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アセットファイナンスとは? 特徴やメリット・デメリットを解説

最終更新日:2025年01月31日

中小企業やベンチャー企業が活用しやすい資金調達手法に、アセットファイナンスがあります。アセットファイナンスとは、企業が保有している資産の価値を根拠に資金を用意する方法です。具体的には有形資産や無形資産の売却、資産を担保にした融資などがあります。

アセットファイナンスに必要なのは資産の価値であり、企業自体の信用力はあまり問われません。そのため、信用力がまだ高いとはいえない中小企業やベンチャー企業に向いている手法といえます。

本記事では、アセットファイナンスの仕組みや種類、メリットやデメリットを解説します。

アセットファイナンスとは

アセットファイナンスは、企業が保有しているさまざまな資産を使った資金調達の手法です。

アセットファイナンスに使える資産はおおむね、以下の3つに分けられます。

・有形資産(土地、建物、機械、車両など)
・無形資産(特許権、商標権など)
・売掛金

上記の資産を売却したり、担保にして借り入れを行ったりする行為がアセットファイナンスです。

アセットファイナンスでは、企業自体の信用力よりも、企業が保有している資産の信用力が問われます。企業自体が小さかったり歴史が浅かったりしても、価値のある資産を保有していれば資金調達の幅が広がるでしょう。

他の資金調達方法との違い

企業の資金調達の手段はアセットファイナンスだけではありません。代表的なものに、デットファイナンスやエクイティファイナンス、コーポレートファイナンスがあります。いずれもアセットファイナンスとはまた違った特徴やメリット・デメリットがあり、状況に応じて適切な手段を選ぶことが大切です。

デッドファイナンスとの違い

デットファイナンスは、負債を使った資金調達方法です。企業にとっては一般的な資金調達手段の一つであり、具体的には銀行融資やビジネスローン、社債発行などが該当します。

デットファイナンスのメリットは、現在保有する資産を減らさずに資金調達できることです。事業を拡大し企業を成長させるためには、利益を生む資産とまとまった資金が必要ですが、デットフィアナンスなら資産を減らさずに資金を増やせます。そのため、無借金経営よりも迅速に事業を拡大させられます。

一方で、デットファイナンスはあくまでも融資であるため、最終的には利子を付けて返さなければならないというデメリットがあることは無視できません。借入前には、弁済の計画を立てておきましょう。

エクイティファイナンスとの違い

エクイティファイナンスは、投資を使った資金調達方法です。エクイティファイナンスも企業にとっては一般的な資金調達手段であり、具体的には新株発行や、転換社債型新株予約権付社債(株式に換えられる権利がある社債)発行などが該当します。

エクイティファイナンスのメリットは、得た資金を返還する必要がないことです。資産を売却したり、負債を増やしたりせずに手元の現金を増やせるため、貸借対照表の改善に大きく役立ちます。

一方で、投資家に経営に立ち入られる可能性があるというデメリットもあります。例えば土地を売ったり、銀行からお金を借りたりしても、土地の売却相手や銀行から経営に直接介入されることはありません。しかし、株式発行をして株主が付いた場合、保有割合に応じた権利が株主に与えられます。一般的に、自社の株式保有率が50%を割ると、思ったような経営がしにくくなります。

コーポレートファイナンスとの違い

コーポレートファイナンスは、会社の信用力を使った資金調達方法です。信用力とは簡単にいえば、会社が債務を滞りなく完済する能力です。デットファイナンスやエクイティファイナンスは、コーポレートファイナンスに含まれる概念といえます。

例えば、銀行融資は負債を使ったデットファイナンスの一つであると同時に、会社の信用力を使ったコーポレートファイナンスでもあります。

コーポレートファイナンスの成否や調達金額を決める具体的な要素は、企業の財務状況や売上や利益、業歴、業種などです。財務状況が悪かったり、売上や利益が下がっていたり、赤字が出ていたりする場合は、資金調達が難しくなります。

アセットファイナンスの仕組み

前述の通りアセットファイナンスの元手となる資産は大きく、以下の3つに分けられます。

・有形資産
・無形資産
・売掛債権

これらの資産を活用して、資金を調達するのがアセットファイナンスです。

有形資産を売却する

有形資産とは、文字通り形のある資産です。具体的には、以下のようなものを指します。

・不動産(土地、建物など)
・在庫商品
・機械設備
・車両、船舶、航空機

これらの有形資産は新たな利益を生み出す源泉となる一方で、固定資産税や管理費用などの経費発生の原因にもなります。有効活用できていない有形資産を売却すれば、資金を作れるだけでなく、資産の整理、経費の削減にもつながるでしょう。

無形資産を売却する

無形資産は、形を持たない資産です。具体的には、以下のようなものを指します。

・商標権
・特許権
・独占販売権
・営業権
・借地権

無形資産は、有形資産と同様に売却が可能です。無形資産も新たな利益を生み出す源泉になりえるため、売却は慎重に行いましょう。

売掛金を利用する

売掛金とは、商品の納品やサービスの提供をして売上が上がっているものの、まだ回収できていないお金です。支払いを後でまとめて行う掛取引をすると、売掛金が発生します。売掛金も企業が保有する資産の一つであり、資金調達に使えます。

売掛金を資金に変える方法は、大きく自社での回収とファクタリングに分類可能です。

自社で回収する

多くの場合、売掛金は自社で回収します。契約書を交わして商品やサービスを提供したら、請求書を発行して売掛金の支払いを求めます。

請求書発行から支払期日までの期間を支払いサイトといい、通常は30日サイト(月末締め翌月末払い)や60日サイト(月末締め翌々月末払い)に設定されることが多いです。30日サイトの場合、例えば1月納品・請求分の売掛金は2月末までに回収します。

売掛金を自社で回収した場合、金額を全額回収できる点がメリットです。一方で、取引先の倒産や夜逃げで回収できなくなるリスクがあります。支払いが行われなかった場合は、内容証明郵便の送付や法的手段による回収も視野に入れましょう。

ファクタリングサービスを利用する

ファクタリングとは、売掛金を含む売掛債権を売却して資金を得る仕組みです。ファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらい、手数料を引いた金額を受け取ります。

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。2社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社の合意があれば行えるもので、資金調達にかかる時間が短い一方で、3社間と比較して手数料が高いです。3社間ファクタリングは利用者とファクタリング会社、さらに売掛先の合意が必要になるため時間がかかります。その反面、2社間よりも手数料は低めです。

ファクタリングのメリットは、支払い期日よりも前に売掛債権を現金化できることです。そのため、急に運転資金が必要になったときなどに役立つでしょう。一方で、手数料がかかるため、長期的に見れば自社での回収よりも資金繰りで不利になりやすい一面もあります。

アセットファイナンスの具体例

アセットファイナンスの具体例には、以下のようなものがあります。

・不動産証券化
・不動産ファイナンス
・動産担保融資
・リースバック

不動産証券化

不動産証券化は、特定の不動産の賃料や売却益を裏付けとした小口の証券を発行し、資金を調達する仕組みです。

例えば、大規模タワーマンションを100億円で売るのは難しいですが、10万口の証券に分割し、1口10万円で購入できるようにすれば、投資家が付きやすくなります。

不動産証券化に当たって、通常不動産の所有者はSPC(特別目的会社)を設立します。SPCは、資産を所有・管理するための会社です。不動産の所有者はSPCに不動産を売却し、SPCは証券を発行して投資家から資金を募り、投資家は証券を購入して、SPCから配当を受け取る仕組みになっています。

不動産証券化を行うと固定資産が減少するため、より効率的な経営ができるようになる他、リスクヘッジにもつながります。

不動産ファイナンス

不動産ファイナンスとは、土地や建物などが生み出す収益を債務履行の原資とする資金調達手段です。代表的なものに、ノンリコースローンがあります。

ノンリコースローンとは、担保資産のみを責任範囲とする融資です。不動産を担保に設定すれば、不動産ファイナンスになります。仮に支払い不能になっても担保資産の処分以上のことを求められないため、借り手にとってリスクの低い手段です。

動産担保融資

動産担保融資は、企業が保有する資産のうち、商品在庫や売掛金などの流動性が高い(現金化しやすい)動産を担保にする融資です。

通常、銀行融資では不動産が担保に設定されることが多いですが、中小企業は担保にできるような不動産を所有していないことも多々あります。動産担保融資は、通常の営業活動で保有する資産を担保にできるのが大きな特徴です。

なお動産担保融資を受ける企業は、金融機関に対して、動産の増減を定期的に報告する義務を負います。

リースバック

リースバックとは、保有する不動産を売却した上で、その不動産の賃貸契約を結ぶことで、不動産の利用を続ける仕組みです。

リースバックは、不動産の売却によってまとまった資金を得つつ、不動産自体の利用を続けられるのが大きなメリットです。通常の不動産売却のように事業所を移転する必要もありませんし、資金が貯まれば買い戻せます。

一方で、リースバックをすると不動産が自社の所有物ではなくなるため、改修や増築に許可が必要になるというデメリットもあるので注意が必要です。

アセットファイナンスのメリット

アセットファイナンスには、他の資金調達方法にはないメリットが複数あります。

中小企業・ベンチャー企業が利用しやすい

アセットファイナンスは、企業の信用力ではなく、資産の信用力が必要です。そのため、起業間もないベンチャー企業や事業規模の小さい中小企業などでも利用できます。価値のある資産があれば、企業自体の知名度や創業年数、利益の大小などはあまり問われません。

ただし、資産を売却したり、担保に入れたりすれば、事業でできることにも制限がかかります。目先の資金獲得のために、収益性の高い資産を手放すのは避けた方が良いかもしれません。

迅速な資金調達ができる

アセットファイナンスにはさまざまな手法がありますが、銀行融資と比べると迅速に資金調達ができるものが多いです。

例えば、売掛債権を売却するファクタリングの場合、審査期間は長くても1週間程度に収まることが多いです。2社間ファクタリングなら、最短即日入金に対応しているファクタリング会社も少なくありません。2カ月~3カ月かかることも珍しくない銀行融資と比べると、かなり短いです。

資金繰りを圧迫しない

アセットファイナンスのうち、資産を売却するタイプのものは、融資ではないため資金繰りを圧迫しません。利息などの余計な支払いもなくまとまった資金を調達できるため、資金繰りをより効率的に改善できます。

ただし、資産を売却する場合、今の手元資金は増えても、将来得られる資金が減ってしまうリスクには留意しなければなりません。

資産価値が下がる前に現金化できる

企業が保有する資産の価値は、使用状況や年数、市場の変化によって変動します。土地や有価証券などは時間の流れとともに価格が上がることもありますが、建物や機械設備、車両などは通常、時間がたつにつれて価格が下がっていきます。

時間がたてばたつほど価値が下がっていくものを、ただ保有し続けても企業にメリットはありません。むしろ固定資産税・都市計画税や管理費用がかさむ分、持っていることがマイナスになりかねません。

こうした有効活用できていない資産を売却すれば、将来の資産価値の下落に対するリスクヘッジになります。現時点で利益に寄与しておらず、将来もその見込みのない資産は、早めに処分した方が良いかもしれません。

バランスシートの改善につながる

企業が保有する資産を売却すると、バランスシートが変動します。バランスシートは日本語で賃借対照表という、企業に所属する資産・負債・純資産を一覧形式で表した表です。左側に資産を、右側に負債および純資産が記入されます。

企業が保有する土地や建物を売却した場合、資産の部に属する固定資産が減少し、流動資産の部に属する現金が増加します。得た現金で負債を打ち消して、バランスシートをスリム化させれば、ROA(総資産に対する当期純利益の割合)や自己資本比率(総資産に対する資産の割合)が改善されます。

アセットファイナンスのデメリット

アセットファイナンスには多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在するので知っておきましょう。

担保となる資産を失うリスクが生じる

不動産ファイナンスや動産担保融資などの借り入れを行う場合、返すのが遅れれば金融機関から担保が差し押さえられるかもしれません。担保にしたものが自社工場や倉庫、あるいは商品在庫などの営業に必要不可欠なものである場合、営業そのものができなくなるリスクがあります。

もし融資を受ける場合は、事前に達成可能な完済計画を立てておきましょう。

調達できる資金は資産の価値による

アセットファイナンスで調達できる資金は、保有する資産の価値に左右されます。例えば固定資産を売却する場合、価値の高い建物や土地は高額で売れますが、価値の低い建物や土地は買い叩かれたり、そもそも売れなかったりする可能性が高いです。

融資を受ける場合も、担保にする不動産や動産の価値が低ければ、借りられる額が少なくなってしまいます。

保有している資産の価値がよく分からない場合は、事前に入念な下調べを行いましょう。例えば不動産の場合は、固定資産税評価額や相続税評価額、似たような物件の市場価格をチェックしてみると良いでしょう。

一定の手数料がかかる

アセットファイナンスで資金調達をする場合、手数料がかかります。例えば、有形資産や無形資産を売却する場合は通常、仲介業者に依頼するため、仲介手数料を払わなければなりません。

一例として、不動産を売却する場合の手数料の上限は、売買価格が400万円以上の場合、「売買価格×3%+6万円+消費税」になります。例えば1億円で不動産を売る場合、仲介手数料の上限は1億円×3%+6万円=306万円に消費税30万6000円を加えた336万6000円です(消費税は10%で計算)。割引してくれる仲介業者もありますが、上限まで取られることもあります。

融資を受ける場合は、手数料ではなく金利に基づいた利息がかかります。いずれにせよ、資産価値と全く同じ金額の資金は用意できないと心得ておきましょう。

企業のイメージ低下につながる可能性がある

アセットファイナンスを利用すると、企業のイメージが低下する可能性があります。企業が保有する土地や資産を売却した場合、目的がバランスシートのスリム化などポジティブなものであっても、資金繰りに困っていると見なされるかもしれないからです。

アセットファイナンスの利用を取引先や一般消費者に広く知られた場合のことも考えて、資金調達を行いましょう。必要がある場合は、財務が健全であることも広く伝えていきましょう。

アセットファイナンスがおすすめの企業

アセットファイナンスにはメリットもデメリットもありますが、以下のような特徴を持つ企業は、メリットを引き出しやすく、なおかつデメリットを抑えられる可能性が高いです。

保有する資産の価値が高い企業

保有資産が多い企業は、アセットファイナンスのメリットをうまく引き出せます。特に保有資産の市場での価値が高く、なおかつ資産を休眠させてしまっている場合、アセットファイナンスを利用すると財務状況や収益性を大きく改善させられるかもしれません。

使っていない土地や建物などの固定資産は、保有しているだけでも管理費用や税金がかかりますし、在庫もただ持っているだけでは利益を生み出しません。こうした収益に結びついていない資産を売却したり、動的担保融資の担保にしたりすることにより、まとまった資金を調達できます。

ただし、今後資産価値が向上する可能性がある優良物件や土地、有価証券などを保有している場合は話が異なります。急いで資金を用意する必要がない場合は、保有し続けた方が最終的な利益が大きくなるかもしれません。資産を売るにしろ売らないにしろ、熟考することが大切です。

売掛金が多くある企業

アセットファイナンスは、大量の売掛金を現金化するのにも向いています。売掛金が多いということは、商品の売上が高いということでもあり、それ自体は望ましいといえます。しかし、売掛金があっても手元の現金が少ないと、運転資金が用意できずに黒字倒産してしまうかもしれません。

売掛金が多く、なおかつ手元の現金があまり多くない場合は、売掛金を使ったアセットファイナンスを利用すると良いでしょう。売掛金を使ったアセットファイナンスには、前述のファクタリングの他、売掛金を担保にした売掛金担保融資(ABL)があります。

銀行融資を受けにくい企業

アセットファイナンスは、銀行融資を利用しにくい企業にもおすすめです。起業して間もない新興企業や信用力に乏しい中小企業などは、銀行融資が受けにくい場合が多いです。しかしアセットファイナンスのうち、資産を売却するタイプのものは融資ではないため、厳しい審査に備える必要はありません。

短期間で資金が必要な企業

アセットファイナンスは、短期間で多額の資金を用意したい企業にもおすすめです。特に審査期間が短く、短期間で資金を調達しやすいのがファクタリングです。2社間ファクタリングは最短即日振込に対応しているファクタリング会社も多く、迅速な資金調達が可能になります。

ただし、その分手数料などの経費は一般的な銀行融資などと比べると高くなります。資金繰りに困っていない場合は、そのまま売掛先の支払いを待った方が良いかもしれません。

アセットファイナンスの注意点

アセットファイナンスを行う際は、保有している資産の価値変動に注意しましょう。資産の価値、すなわち市場価格は常に変動します。建物や機械設備、あるいは車両などのように経年劣化するもの、耐用年数が定められているものは基本的に時間がたつにつれて資産価値が下落します。特別な理由がない限りは早めに資金調達に使った方がいいでしょう。

一方、土地や有価証券などの場合、時間の経過とともに資産価値が向上することも珍しくありません。このような状況では、すぐに売ったり担保にしたりするよりも、少し待った方が良い場合があります。今その資産を使って資金調達するのが本当に最適なのか、よく考えることをおすすめします。

自社の人材だけでは適切な結論を導けそうにない場合は、外部の専門家の意見を聞くのも手です。費用はかかりますが、費用を上回る利益を出せればトータルでプラスになります。

まとめ

アセットファイナンスは、企業が保有する資産を用いた資金調達の手法です。資産を売却したり、担保にして融資を受けたりすれば、まとまった資金の獲得も可能です。具体的な手法として、不動産証券化や動的担保融資が挙げられます。

アセットファイナンスは資産を活用するため、企業自体の信用力が低いベンチャー企業や中小企業でも利用しやすく、短期間で資金を調達できるというメリットがあります。一方で、手数料がかかる、イメージが低下する恐れがあるなどのデメリットがあることも押さえておきましょう。

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