最終更新日:2019年05月07日
Mentor Capitalです。
今回は、事業資金の融資をノンバンクから借入するメリット・デメリットについて解説したいと思います。
事業資金調達の際、銀行や信用金庫からの融資を希望しても審査に通らないことがあります。
しかし会社を経営するなかで「事業資金を調達しなければ事業が行き詰ってしまう」という逼迫した事態に直面する可能性もあります。
そのような事態で事業資金の融資を実現させるために役立つのが比較的審査が緩く、どちらかというと事業の将来性に重きを置いて融資を行っているノンバンクの融資です。
銀行のプロパー融資の場合、過去の取引実績や事業の業歴などを考慮した融資となり、初取引となる銀行の融資審査の通過は非常に難しいと言えます。
ただノンバンク融資の審査が柔軟であるといっても、審査の通過には一定の条件を満たす必要があます。
そこで、資金調達の際にノンバンク融資審査に通過するポイントやノンバンク融資にどのようなメリットやデメリットがあるかなどを詳しく紹介していきます。
融資の1つノンバンクとは?
ノンバンクは預金や為替などの銀行業務を行わず、貸付に特化した運営を行う金融機関や貸金業者を指し、ノンバンクからの貸付をノンバンク融資と言います。
貸付業務以外の銀行業務も行う銀行・信用金庫・労働金庫などノンバンクには含まれず、消費者金融・事業者金融・不動産金融専門会社・リース会社・信販会社などがノンバンクと呼ばれます。
さらに銀行とノンバンクの違いとして適用される法律が異なる点も挙げられます。銀行は銀行法、ノンバンクは貸金業法の規定に従い事業運営しています。
ノンバンクの中には「銀行系ノンバンク」に分類される企業も存在します。
これは、親会社が銀行である消費者金融などが該当し、銀行と深い関連性のある消費者金融を総称して銀行系ノンバンクと呼びます。
ノンバンクはどのような融資審査が行われるのか
ノンバンク各社とも審査の方法や基準を公開してはいませんが、基本的な審査方法や基準に銀行とノンバンクで大きな違いは無いと言われています。
事業資金の融資で最初にポイントとなるのが業歴や実績です。どれくらいの期間事業を行い、どのような結果を出しているのかが審査されます。
ただ、ノンバンク融資は銀行よりも緩い審査基準を設定する傾向にあり、業者によって考え方は異なりますが、1年程度の業歴でも審査に通過する可能性はあります。
銀行の場合は一般的に1年では融資審査は通らないと言われているので、業歴の面で利用しやすいのはノンバンク融資だと言えるでしょう。
審査の過程では経営者と法人の信用情報のチェックも行われます。
個人事業主の場合は法人情報とは関係ありませんが、会社を興して法人登録されている場合には、法人情報の確認が行われます。
経営者自身の信用情報はクレジットカードやカードローン・キャッシングの取引履歴・返済状況・返済の延滞記録・債務整理などの情報を信用情報機関に照会します。
万一金融事故情報が登録されている場合は事業資金の融資はもちろん、一般のカードローンの利用もできなくなります。
国内には日本信用情報機構、株式会社シー・アイ・シー、全国銀行個人信用情報センターの3つの信用情報機関が存在します。
この中の日本信用情報機構に個人の信用情報と法人情報が登録されおり、法人情報も信用情報機関に照会します。
登録されている法人情報は法人名・代表者氏名・所在地・電話番号などの基本情報から、
保証人に関する情報、融資契約や返済についての情報、債務整理・債権回収・債権譲渡などに関する情報、融資の申し込み情報などです。
個人の信用情報同様に法人の信用情報にも問題がある場合は、融資が受けられない可能性があります。
金融事故情報は一定期間信用情報機関に保存されますので、記録が抹消されるまで事業資金の融資の審査などに影響を及ぼす可能性があります。
誠実に契約を履行してくれるかどうかもノンバンクにとって重要なことですので、申し込み者がどのような人物であるかを面接時に確認しています。
信用情報以外に経営者の人柄なども問題になることがあります。
また税金の滞納の有無も重要なポイントとなります。銀行などでは税金をしっかりと払っていない会社や経営者は返済能力に難ありとして、事業資金の融資を行いません。
ノンバンクの場合もこの点については甘くはありませんが、業者によっては今後の事業計画や返済能力によっては融資を行ってくれる可能性もあります。
ノンバンクで事業資金の融資を受ける際の書類は?
事業資金をノンバンク融資で調達する際、提出書類に不備がある場合は「審査に通過しない」や「融資までに時間がかかる」ことになりかねませんので必要書類の準備は万全を期す必要があります。
書類の再提出などが必要となると、緊急融資に対応できないことになります。
融資の申し込み時に必要となる書類として本人確認書類の(運転免許証やパスポート等が必要です。
健康保険証などの写真のない書類の場合、さらにもう1点別の書類を求められる場合もあります。
収入証明書の提出も必要となり、前年度分の確定申告書、青色申告書類、収支内訳書などで対応できます。
事業の運営状態を示す書類として有効期限内の営業許可証や受注書、発注書、納品書、請求書、領収書などが必要となります。
必要書類は銀行の融資を受けるより少なくて済むのがノンバンク融資のメリットだと言えますが、業歴が短い場合は事業計画書や収支計画書を求められるケースもあります。
事業計画書は今後の事業展開を説明する書類で、定型書式はありませんが、ノンバンク側に判りやすい内容で作成する必要があります。
正確な予測に基づいた事業の将来について説明しますが、現実に即さない大げさな計画を記載しないことが重要です。
社内の極秘事項や個人のプライバシーに関する情報は公開する必要がありません。
収支計画書は今後どれくらいの収益が上がるのかを説明する書類で、借入後の返済能力があるのかを測る重要な書類になるので、
間違いのないように計算する必要がありますが、非現実的な計画では審査を通過することができません。
融資の審査を通過するポイントとは
比較的審査が緩いと言われるノンバンクであっても、業歴が短い場合は信頼度が低くなり審査に不利になります。
しかし、しっかりとした事業計画書や収支計画書を作成すれば借入できるケースは少なくありません。
信用情報は融資の審査の段階での改善は不可能ですので、経営者自身や法人が金融事故を起こさないよう日頃から注意する必要があります。
税金も滞納せずに納付しておくとノンバンクの審査を通過しやすくなります。
必要書類はさほど多くはありませんが、それだけに内容に間違いが生じないようにすると共に、誤字・脱字・記入ミスなどを防ぐようにしてください。
些細なことですが信用低下に繋がるケースも有り得ます。
事業資金融資で借入できる資金とは?
事業資金に含まれるのは、運転資金やつなぎ資金、事業の拡大資金、設備投資資金などです。
運転資金は事業運営のうえで必要となる資金で、商品の仕入れ代金・人件費・注文代・宣伝広告費・家賃・光熱費などが該当します。
事業が軌道に乗るまでに必要な資金も運転資金に数える場合もあります。
つなぎ資金は一時的に入金が遅れた場合などに埋め合わせを行う資金です。
設備投資資金は事業に用いる設備に投資する資金で、特に事業開始当初は多額の設備投資資金が必要となり資金調達先の確保が重要になります。
ノンバンクの事業資金融資を利用するメリットについて
ノンバンクの最大のメリットは柔軟な審査を行うことです。
審査基準は各社が独自の判断を行い異なるものの、広範囲の人や企業に対し融資を行っています。
赤字決済や税金の滞納など銀行の融資が受けられない状態でも、ノンバンクでは融資を受けられるケースも少なくありません。
金利が低い銀行融資は、未回収リスクを含めた判断を行い赤字や税金未納の企業に対する融資の判断がシビアですが、ノンバンクは非常に柔軟な審査を行うと言えます。
例えば創業直後の企業は赤字経営のケースも少なくありませんが、今後赤字状態が解消する見込みがあるケースなどは柔軟に判断され、
現状が赤字でも今後の成長が望める場合には、ノンバンクからの借入を検討する余地はあります。
審査から借入までの期間が銀行借入と比べて短いこともノンバンクの魅力です。
銀行で融資を受ける場合、保証会社と銀行が審査を行うのに対しノンバンクは1社だけで審査を行います。
即日融資を謳う消費者金融などではネットで申し込めば手続きがスムーズに進み、融資まで待たされることがあません。
消費者金融は個人向けカードローンやキャッシングのイメージが強いですが、事業資金融資も行っています。
消費者金融以外で事業資金を借りる場合も、最短2~3営業日以内に融資が行われるものが多く、事業資金が急に必要になった際にも対応できます。
事業資金に余裕がない運営を行っている場合、急な支出で事業資金がショートする可能性が考えられます。
日頃から資金繰り表を活用したキャッシュフロー管理が重要ですが、経理業務に精通する人員がいない場合などは管理が難しいのが現実です。
資金ショートが発生しそうな緊急事態では借入まで時間を要する銀行融資は不向きだと考えられます。
迅速な審査と借入が可能なノンバンク融資であれば、緊急の事業資金調達にも対応可能です。
緊急で資金調達する場合、長期間借入するものではありませんので借入金利が高い場合でも短期利用すれば利息は低く抑えられます。
また、ノンバンク融資は店舗に足を運ぶことでさらに審査の迅速性が向上します。
事業内容や決算書に関する説明は、面談で容易に解決するケースもあり融資を確たるものとするために、決算書を持ちノンバンクの店舗を訪れることも検討する価値はあるでしょう。
担保や保証人が不要のケースもあります。一般的に銀行などでは担保や保証人を出さなければ、事業資金融資が行われませんが、
ノンバンクの場合は無担保・無保証人で融資を受けられるケースが少なくありません。
仮に担保設定を行うと高額融資を受けられるので、事業資金融資に満足できない場合は担保付きの融資を利用してみるのも悪くないでしょう。
ノンバンクは金利が高いと思われがちですが、事業の内容や事業計画を吟味し貸付を行う業者には、金利を低く抑えているところもあり場合によっては金利が低くなるケースもあります。
また、近年は最低金利が低下する傾向にあり借入額が大きい場合は、ノンバンクだからといって高い金利で損をするとは限りません。
ノンバンク自体の経営が破綻し、債権が流出する恐れはないのかが気になる方もいるかもしれませんが、現在消費者金融の多くが大手銀行の傘下に入り運営されています。
事業資金融資をの専門業者も健全経営の業者だけが生き残っていると言えます。
デメリットはあるの?
低金利商品もありますが、全体的にはノンバンクの事業資金融資は依然として高金利だと言えます。
上限金利を18.0%程度にしているノンバンクも多く、融資額が少ない場合はかなりの金利負担が発生します。金利が高いことから短期間で返済を行わないと総返済額が増加します。
このため日本政策金融公庫の融資や信用保証協会の保証の付いた貸付を選択する企業が増える傾向にあります。
ノンバンク業者の一部には正式な認可を受けていない業者も存在します。
このような業者から融資を受けるとトラブルの原因にもなるので、
小さな街金融などの場合は金融庁のホームページの「登録貸金業者情報検索サービス」で正式業者なのか確認することをおすすめします。
ノンバンクの中でも消費者金融は限度額が多くても800万円程度とやや少なめに設定されており、多額の事業資金調達には対応できません。
1,000万円以上の融資を希望する場合は、消費者金融以外を選択する必要があります。
また銀行傘下の消費者金融以外のノンバンクからの借入頻度が増加すると、銀行融資が受けにくくなることや赤字決算でも柔軟に対応するものの、
個人事業主は収入が即経営のための出費や生活費に繋がるので、赤字決算では返済能力がないと見なされます。
最後に
銀行や信用金庫、日本政策金融公庫で事業資金調達ができなかった場合でもノンバンクであれば可能性があります。
かつてノンバンクからの借入は危険視されていましたが、近年経営体質が改善され信用できる業者が増加しています。
銀行などに比べると確かに金利などの条件面で劣るものの、それを補うメリットもたくさん存在します。
ひと口にノンバンクといっても様々な業者や商品が存在します。どれが自分や自分の会社に合っているか、
金利や限度額、貸付条件などをよく比較して必要とする事業資金の性質を踏まえたうえで最も利用しやすいものを選ぶようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?
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