最終更新日:2019年09月24日
Mentor Capitalです。
今でこそ資本金0円でも株式会社を設立できるようになりましたが、一昔前は株式会社を設立するためには資本金1000万円必要でした。
今でもこのときの事を覚えている人は会社を作るなら漠然と1000万円位は資金用意しておいた方が良いのではないかと思うのではないでしょうか。
昔は1000万円の資金を用意するというのはとても大変なことでした。
会社がある程度大きくなれば1000万円単位の資金調達はごく当たり前に行うことかもしれませんが、株式会社を設立するための1000万円を貯めるのは非常に大変です。
しかし、資金調達の方法が多様化したことによって老若男女問わず、素晴らしいアイデアやノウハウがある人は1000万円位の資金は十分集められるようになりました。
本記事では創業したて、あるいはこれから創業する人が1000万円の資金調達を狙うためにはどのような方法がありえるのかということを説明します。
1000万円の融資は受けられるのか?
まず、1000万円を資金調達する方法として思いつくのが、銀行から1000万円の融資を受けることです。
ただし、創業したての会社にとって銀行融資は容易ではありません。
一般的に創業したての会社はまだ事業が上手くいくかわかりませんし、銀行との取引実績もありませんので、なかなか融資を引き受けてくれません。
仮に引き受けてくれても担保や保証人を求められるでしょう。
金融機関から融資を受けるためには担保が必要となる
金融機関から1000万円を借りようと思えば、まず経営者本人が連帯保証人になるか、土地や建物、有価証券など換金できそうな資産を担保に差し出す必要があるでしょう。
このときの銀行の事業が上手くいきそうかどうかよりも、1000万円が返済不能になった場合に回収できそうかがポイントです。
1000万円以上の価値を持った資産を担保にできない人は1000万円の資金調達を行えないことになります。
また、事業に失敗した時は1000万円の借金を抱えたり、担保が取られますので非常にリスクが高い調達方法だと言えます。
日本政策金融公庫から1000万円の創業融資を引き出せるか
日本政策金融公庫の新創業融資なら創業したての企業でも無担保・無保証人で融資を受けることができます。
制度上、融資限度額は3000万円(うち、1500万円は運転資金)で最大自己資金の9倍まで融資を受けることができます。
この制度なら理論上120万円を用意すれば1000万円の資金調達を無担保・無保証人で受けられる可能性があります。
ただし、現実的に自己資金の9倍の融資はよほど良い事業計画でも偶然が重ならなければ受けることができないと考えられます。
現実的には事業計画に説得力があって、融資を受けたい経費の中身も妥当な上で300万円~500万円程度の自己資金は用意しなければならないでしょう。
出資元は1000万円を借りたい理由を聞いてお金を出してくれない
以上のように銀行から創業時に1000万円の資金調達を行う方法について検討しました。
銀行の融資基準は比較的後ろ向きです。政策金利と銀行の貸付金利は実質的に連動しており、政策金利が低い現状では銀行の貸付金利は非常に低くなっています。
貸付金利が低いので1件の貸し倒れでも収益に大きな影響を与えるため、銀行はリスクヘッジを重視します。
つまり資産を持っている人にしか融資をできないのです。
創業1か月の会社が、4分30秒で5000万円の資金調達に成功
このように1000万円の資金調達のためには元手となる資金が必要になるのが銀行からの融資ですが、これと対象的なのはクラウドファンディングの世界です。
2018年5月に話題になったのがnommocという会社の資金調達です。
nommocという会社は2018年4月に設立された会社で、サービスを作るための資金調達をクラウドファンディングサービスで行ったのですがわずか4分30秒で5000万円の資金調達に成功しました。
おそらくこの会社が事業計画を作り、社長が連帯保証人になっても5000万円の融資は行わないでしょう。
まず設立したての会社でまだ何の実績もありませんし、社長も22歳ということで社会経験も限られています。
更に、挑戦するビジネスモデルはこれまでにない斬新なサービスです。
nommocは目的にまで無料で乗れるタクシーの配車アプリを作ろうとしています。
これは、タクシーの車内にディスプレイを設置して利用者に広告を見せることによって、その広告費でタクシー代を無料にして更に収益をあげようというのです。
もちろん、このような前例のないビジネスモデルには誰も挑戦したことがないのでどうなるかわかりません。
失敗する可能性もありますので銀行から融資を受けることはできないでしょう。
間接金融から直接金融で資金調達できる時代へ
資金調達には大きく分けて直接金融と間接金融の2パターンがあります。
間接金融・・・銀行融資のように出資者と出資を受ける側の間で第三者が仲介する資金調達方法です。
直接金融・・・親族から会社に出資してもらうように出資者と出資を受ける側がダイレクトにつながっている資金調達方法です。
今まで資金調達と言えば間接金融が主流でした。すなわち、銀行が利用者から預金を預かって、預かった預金の貸し出し先は銀行が決めていました。この方法だと銀行の融資は保守的になります。
営利企業なので確実に利益をあげるために危ない案件にはできるだけ投資をしないのが合理的だからです。
よって魅力的な事業計画であっても、創業間もない企業であったり、前例のないビジネスモデルに挑戦しようとしている企業、
担保や保証人など返済を裏付ける資産がない企業への融資はどうしても後回しにされていました。
一方で直接金融は、事業の面白さを含めて投資するか否かを決定します。
すなわち、出資者がそのビジネスを応援したいと思うものに出資をしてくれるので、失敗する可能性がある事業でもその魅力次第では資金調達ができるのです。
今までは出資者と出資を受ける側のマッチングができませんでしたが、インターネットの発達により直接金融で出資を受けることが可能になりました。
例えばクラウドファンディングやソーシャルレンディングがその代表です。
また、2017年に誕生したVALUというサービスのように株式会社が株式を発行するような個人が資金調達をできるサービスも開始されました。
面白いアイデアとやる気があるならば1000万円規模の資金調達がまで以上に容易になる時代がすぐそこまで迫っています。
最後に
以上のように創業間もない企業が1000万円の資金調達を行うという切り口から、直接金融での資金調達について紹介してきました。
従来、お金は元手となるお金が無ければ集められないものでした。
間接金融が主流の時代では、リスクの高い融資は行えなかったからです。
しかし、インターネットの発達により人々が自分の成長する、面白いと思えるモノに直接投資できる直接金融が徐々に広がっていっています。
本文中で説明したnommocの事例のようにアイデアで資金調達に成功する企業が現れ始めています。
間接金融の時代は、資金調達とはすなわち銀行交渉や見栄えの良い財務諸表の作り方などのテクニック論が重要でした。
しかし、直接金融の時代では事業そのものの魅力が重要となってきます。
既に今でもクラウドファンディングを駆使すれば魅力的な事業なら出資者から直接資金調達を行うことが可能です。
ぜひ、これから創業あるいは創業間もない企業で1000万円の資金調達を行いたいという経営者は事業の魅力を磨き込んでインターネットを活用し、広く一般にアピールするほうが良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
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