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キャッシュフローの改善方法とは?悪化の要因や具体的な改善策まで詳しく解説

最終更新日:2025年03月31日

企業の倒産を防ぐ上で大切なのが、キャッシュフローの管理です。キャッシュフローとは企業に出入りする現金の流れのことで、収入である「キャッシュイン」と支出である「キャッシュアウト」から成り立っています。

会計上十分な黒字が出ていても、手元の現金が少なければ仕入先への買掛金や従業員への給料の支払いができずに倒産してしまいます。逆に設備投資などを行って一時的に赤字になっても、手元の現金が多ければ問題なく乗り切れるでしょう。

今回の記事ではキャッシュフローが悪化する(手元の現金が少なくなる)原因と、キャッシュフローを改善する具体的な方法を解説します。

キャッシュフローとは

キャッシュフローとは、企業の事業活動によって発生する現金の出入りのことです。売上や投資、借り入れなどによる現金の流入を「キャッシュイン」、従業員への給料の支払いや借入金の支払いなどによる現金の流出を「キャッシュアウト」といいます。

なお、キャッシュフローにおける現金とは以下のものを指します。

・現金:紙幣や硬貨
・要求払預金:当座預金や普通預金など、すぐに払い戻しができる預金
・現金同等物:容易に換金が可能で、変動リスクが僅少な短期投資。3カ月以内の定期預金、譲渡性預金、公社債投資信託などが該当

基本的に、手元の現金は多いに越したことはありません。現金が多ければ突然の出費にも対応できますし、逆に現金が少なければ、会計上黒字でも手形や給料の支払いができずに倒産するリスクが高まるでしょう。

キャッシュフローの区分

キャッシュフローは大きく以下の4つに分けられます。

営業活動キャッシュフロー 企業が行う本業によって生じる現金の流れの総称。売上が多く、経費が少ない場合、営業活動キャッシュフローはプラスになる。基本的にプラスであることが望ましい。
投資活動キャッシュフロー 投資活動による現金の流れの総称。設備投資への投資などを積極的に行うとプラスになり、投資した資産を売却するとマイナスになる。
財務活動キャッシュフロー 財務活動による現金の流れの総称。株式や社債の発行を行うとプラスになり、借入金や配当の支払いを行うとマイナスになる。
フリーキャッシュフロー 企業が自由に使える現金の流れの総称。

一般的に、業績が良く、将来に向けた投資を積極的に行い、借りたお金を滞りなく返しているような優良企業は営業活動キャッシュフローがプラスになります。逆に投資活動キャッシュフローと財務活動キャッシュフローは、マイナスになることが多いです。

キャッシュフローが悪化する要因

前述の通り、手元の現金は基本的には多い方が望ましいです。ここではキャッシュフローが悪化する、すなわち手元の現金が慢性的に減少し続ける主な原因を列挙しています。

キャッシュインの減少

キャッシュインは、企業に入ってくる現金の流れです。企業は日々の営業活動や投資活動、あるいは保有する資産の売却などによって現金を得ています。キャッシュインが減少する主な理由は以下の通りです。

売上の低下

売上の減少は、キャッシュインの減少につながります。経営状態が大きく悪化する前に、新規顧客の獲得や事業内容の見直し、不要な資産の売却などで対応することが大切です。

売掛金の回収遅延

売掛金の回収遅れも、キャッシュインの減少につながります。売掛金は、商品やサービスを提供した後で受け取るお金です。回収が予定よりも遅れている売掛金はいわゆる不良債権であり、これが積み上がるとキャッシュインは減少します。

新規顧客獲得の難航

新規顧客の獲得がうまくいかず、売上の多くを既存顧客に依存した状態が続いていると、キャッシュフローはじりじりと悪化します。こうした状態に陥っている場合は、新規顧客の獲得を積極的に行いましょう。

キャッシュアウトの増加

キャッシュアウトは、企業から出ていく現金の流れです。キャッシュインが多くても、キャッシュアウトがそれ以上に多いと、全体としてのキャッシュフローは悪化します。

もちろん利益を得るためにはある程度経費をかけなければなりませんが、利益にならない無駄な出費をいつまでも続けるのは良くありません。キャッシュアウトが増加する主な理由は以下の通りです。

過剰在庫の保有や設備投資

過剰在庫は、本来の需要よりも多く商品を入荷・生産したために余っている在庫です。過剰在庫は倉庫の物理的なスペースを圧迫し、保管費用や維持費を食いながら次第に劣化していきます。

過剰在庫を防ぎたいのならば、適切な在庫管理は必須です。すでに過剰在庫が発生してしまっている場合は、値下げしてでも売り切るか、維持費がかさむ前に廃棄するなどの思い切った決断が必要になります。

不良資産の保有

不良資産は、本来持っていた価値が大幅に毀損された、現金化が難しい資産です。具体的には回収の見込みがない不良債権や、壊れたり傷ついたりして売れなくなった在庫などが該当します。こうした不良在庫は物によっては維持費や管理費がかさむ一方で、いつまでたっても現金化ができない上、処分するにも費用がかかる厄介な存在です。

借入金の支払い

銀行や信用機関からの借入金は、相手方の同意があれば前倒しして返せます。前倒しすれば支払利息が減るため、積極的に前倒しを行う経営者は少なくありませんが、一方でこれはキャッシュアウトの増加にもつながるため注意が必要です。

借入金を早く返すことを重視したばかりに手形や従業員への給料支払いが滞り、事業が破綻してしまっては本末転倒です。手元の資金に常に余裕ができるような支払いを心掛けましょう。

買掛金の早期支払い

買掛金は、商品や原材料などを仕入れた際に後払いするお金です。買掛金の支払いと売掛金の回収にタイムラグがあると、一時的にキャッシュフローが悪化します。

キャッシュフロー改善のための4原則

キャッシュフローを改善させたい場合は、以下の4つの原則を守りましょう。

・キャッシュインは多く
・キャッシュインは早く
・キャッシュアウトは少なく
・キャッシュアウトは遅く

いずれも当たり前のことばかりですが、この原則を守れていない企業は少なくありません。

まず、キャッシュインは多く、早くが原則です。多くするには値上げや新規顧客開拓、リピート率の増加、あるいは遊休資産の活用や資金調達が必要になりますが、いずれの方法にもメリットとデメリットがあります。

キャッシュインを早くする方法は前払金や保証金などの制度の導入、現金払いの顧客の優遇、ファクタリング(売掛債権の売却サービス)の利用などがあります。

キャッシュアウトは少なく、遅くが原則です。キャッシュアウトを少なくする方法には経費削減、仕入れの価格交渉、不良資産の処分などがあります。

またキャッシュアウトを遅くする方法には、後払いや分割払いの活用などがあります。

キャッシュフローを改善する10の方法

長期的にキャッシュフローを改善するには、キャッシュインを増やすか、キャッシュアウトを減らすかのどちらかを検討しましょう。ここではキャッシュフローを改善するための具体的な方法を全部で10個紹介します。

1.資金繰り表の作成

資金繰り表は、企業の一定期間内(通常は1カ月)の現金の出入りを記録した管理表です。過去の営業実績から実際の数値を記入する「実績資金繰り表」と、経営計画を基に作成する「予定資金繰り表」の2種類があります。特に重要なのが実績資金繰り表です。作成義務はありませんが、作っておけばキャッシュフローの悪化に気付きやすくなります。余裕があるのならば、予定資金繰り表の作成も合わせて行いましょう。

資金繰り表を作成するメリットは、キャッシュフローの改善や悪化の原因をすぐに把握できることです。例えば売掛金の回収が滞っていることが分かれば、回収のための具体的な手段を考えられますし、不良在庫の管理費が増えている場合は早めの処分を検討できます。

また資金繰り表は経営戦略の判断材料にもなります。例えばキャッシュフローが改善傾向にあり、現金に余裕があることが分かれば、設備投資などのさらに利益を増やす選択ができるようになるでしょう。

2.売上を増やすための施策進行

シンプルかつ確実なキャッシュフローの改善方法は、売上を増やすことです。売上増加を伴わないキャッシュフローの改善は長続きしません。それができれば苦労はしない、というのはもっともですが、最終的には売上を増やすしかないのです。売上を十分に増やせていない場合は、以下の5つの点について見直し・確認を行いましょう。

新規顧客は獲得できているか? 口コミやWebサイト、広告などを通じて新規顧客の獲得を目指しましょう。
既存顧客は離れていっていないか? 接客技術の向上、ダイレクトメール、定期購入特典などを通じて、既存顧客の離脱を防ぎましょう。
顧客を囲い込めているか? 特別オファーやシークレットセールの開催を通じて、既存顧客を囲い込み、自社のファンに仕立て上げましょう。
客単価を増やせないか? 魅力的な高単価サービスやセット購入などを提供し、客単価を向上させましょう。
価格は適切か? 競合他社との価格を比較して、必要に応じて価格の改定を行いましょう。

3.売掛金の管理の徹底

売掛金は確実に回収しなければなりません。取引先ごと、請求ごとの支払期限を正確に把握し、支払期限が過ぎている場合はできる限り早く催促を行いましょう。

売掛金を確実に回収するためには、適切な取引先選びが欠かせません。支払い能力が高い会社を取引先に選べば、売掛金の未回収リスクを減らせます。相手の支払い能力を確認し、与信上限額を定める行為を「与信管理」といいます。財務諸表や信用調査会社の調査結果、経営者の能力などを基に取引先の支払い能力を正確に分析し、適切な与信管理を行いましょう。

4.請求・回収の早期化

売掛金の請求・回収の早期化は、キャッシュフロー改善のための4原則である「キャッシュインは早く」に該当します。売掛金を迅速に回収できるサービスに「掛け払い代行サービス」があります。

これは掛取引によって発生する請求・回収作業を外注できるサービスです。請求や督促の他、与信審査や立て替え入金などのサービスもあるため、回収遅れを効率的に防げます。利用に当たっては手数料がかかりますが、外注すれば本業にリソースを集中できるため、上手に利用すればキャッシュフローのみならず全体の財務状況も改善できます。

5.顧客との取引条件の見直し

取引先との関係性が良好な場合は、「サイト」を見直してみると良いでしょう。サイトとは、取引の締め日から、実際に代金が入金される、あるいは入金するまでの期間です。売り手が締め日から代金を受け取るまでの期間を「回収サイト」、買い手が締め日から代金を支払うまでの期間を「支払いサイト」といいます。

一般的なサイトの長さは30日(月末締め翌月末払い)や60日(月末締め翌々月払い)です。手形を使う取引の場合はさらに長くなることもあります。現金払いは即座に支払いが行われるため、実質0日サイトです。

キャッシュフロー改善の4原則に基づき、回収サイトを短く、支払いサイトを長くすると、キャッシュフローに余裕ができます。交渉の余地がある場合は取引先と契約交渉をしましょう。ただし、資金繰りが厳しいと勘ぐられると、取引を打ち切られるリスクもあるため注意が必要です。

また、回収サイトを短く、支払いサイトを長くしたいのは取引先も同様であるため、自社側の都合だけを押し付けないようにしましょう。

6.不良在庫や遊休資産の処分

不良在庫や遊休資産は、保有し続けるだけでも管理費や固定資産税などの費用がかかります。利益に寄与していないものは、早めに処分した方がいいでしょう。

不良在庫は、売れる見込みが比較的高いものの場合は少額の値引きなどで販売しましょう。売れる見込みが少ないものは大幅な値引きを行うか、費用をかけてでも処分します。また、不良在庫を再び大量に発生させないためにも、適切な在庫管理を心掛けましょう。

遊休資産も活用方法がないならば早急に売却してしまいましょう。ただし、現時点で収益に寄与している資産の売却は逆効果になることもあるため、軽率な処分は避けてください。

7.無駄な経費の削減

無駄な経費を減らすことも大切です。ただし、経費は何でも減らせばいいわけではありません。必要な経費まで削ってしまうと、商品の価値が下がったり、従業員のモチベーションが悪化したりします。

数ある経費の中でも、比較的削減しやすく、収益性に悪影響を与えにくいのが固定費です。固定費とは、毎月の出費額が売上高や販売終了などにほぼ影響されないもので、具体的には通信費や光熱費、消耗品費などが該当します。例えばペーパーレス化を促進すれば、業務を効率化しつつ切手代や封筒代などの消耗品費を削減できます。

8.自己資本の増加

自己資本とは、法人が保有する資本のうち、自身で集めた(他社に返す必要がない)資本のことです。貸借対照表の純資産とほぼ同義であり、具体的には起業の際に用意した自己資金や株主から集めたお金、利益剰余金などが該当します。

自己資本を増やす単純かつ確実な方法は利益を上げることですが、株式発行という手段もあります。ただし、特定の株主の持ち株が増えると経営に影響が出ることもあるため、注意が必要です。

9.事業用のクレジットカードの活用

事業用クレジットカードは、企業や個人事業主が事業資金を借りるためのクレジットカードです。用途は事業用に限定されていますが、大まかな仕組みは個人用クレジットカードと似ています。

事業用クレジットカードは年会費無料のものと有料のものがあります。有料の場合コンシェルジュサービスなどの有用なサービスが付帯することもあるため、よく比較検討して選ぶことが大切です。

事業用クレジットカードは支払いの手続きをした日から実際に引き落とされる日まで期間があるため、キャッシュアウトを遅らせられます。また経費の支払いを一本化でき、経費精算の手間を省けるのもメリットです。

10.資金調達

資金調達を行えば、手元の現金が増えるためキャッシュフローは改善されます。ただし、返す義務がある調達方法は、一時的に現金が増えても後で減る点には気を付けなければなりません。企業が使える資金調達手段は複数ありますが、中でもメジャーなものは以下の4つです。

銀行融資

銀行融資とは、文字通り銀行から融資を受けることです。銀行融資は大きく、プロパー融資と保証付き融資に分けられます。プロパー融資は企業が直接銀行からお金を借りる仕組みで、保証料がかからない、限度額がないなどのメリットがあります。反面審査は厳しく、時間もかかるため、簡単には利用できません。保証付き融資は信用保証協会が保証人となる融資で、支払い不能になった場合は信用保証協会が一時的に立て替えを行います。

銀行融資のメリットは、金利が低いことです。一概に何%とはいえませんが、ビジネスローンなどと比べるとより低金利で借りられます。また借り入れを返したという実績を作れば、次回以降の融資が受けやすくなります。

一方で融資までに時間がかかることが多いため、即座にキャッシュフローを改善させるための手段としてはあまり適していません。

補助金・助成金

補助金・助成金は、国や地方公共団体などが事業者に対して支給するお金です。補助金は設備投資やシステム開発などの事業を支援するためのもので、支給額が高額のものも多いですが、審査に通らなければ受給できないというデメリットもあります。

助成金は従業員の雇用や教育、労働環境の改善などを支援するためのもので、支給額は補助金と比べると少なめですが、所定の支給要件さえ満たしていれば審査なしで受け取れます。

補助金・助成金とも支給されるお金であり、返す義務はありません。それでいて経営に介入されないなど、メリットの大きい手段です。ただし、どちらも原則後払いであるため、キャッシュフローを改善させるための手段としてはあまり適していません。

ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家

ベンチャーキャピタルは、新規事業によって事業拡大を目指すベンチャー企業に積極的に投資する企業です。ベンチャーキャピタルが自らの資金を投資することもありますが、多くの場合は社外の投資家から集めた資金を投資します。比較的投資額が多い反面、事業として投資を行うため企業を見る目はシビアです。

エンジェル投資家は起業家に対して積極的な投資を行う個人の投資家です。自らも起業経験がある富裕層が多く、日本でも急速に普及しています。個人の判断で投資を行うため意思決定スピードが早いですが、富裕層といえども個人であるため投資額自体は少なめなことが多いです。

ファクタリング

ファクタリングとは、企業が使える資金調達手段の一種です。保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、手数料を支払う仕組みになっています。

売掛債権を現金化するには通常支払期日まで待つ必要がありますが、ファクタリングを使えば支払期日よりも前に現金を受け取れます。債権を売る仕組みであり借り入れではないため、返す必要はありません。そのため、キャッシュフローを迅速に改善できます。

ファクタリングには売掛先の許可なしで行える「2社間ファクタリング」と、許可が必要な「3社間ファクタリング」があります。

2社間ファクタリングは売掛先の許可が不要な分手続きが簡単で、即日入金に対応しているファクタリング会社も少なくありません。一方で、ファクタリング会社が多くのリスクを負うことから、手数料は高めに設定されます。

3社間ファクタリングは売掛先の許可が必要なため時間がかかりますが、手数料を安く抑えられます。今すぐにでもキャッシュフローを改善したい場合は、2社間ファクタリングがおすすめです。

まとめ

企業の現金の流れをキャッシュフローといいます。キャッシュフローの悪化は、企業の不渡り・倒産リスクになります。キャッシュフローが悪化する原因は売上の低下や売掛金の回収遅れ、不良在庫の増加などです。

キャッシュフローを根本的に改善させたい場合は売上を増加させる必要がありますが、すぐに売上を増やすのが難しい場合は資金調達を行うのも一つの手段です。中でもファクタリングは迅速にキャッシュフローを改善させるのに適しています。返す必要がなく、場合によっては即日入金にも対応してもらえるためです。

ただし、ファクタリング会社を装って悪質な貸付を行うような業者もあるため、考えなしにファクタリング会社を選ぶのは避けましょう。Mentor Capitalは長年の経営実績があり、24時間365日いつでもオンライン査定が受けられますので、まずはご相談ください。

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