最終更新日:2018年09月26日
Mentor Capitalです。
今回は、無担保・無保証人で利用出来るマル経融資について解説したいと思います。
日本政策金融公庫は零細、中小企業向けに様々な良質な融資サービスを展開していますが、
その中でも条件の良い融資サービスとして、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)という融資があります。
本記事ではこのように小規模事業者によって頼もしい味方であるマル経融資に焦点をあてて、マル経融資とは何か、どの様な仕組みになっているのか、
どの様な融資条件になっているのか、マル経融資を利用するメリット・デメリットは何かなどマル経融資に関連する情報をまとめて伝えます。
マル経融資とは何か
本記事はマル経融資について説明するものですが、そもそもマル経融資とは何なのでしょうか。
マル経融資とは日本政策金融公庫は小規模が小規模事業者向けに展開している融資制度です。
日本政策金融公庫は通常の銀行が相手にしないような規模の零細企業や小規模事業者向けへの融資制度が充実していますが、これも小規模事業者向けの融資制度です。
小規模事業者とは従業員20人以下(サービス業・商業は5人以下)の企業を指しマル経融資はこのような小さい事業者のための融資制度です。
融資制度として他の融資制度と違う所はこの融資制度は商工会議所の推薦もとに審査を行う融資制度だということです。
このようにすぐに融資を受けられるわけではないので少し面倒な制度ですが、このような面倒さが有利な融資制度となります。
最大の特徴は無担保無保証で融資が受けられるという事です。
マル経融資を受けられるような小規模事業者が無担保無保証で融資を受ける事は現実的にはほぼ不可能です。
最低でも信用保証協会をつける事は求められるでしょう。
このような理由から小規模事業者が利用できる数少ない無担保無保証の融資制度なので、多少の面倒を覚悟しても十分に割に合う制度だと言えます。
なお、無担保無保証でも融資限度額は最大2000万円ですし、運転資金7年以内、設備資金10年と長期的な返済プランもあります。
利子についても利率1.11%が基準になるので小規模事業者に対する融資としては破格の条件です。
更に都道府県や市町村の地方自治体によっては、利子補助などを行っている場合もあるのでここから更に補助を受ける事によって低利率で融資を受けられる可能性もあります。
このように、マル経融資は商工会議所から推薦を受けるという面倒くささを差し引いても、小規模事業者にとってぜひ利用したい融資制度であると言えます。
マル経融資を受けられる企業の条件
では、このようなマル経融資を受けようと思うとどの様な手続きが必要なのでしょうか。
先ほど商工会議所の推薦が必要になると説明した部分について詳しく説明します。
通常の融資の場合、銀行に融資を依頼するだけで、場合によっては信用保証協会や担保、保証人を求められるかもしれませんが、基本的には銀行と自社の間で完結する作業です。
しかし、マル経融資を受けるためには商工会議所からの推薦を受ける必要があります。ただし、商工会議所はどのような企業でも推薦してくれるわけではないのです。
ちなみに商工会議所とは、正確に言えば国や地方自治体のような公共機関ではありません。
商工会議所法に基づき、経済産業大臣から認可を受けた特別法人で、地元企業の経営改善や地域振興のために活動する団体です。
なお、商工会議所は基本的に市レベルの区域を担当していますが、更に町村エリアをカバーしているのが商工会で商工会議所と商工会は厳密に言えば違う団体です。
商工会議所を管轄しているのは経済産業省の経済産業省政策局、根拠法は商工会議所法で、商工会を管轄しているのは経済産業省の中小企業庁で根拠法は商工会法です。
また意思決定の仕方も異なり商工会議所は規模が大きいので、選挙で選任された議員が議会で決定しますが、商工会の場合は規模が小さいためにすべての事業者が参加できる総会で決定します。
マル経融資の推薦を行っているのは商工会ではなく、商工会議所なので注意してください。
ちなみに、商工会議所からの推薦が必要ならば商工会に入会していないと融資を受けられないのではないかと思う方もいるかもしれませんが、融資を受けるための条件は以下の5つになっています。
(1) 常時使用している従業員が20名以下(商業・サービス業は5人以下)であること
(2) 1年以上継続して、商工会議所の担当エリア内で継続して事業を行っていること
(3) 商工会議所・商工会の経営指導を原則6か月以上受けている事
(4) 所得税や、法人税、住民税などを完納している事
(5) 日本政策金融公庫が融資できない対象業種(金融業、投機的事業、一部の娯楽業)
もちろん、上記5つの条件とは別に、決算書の内容が悪くて貸し倒れの発生が懸念される場合などは融資を受ける事が出来ないので注意してください。
また、基本的にマル経融資を受ける場合は管轄している商工会のエリアで1年以上継続して事業を行っている必要があるという事で、創業1年目の会社はマル経融資を申し込むことはできません。
また、創業1年目以降であったとしても、現在の商工会の担当エリアに移転してきて1年以内の場合はマル経融資の対象とならないので注意してください。
また、税金の未納がある場合も融資を受ける事ができませんので万が一未納となっている場合は速やかに支払った方が良いでしょう。
この条件の中で、一番気になるのは(3)の商工会議所・商工会の経営指導を原則6か月以上受けていると言う事ではないでしょうか。
商工会議所、商工会の経営指導とはいったい何なのでしょうか。
これについては担当している商工会議所によって異なりますが、原則として何日も経営指導の為に拘束されたり、様々な資料を提出したり、
会社の隅々の情報まで商工会の経営指導員にチェックされるというわけではありません。
2か月に1回など定期的に経営指導員が会社に訪問するので、ざっくばらんに困っている事を相談するという非常にライトな経営指導です。
例えば、売掛金の回収が滞っている案件があるのですがどうしたら良いでしょうか、人を雇いたいのですがなかなか雇えませんと言う様にざっくばらんに今の悩みを相談して、
簡単な事ならその場で教えてくれますし、必要に応じて専門家などを紹介してくれます。
ただし、この経営指導を受けるためには原則的に商工会議所の会員になっている必要があります。
商工会議所のスタンスによっては経営指導を受けるだけならば、商工会議所の会員になる必要はないとしている商工会議所もあるので、
経営指導を受けるために商工会議所に入会しなければならないかは地元の商工会議所に相談しに行った方が良いでしょう。
マル経融資の申請手続き
では、マル経融資はどのような手続きで申請するのでしょうか。
① 小規模事業者が商工会議所に対して経営指導を申し込み6か月以上継続して経営指導を受けます。
② 商工会議所に対してマル経融資の借り入れの申し込みをします。(なお、この時点で継続して1年以上継続して商工会議所の管轄エリアで事業を行っている必要があります)
③ 商工会議所は申し込みを受けて、商工会議所内で申し込んだ小規模事業者を日本政策金融公庫に推薦するべきかどうかを検討し、その是非を決定します。
④ 推薦できないとなった場合はそこで終わりですが、推薦できるとなった場合は日本政策金融公庫に申込内容が送付され、公庫内で検討されたのち、融資契約に関する通知が小規模事業者に届けられます。
小規模事業者がその内容で納得したら契約書を結んで、日本政策金融公庫からの融資が行われます。
以上がマル経融資を申し込んでから融資を実行されるまでの一連の流れです。基本的には商工会経由で日本政策金融公庫からお金を借りるという事です。
ここで気になるのは、商工会議所からの推薦を受ける事の難易度はどの位高いのかという事です。
前述した融資対象となる条件を満たしている事はもちろんですが、最も重要なのは決算書です。無担保無保証での融資ですから厳格に決算書はチェックされます。
また、商工会議所側で推薦を決定するまでの手続きとしては、経営指導員がまず商工会議所として推薦できるような会社かどうかの判断を行い、
経営指導員が推薦できると思ったものを月に1度開催される審査会にかけて正式に商工会議所の推薦となります。
つまり、審査を貰えるかどうかは経営指導員の時点でほとんど決まっていて、経営指導員のチェックを通過できればあとは審査が下りる可能性が高いのです。
経営指導員が推薦できないと考えれば審査会に回す事もありませんし、経営指導員が審査会に回せばほぼ推薦をもらえるようなものなのです
。
このような事から経営指導員に話を聞けば大抵の場合、マル経融資を受けられそうか否かが判断きます。
経営指導員の指導を受けながら会社の問題点を解決していけば、推薦を受けられない会社でもいつかはマル経融資を受けられるようになるのです。
ちなみに募集条件は融資の利率は1.11%、最高限度額は2000万円ですが、無担保無保証任で事業規模も小さいので実際には300万円~400万円程度の融資になる事が多いようです。
利子については逆に利子補助を受けられるケースもあるので1%を切る場合もあります。
マル経融資のメリットとデメリット
ここまで説明して来たマル経融資のメリットとデメリットについて改めてまとめます。
メリット
マル経融資のメリットはなんといってもその融資条件です。
従業員20人以下の小規模事業者でも無担保無保証で最大2000万円の融資を受ける事ができますし、返済期限も比較的長期に設定されています。
通常、この規模の事業者が融資を申し込むと保証人や担保を要求されますし、最悪の場合でも信用保証協会つきでの融資になりますし、
利率についても2%前後にはなると考えられますので、この規模の事業者にとっては破格の条件だと言えます。
デメリット
デメリットは申請から融資までの時間が長い事です。
まず前提として継続して同一のエリアで事業を営んでいる事が1年以上、商工会の経営指導を半年以上受けている事が必要ですし、
申込書類は一度商工会議所で月1回の審査を受けてからの政策金融公庫なのでどうしても時間が掛かるので急な資金調達には不向きです。
最期に
以上のようにマル経融資とは何かという事について説明してきました。
マル経融資は日本政策金融公庫の融資制度で、従業員20名以下の企業でも無担保無保証任、低利率で融資を受ける事ができる制度です。
利子は1.11%ですが利子補助によって下がる可能性があり、反対に融資限度額は2000万円ですが無担保無保証なので実際には300~400万円の融資がボリュームゾーンになります。
ただし制度の利用にあたっては、地元を管轄している商工会議所の推薦が必要となります。商工会議所の推薦を貰うためには、
これらが形式的に必要となります。
また、このような形式的な要件を満たしていれば必ず融資を受けられるわけではありません。
無担保無保証での融資となりますので、決算書の内容がとても重要になります。
ただし、商工会の推薦を貰うまでのステップは経営指導員のチェックをクリアして審査会で推薦が決定するという流れで、
経営指導員のチェックを通過すれば審査会で推薦を貰える可能性も高いので、経営指導員に話を聞けばなぜ自社が推薦を貰えないのかが判断できます。
このようにして商工会議所の推薦を貰うと、申込書類が日本政策金融公庫に行く、公庫内で正式に融資内容を決めて、小規模事業者に通知が届き、契約を結んで融資が実行されるという流れになります。
マル経融資は小規模事業者でも無担保無保証で融資を受けられるので非常にありがたい制度ですが、
融資を受けるまでの商工会議所の審査会を通過する必要があるので融資の実行までに時間がかかることには注意してください。
いかがでしたでしょうか?
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