ別のファクタリング会社に譲渡することや、複数のファ
クタリング会社から相見積もりを取る行為は問題ありません。相見積もりは手数料の相場を知れる他、悪徳業者も見分けやすくなるため積極的に行うのがおすすめです。

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