最終更新日:2020年03月31日
Mentor Capitalです。
信用保証協会は中小企業や個人事業主への融資に対する信用保証を行う保証人代行が業務で、銀行などの金融機関から融資を受けるハードルを下げ融資枠を拡大することに貢献してくれます。
大きなメリットがある反面、保証料が発生し審査に時間がかかるのがデメリットとなるため利用するタイミングには注意が必要です。
信用保証協会は公益法人に分類される
信用保証協会は、信用保証協会法に基づき設立・運営される認可法人で公益法人に分類されます。
営利優先で運営される銀行は中小企業や個人事業主への融資に担保設定を求めるため、
担保の用意が難しいことも珍しくない中小企業は土地などの担保を出すことで経営の自由や裁量まで奪われてしまうこともあるのが現実です。
リスクを感じ保証人になることを避ける人も多く、より融資が厳しくなる原因にもなっています。
信用保証協会は個人や企業のかわりに保証人を引き受け、融資を受けた企業が返済不能となった場合に代位弁済を行います。
信用保証協会の保証が付くことで融資枠が増額するケースも存在し、中小企業や個人の資金繰りを円滑にするためのサポートを行うのが信用保証協会です。
一般的に新規創業の場合、創業者が資本金を用意し会社を設立します。会社自体は資本金1円からでも設立可能ですが、
実際に事業を運営するとある程度の資金が必要となり全て自前で賄えるケースは限られると言えるでしょう。
信用保証協会付の融資は新規創業者でも利用できる数少ない資金調達手段です。
新規創業時に利用される融資として政策金融公庫の新創業融資制度が挙げられます。
新規創業融資制度はまだ実績のない会社であっても融資は受けやすいのですが、創業資金総額の1/10以上の自己資金の用意が必要となります。
また実際に自己資金の9倍を融資してくれる訳ではなく平均200~300万円の融資額がボリュームゾーンと言われ、
それ以上の融資は難しいのが現実で会社の運転資金に最低限必要な金額の融資が行われます。
つまり新規創業融資制度だけでは十分な資金が賄えない場合がありますが、信用保証協会付の融資で不足分を補うことができます。
しかし、低金利融資を行う銀行にとって貸し倒れは大きなリスクであるため、創業したての企業への融資に銀行は非常に消極的です。
銀行よりも融資審査の基準が緩いと言われるビジネスローンや売掛金を利用した売掛債権担保ローンやファクタリングなどもありますが、これらの資金調達方法は割高となる傾向が強いのも事実です。
また創業間もない企業はビジネスローンの審査も厳しく、多額の資金調達を行えるほどの売掛金も保有してないケースが少なくありません。
新規創業者が受けられる融資として現実的なのが信用保証協会の保証付き銀行融資です。
保証付き融資であれば新規創業者でも貸し倒れリスクを信用保証協会が保証してくれるので銀行からの融資を実現することが可能となります。
また信用保証協会の保証付融資を受けることで行政のサポートが受けられる場合もあります。
例えば東京都江東区では江東区中小企業融資制度という制度があり、これを利用して信用保証協会の保証付き融資を受けた場合の信用保証料は江東区の補助が受けられます。
銀行融資・信用保証協会による融資の保証・自治体の補助制度を活用することで、難しいと言われている創業時の資金調達を、銀行融資を受ける形で実現することが可能になります。
信用保証協会の最大のメリットは融資のハードルを下げられること!
信用保証協会を利用する最大のメリットは、融資のハードルを下げられることです。資金繰り苦しくても保証人が見つからないと、融資を受けられないケースがでてきます。
またリスクが大きい事業の場合は事業計画の時点で脆弱性を指摘され融資が不適格だと判断されることもあり、保証の有無は融資審査に大きく影響します。
信用保証協会の保証付き融資は保証人を探す手間が減る上に担保を求められるケースが減り、銀行の干渉で経営戦略が迷走するリスクも回避できます。
土地を担保にし不渡りと同時に差し押さえられることで事業が継続不能となるケースもあるため、保証付き融資は経営リスク分散に効果的である点も魅力です。
さらに事業計画策定のアドバイスや経営改善のサポートなど、様々なサポートがあるのもメリットだと言えます。
信用保証協会の保証付き融資で借入実績も積める!
信用保証協会の保証付き融資を利用することで借入実績と信用情報を積めるのも、信用保証協会を利用するメリットです。
銀行が融資を渋る理由として、信用情報が弱く貸し倒れが危惧されることが挙げられます。
銀行は決算書で確認できる財務状況と共に借入返済実績の有無も信用情報として確認します。
借入の返済実績がなければ信用情報が弱く借入が困難ですが、借入をしなければ返済実績を積むことができないという矛盾が存在します。
銀行の融資には「信用が先か?実績となる借り入れを行うことが先か?」という問題がありますが借り入れ実績がなく決算書だけで銀行の融資を待つよりは、
信用保証協会の保証付き融資で融資を受け返済実績を積む方が早く信用が付くと言えるでしょう。
上記の理由から信用保証協会を利用し「返済実績を積むための融資」を受けられるのはメリットの1つだと考えられます。
信用保証協会利用のデメリットとは?
信用保証協会を利用するデメリットとして審査期間が長いことが挙げられます。
公益性が高い法人であるため、不正な融資を防ぐための審査が行われ審査も厳格になる傾向があります。
審査期間が1ヶ月程度かかるのが一般的で、審査後に銀行などに融資を依頼するためさらに融資までに時間がかかります。
メリットを生かすためにはあらかじめ審査期間を組み込んだスケジューリングが重要だと言えます。
また信用保証料が発生するのもデメリットとして挙げられます。
信用保証料は公益法人の信用を貸す手数料に該当し、企業の規模や融資額によって違いが出るものの保証料金の0.5~2%程度の料率で発生します。
借入額と共に保証料も大きくなるため、経済的負担があるということも理解しておく必要があると言えるでしょう。
返済終了までは他の金融機関から融資を受けられないのも特徴で、無理な返済計画を立てれば経営破綻に繋がるリスクがあるのは銀行などの金融機関から融資を受ける場合と同じです。
金融機関から融資を受けられない時点で計画自体を見直した方が良い場合もあると言えるでしょう。
利用できない業種があり保証にも上限がある
信用保証協会の保証付き融資を利用できない業種の存在や、保証付き融資に大手銀行は積極的になりにくいことにも注意が必要です。
反社会的組織はもちろん利用できませんが農業的サービス・林業・狩猟業・漁業・水産養殖業・金融・保険業・風営法関連業種・ギャンブル関連業種・学校業も、
信用保証協会の利用ができないので注意してください。
また一般的に都市銀行・地方銀行・信用金庫では取扱い資金量や融資規模が異なり、都市銀行の貸付利率は信用金庫よりも低い傾向にありますが、
都市銀行は信用保証協会の保証付き融資に積極的ではありません。
都市銀行・地方銀行・信用金庫は取引先企業の事業規模が異なり、都市銀行は売上数十億円クラス以上の事業規模に対する融資以外に積極的ではないと言えます。
また保証協会の保証付き融資の保証限度額は決まっていて一企業に対して普通保証2億円、無担保保証8000万円の合計2億8000万円までしか保証できません。
大規模企業への大規模融資以外は積極的にならない都市銀行と取引を行う企業については信用保証協会を利用した融資は現実的でないと考えられます。
つまり信用保証協会の保証付き融資の利用は地銀や信用金庫からの資金調達がメインの企業になると考えられますが、
ただでさえ地銀や信用金庫の高い貸出金利に信用保証協会の保証料が加わることから資金調達コストとして割高になるのもデメリットだと言えます。
信用保証協会が代位弁済を行っても債務は消えない
返済不能に陥った企業の債務を信用保証協会は代位弁済によって保証しますが、企業の債務が消滅する訳ではないので注意が必要です。
信用保証協会は債務保証は行いますが保険的機能はありません。
信用保証協会の保証は自社が返済不能に陥っても代位弁済で銀行に対する返済を立て替えるだけで、代位弁済後は信用保証協会対する返済義務が発生します。
信用保証協会は保証する融資の返済を銀行に対して行うため銀行にとっては貸し倒れが発生しない魅力的な制度ですが、
融資を受ける企業にとっては万が一返済不能となった場合のリスクヘッジにはなりません。
信用保証協会の保証なしでプロパー融資を受けられる場合は、信用保証協会の保証を付けることにメリットがないので、信用保証協会の保証なしで融資を受けるべきだと言えます。
信用保証協会を付けても融資が保証されるとは限らない
信用保証協会の保証は銀行にとっては貸し倒れリスクがなくなるので、信用保証協会の保証が付けば銀行の審査も簡単に通るかに思えますが実はそういう訳ではありません。
信用保証協会の保証は付いたものの、銀行の審査が通らないケースも少なくありません。
信用保証協会の保証が付けば安心という訳ではなく、会社の財務状況や経営計画の制度などの総合判断によって融資の可否は決定されます。
せっかく、信用保証協会の審査を色々な書類を作成して通したけれども銀行の審査が通らなくて結局ダメになってしまうというケースもありますので注意してください。
信用保証協会が付かないと融資を受けられないのかは要チェック
銀行側にとって信用保証協会付の融資は代位弁済によって貸し倒れリスクが回避でき保証料は貸出利率に上乗せされ融資先負担となります。
つまり銀行側にとって信用保証協会をつけるメリットはあっても、デメリットは存在しないと言えます。
本来は保証を付けなくても融資できる場合でも保証付き融資を進められるケースもあり利用者からすれば保証料の分、資金調達コストが大きくなってしまいます。
銀行は信用情報のしっかりした取引先に対する融資のみを行いたいので、信用保証協会付の融資で融資を受け返済実績を積み十分に信用情報を強化した後は、
いずれ信用保証協会なしでのプロパー融資に切り替えるべきだと考えられます。
信用保証協会のメリットとデメリットまとめ
信用保証協会は公益のために設立・運営される機関で、中小企業や個人事業主が融資を受けやすくするための活動を行っています。
支払いの保証を受けることで融資の可能性が大きく広がり、事業に大きなプラスに働くことがあります。
しかし信用保証料の発生や審査期間の長期化などのデメリットも存在し、いかにデメリットを避けるかを考えながらの利用が重要で、無計画な利用はマイナスに働くこともあります。
債務の一本化に向けた借り換え支援や、経営計画の改善支援など付随する業務も多いため、いかに保証制度を理解し、うまく利用するかが大切だと言えるでしょう。
いかがでしたでしょうか?
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