最終更新日:2019年12月04日
Mentor Capitalです。
今回は、創業融資について解説したいと思います。
資金調達に関する情報やノウハウを多く持っているということは、経営者の重要な資質の一つです。
中でも、政府系金融機関の日本政策金融公庫は、創業や事業拡大を考えている経営者にとって、非常に好条件の融資制度が整っているので必ずチェックしておくべきだと言えます。
本日は、日本政策金融公庫の融資の中でも、これから起業を考えている方や、事業を開始したばかりの方にとって、
ぜひ抑えておいて欲しい「新創業融資制度」と、その融資を受けるための具体的な手順や方法に関してご説明させて頂きます。
1.1500万円を無担保で借りられる日本政策金融公庫の新創業融資制度とは?
日本政策金融公庫は政府系の金融機関のためで、経済政策の一環として、税金を使い起業や独立をサポートするための融資制度が豊富です。
その中でも、新創業融資制度は、これから新たに事業を始める人や、事業を始めて間もない人で、売上げや利益などの実績がなくても特別に事業資金を借りることができる制度です。
そして、新創業融資制度では以下のように、法人でも個人事業主でも、最大で1500万円の融資を受けることができます。
※この他にも条件の良い融資は沢山ありますので、今後の記事でご紹介させて頂きます。そちらも楽しみにして頂けると幸いです。
この新創業融資を受けるにあたって特筆すべき点は以下の3つです。
1.1 メリット:無担保無保証で借りられて連帯保証人も不要
日本の一般的な企業融資では、経営者が連帯保証人になることが普通です。
しかし、新創業融資の場合は、無担保無保証、連帯保証人不要のため、独立・起業を考えている方にとってはリスクが少なく非常に有利な制度だと言えます。
1.2 メリット:申請後1ヶ月半ほどで融資が降りる
自治体や金融機関での融資の場合、申し込みから融資が降りるまでに平均で2ヶ月半ほどかかります。
新創業融資の場合は、それよりも1ヶ月も早いので素早い事業展開が可能です。
1.3 デメリット:金利が若干高い
日本政策金融公庫の新創業融資は、無担保無保証で借り入れを行うことができるため、金融機関の一般的な融資に比べて利率が1.2%程高いのが難点と言えるでしょう。
しかし、前述した通り
という点を考えると、破格の融資と言うことができます。
2.どうやったら新創業融資を受けられるのか?
2.1 どれだけしっかりと準備するかで融資確率は大きく変わる
一般的に、この日本政策金融公庫の新創業融資は、申請した法人や個人事業主のうち、
実際に融資を受けることができるのは2割程度だと言われています。
一方で、こうした新創業融資を専門に扱っている士業の中には、依頼者の9割が融資を受けることに成功しているというケースもあります。
そこで、当ページでも融資の実行率を高めるための手順を出来るだけ詳しくご説明させて頂いていますが、
さらに融資を得る可能性を高めたいなら、融資の実行経験が豊富な士業の先生にご相談することが確実でしょう。
2.2 大切なのは担当者に成功すると確信してもらうこと
当然のことながら、新創業融資を出すか出さないかを決める担当者の方も人間です。
つまり、新創業融資を受け取るために大切なのは、その担当者の方が、あなたがこれから起こすビジネスや、
経営者であるあなた自身の人柄に魅力を感じ、「この会社は成功する」と思っていただくことです。
そのためには、大げさな数字ではなく、現実に即した堅実なプランを伝えることが大切です。
それでは、次から早速、新創業融資の申請を成功させるための方法をお伝えします。
3.受領される可能性が高い新創業融資の申請方法
3.1 新創業融資の申請の流れ
それでは、これから、出来るだけ新創業融資を受け取れる可能性を高めるためのコツをお伝えします。まず最初は、申請の流れを把握しておきましょう
。新創業融資の申請の流れは以下のようになります。
それでは、早速一つ一つ見ていきましょう。
3.2 必要書類の準備
まずは、新創業融資の際に必要な書類は以下の通りです。
この中で最も手間をかけて作成しなければいけないのが『創業計画書』です。創業計画書とは、事業初年度にどれぐらいの売上と費用が出るのかをまとめたものです。
書式は日本政策金融公庫指定のものを使用する必要があります。日本政策金融公庫の下記リンクよりダウンロードしてください。
また、創業計画書を書く前に、業種別“虎の巻”というページを読んでおくことをオススメします。
新創業融資を借りようとしている方はもちろん、これから独立・起業を目指している経営者予備軍にとって、
非常に役立つ経営知識や売上戦略の立て方、業種別の創業ポイントなどがまとめられています。これらのページにしっかりと目を通してから創業計画書を作りましょう。
さて、この創業計画書を書く際に特に気をつけるべき点は以下の通りです。
①売上の根拠を明確に!
創業計画にとって最も大切なのは販売計画です。そのため、あなたがどのような商品やサービスを売っていたとしても以下の7つの点を明確に伝える必要があります。
BtoBビジネスの場合は、取引先や、商品品目、単価、数量、納期をしっかりと示し、計画通りに売上が推移することが伝わるように書きましょう。
もし、既に契約書や発注書などがある場合は、そちらも添付書類として用意しておきましょう。
BtoCビジネスの場合は、目標売上を達成するために必要な、客単価と回転率を達成することができる明確な根拠を伝えましょう。
②その売上を達成するための費用の額とその用途を明確に!
次に、①で示した売上を達成するために必要な人件費や設備費、店舗改装費などを明確に示しましょう。
設備を購入したり店内を改装するのであれば、いくら必要なのかが明確になるため見積書が必要です。
また、1ヶ月の仕入れや人件費などのランニングコストの内訳と金額の根拠も明確に書くようにしましょう。
そして、そうしたランニングコストを賄うために、常に会社を何ヶ月分運用できる資金を手元に置いておかなければいけないかも明確にしておかなければいけません。
※売上計画や原価、人件費等の計算方法に関して、日本政策金融公庫より『売上高の計算方法について』という資料が用意されています。必ず確認しておくようにしましょう。
③自己資金が大切!
日本政策金融公庫の新創業融資の審査を通るに当たって、自己資金をいくら用意しているかという点はとても重要な審査要素です。
例えば、自己資金がゼロなのに融資を手に入れたいというような甘い考えでは、ほぼ通りません。
また、借りたい金額が、自己資金の2倍以上という場合でも通るのは難しいでしょう。審査をする方も人間です。
あなたが事業を始めるに当たってコツコツと貯めて来た自己資金が多ければ多いほど、「この人は自分の事業に熱意を持っている人だ。」と思われます。
自己資金を用意した上で、後いくらの融資があれば事業を確実に回すことができるかをしっかりと考えて、融資希望額を決めるようにして下さい。
創業計画書の業種別の記入例を見ておこう
日本政策金融公庫のホームページで、業種別の創業計画書の記入例が公開されています。
3.3 融資の申込み
創業計画書や必要書類を用意したら、開業の2ヶ月〜3ヶ月ほど前に融資の申し込みを行います。
また、法人の場合は、申請にあたって会社の登記簿謄本が必要となります。融資の申し込みの2週間ほど前から会社の登記を始めておきましょう。
(参考:『株式会社設立|始めての人でも1週間で会社を作り起業する為の全手順』)
さて、申し込みの際は、借入申込書を書く必要があります。下記リンクより雛形をダウンロードしてください。(日本国政金融公庫のリンクです。)
申込は、会社の本店所在地の近くにある日本政策金融公庫の支店で行います。
こちらのページで近くの支店を調べておきましょう。また、申込の手続き等に関して分からないことがあれば、
日本政策金融公庫の事業資金相談ダイヤルに電話をかけると色々と教えてもらえますので上手に活用しましょう。
3.4 審査面談
申込の後、1週間ほどで審査面談が行われます。融資の審査担当者は、あなたに直接会って創業計画書の信憑性を確認するとともに、あなたの人間性も見極めようとします。
従って、面接で全てが決まると思って望んで下さい。また、創業計画書はあくまでも計画書で、数字の通りにいかないのは審査担当者も分かっています。
そのため、創業計画書そのものよりも、それを作った“あなた”自身を重視すると考えて下さい。
①面談の注意点
簡潔ですが、面談に臨む上での注意点は以下の通りです。
②完璧に答えられるようにしておくべき8つの質問
また、特に以下の質問には、“明確な根拠をもって”完璧に答えられるようにしておいて下さい。
これらの質問に対して自信を持って、すぐにロジカルに答えられるようなら何を聞かれても大丈夫でしょう。
3.5 現地調査
既に事務所や店舗を開いている場合、無事面談を通過後、次に審査担当者が、事業の活動状況を見るために現地に調査に来ます。
(※現地調査はない場合もあります。)ここでのポイントは一つだけです。それは、活気がある会社であることを担当者に分かって頂くことです。
というように活気のある会社として当たり前の動きができるようにしておきましょう。
本気で融資の獲得を目指しているなら、日頃から妥協せずにしっかりと取り組みましょう。
3.6 融資の実行
ここまで乗り切ると晴れて融資が実行されます。ここまでにかかる期間は、大体1ヶ月から1ヶ月半ほどとお考え下さい。
4.まとめ
新創業融資は、これから起業をするという方や、事業を始めたばかりの方にとっての資金調達の手段としてとても有用なものです。
他に、これほど破格の条件で資金を借り入れできるところはないと言っても良いでしょう。
新創業融資に申し込む上で、全ての要素を完璧に用意できるケースは稀です。従って、多少足りない点があったとしても、「自分は必ずこの事業で成功する」という信念が大切です。
そして、その思いを審査担当者に、ロジカルに熱意を持って伝えることが重要です。
一般的に、日本政策金融公庫の新創業融資は、借り入れの難易度が高いと言われていますが、その他金融機関や保証協会からの融資を断られ、
不退転の決意で新創業融資に申し込んだ結果、融資を引き出した例もあります。
何を言われても、絶対に最後まで諦めないという強い気持ちを持って臨みましょう。それは会社経営者にとって何よりも大切な資質です。
いかがでしたでしょうか?
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