最終更新日:2019年03月04日
Mentor Capitalです。
今回はフィンテック革命について解説したいと思います。
新聞やTVを中心にフィンテックというワードを聞く機会が増えてきています。
国内に於ける認知度は未だ高くなく浸透しているとは言い難いものの、ITを使用した新しい金融サービスであるフィンテックは、
アメリカを中心として世界中で盛り上がりを見せており、国内の大手企業や投資家達の間でフィンテックが注目を集めています。
ここではまだフィンテックを知らないという方に向けて、フィンテックがどのようなものなのか、主要なサービスや関連している企業、
フィンテックを活用した事業融資サービスの具体例、メリットやデメリットなどを含めてフィンテックを紹介します。
フィンテック(Fin Tech)とは何か
フィンテック(Fin Tech)とは金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた造語で、簡単に言うと金融とITを融合させた新しいサービスです。
以前は金融機関や営業店舗の勘定システムなどごく一部を指していましたが、国内で普及し始めてからは「ITと金融を融合させた新サービスが次々と登場してくる現状」
を総合してフィンテックと呼ぶこともあり、明確な定義はありません。
フィンテックのサービスには電子マネーやオンライン決済なども含まれており、
国内の公的機関ではフィンテックを「電子決済等代行業者」と表現する事もあり、フィンテックという言葉の意味自体が徐々に変化しているとも言えるでしょう。
名前を知らなくても既にフィンテックを使っている・または触れている方は少なくなく、意外に身近な存在であるのも事実です。
世界のフィンテック事情
フィンテックはアメリカで誕生したサービスでアメリカでは既にフィンテックの技術を用いたサービスが数多く存在しています。
国内では2015年頃からメディアで取り上げられ始めたため、フィンテックの歴史はまだ浅い印象を受けますが実はそうではありません。
現在では国際的な決済サービスとして利用されているペイパル(PayPal)がありますが、一説ではペイパルがインターネット決済サービスを導入した1998年がフィンテックの始まりだと言われています。
2000年代から成長を始めたアメリカのフィンテック市場は、インターネットを利用した国際送金サービスであるリップルラボ(ripple Labs)、
スマートフォンの決済サービスであるスクエア(Square)などフィンテック関連企業が続々と誕生し、2014年時点で10,000万ドル近い投資額を達成しています。
その後も成長を続け2015年に投資額も最高に達し、一般的な決済などの事業からスキマ産業的なものまで非常に多くのサービスが誕生しています。
ただし、2016年にはアメリカ国内におけるフィンテックの投資額が減少するなど、市場成長の伸び悩みが見られます。
また、アジア圏では中国のフィンテック業界が凄まじい勢いで成長を続けており、その規模はフィンテック発祥の地であるアメリカに迫るほどです。
フィンテックの主要サービス、日本での普及は?
国内のサービスではiモードやおサイフケータイなどフィンテックの先駆けのようなものがあったのですが、
企業側がフィンテックのようなビジョンを描けなかった事なども含め、携帯電話の付加サービスとしての域を出る事ができませんでした。
世界水準と比較すると日本は後追いとなりましたが、徐々に法整備なども進められ企業の進出スピードは上がりつつあります。
フィンテックのサービスはアメリカ・中国など国外を中心に増加の一途を辿って来ましたので、2017年時点では様々な種類が存在しています。
フィンテックのサービスの分類方法にはいくつかありますが、「個人や消費者向けのフィンテックサービス」と「企業や事業者向けのフィンテックサービス」の2つに分けて紹介します。
個人や消費者向けのフィンテックサービス
法整備なども特に必要なかった事から普及は早く、現在国内には個人、そして消費者向けのフィンテックサービスは数多く存在します。
以下に代表的なサービスをいくつか挙げてみましょう。
財産管理のサービス
会計や経理ほど規模が大きくなく、一般的な個人が利用できるものとして家計簿アプリが挙げられます。
「Zaim」や「マネーフォワード」など、クレジットカードや口座情報までオンラインで結びつける事ができる家計簿アプリは、
これまでの財産管理方法より圧倒的に利便性が高いことから一気に普及しました。
情報漏えいの危険性も指摘されていましたが、特に問題等も無く運用されています。
送金や決済に関わるサービス
数あるフィンテック関連のサービスの中で、最も身近なものが送金や決済に関するサービスだと言えるでしょう。
若者を中心に圧倒的なスピードで広まった通信サービスLINEが展開する「LINE pay」、楽天の「楽天 Pay」既に紹介した「PayPal」もこのサービスに含まれます。
特にLINE Payは日常的な連絡手段として使用されるLINEが母体である事から、爆発的に利用者が増加しています。
スマートフォンアプリやインターネットをクレジットカードや個人の銀行口座と直接結びつけ、
クレジットカードやコンビニなどからチャージし、個人間や商品購入の際の決済にインターネット上で支払いを行えるこのサービスは、誰しも一度は利用した事があるのではないでしょうか。
投資や資産運用サービス
投資や資産運用はある程度の知識や技術を必要とするものでしたが、
まだ数こそ多くありませんがフィンテックにより市場情報を自動的に分析して投資を行ってくれるTHEOやWEALTH NAVIと言ったサービスが登場しました。
これらのサービスはロボアドバイザーとも呼ばれており、簡単に言えば自動で分散投資を行ってくれるシステムという事になりますが、
国内では運営企業には専門的なライセンスなども求められる事があり普及が遅れているのが現状で今後の利用者拡大が期待されています。
反面、アメリカを中心に世界的には増加傾向にあると言えるでしょう。
仮想通貨関連サービス
近年「ビットコイン」が盛り上がりを見せた事で、仮想通貨関連のサービスについては既にご存じの方も多いかもしれません。
仮想通貨という言葉が先行して一般に浸透したため、これらがフィンテックの一種であるという事が意外と知られていないのも事実です。
「bitbank」や「bitFlyer」など専門の取引所を利用し、仮想通貨自体の売買や購入を行う事ができます。
その他、仮想通貨自体で物品購入を行う事ができるサービスも登場してきており、これからの展開に期待がかかる分野です。
資金調達関連サービス
個人でも資金調達が出来る事で爆発的に利用者が増加したクラウドファンディングなども、フィンテックの1つとして数えられています。
クラウドファンディングにもいくつか種類がありますが、この中の「投資型」や「融資型」がフィンテックに分類されます。
国内の「投資型」「融資型」クラウドファンディングは増加傾向にあり、最近では直接融資を行う企業も登場してきています。
これらの事から、今後クラウドファンディングだけでなくフィンテックを利用した独自の融資サービスをする会社が増えてくると予想されます。
企業や事業者向けのフィンテックサービス
企業や事業者向けのフィンテックサービスには、上記で紹介した【財産管理】として会計や経理向けのフィンテック関連サービスは「MF クラウド会計」や「freee」などがありますが、
最近では会計ソフトとして昔から普及している弥生会計も参入するなどより盛り上がりを見せています。
個人事業主の確定申告の負担を減らしてくれるのはもちろんですが、その機能性から積極的に導入する中小企業も増えています。
その他、特に企業や事業者向けのフィンテックとして注目されるのが事業融資などのサービスです。
事業融資
国内では少数ではあるものの、事業融資系のサービスは徐々に増えてきています。
現在出ているものでは「融資を受けたい人」と「融資をしたい人」を結びつけるソーシャルレンディングと呼ばれるものもフィンテックのサービスです。
フィンテック革命の影響
人々の暮らしをより豊かで便利にするフィンテックサービスは、国内でも続々と誕生してきています。
インターネット上に登録された情報だけで即座に融資の可否を診断するシステムをはじめ、特にフィンテックが事業融資にもたらした影響は大きいものでした。
国内ではまだ際立った動きはありませんが、アメリカでは既に預金や決済・融資と言ったこれまで銀行が担当してきた業務を行う企業も登場してきています。
この事からフィンテックが銀行の代わりとなる日が来るのではとの議論も一部で持ち上がりましたが、
インターネット上での預金という点で不安が残るフィンテックはまだ銀行のシェアを奪いきれずにいます。
金利が低いとは言え預金というシステムが無くなる事は当分無いでしょうが、銀行は営業時間・営業日などが限られており、少なからず不便な面があるのは間違いありません。
今後、フィンテックという技術革命が本格的な広がりを見せれば近い将来実店舗で営業する銀行が無くなってしまう可能性があるのかもしれません。
フィンテック事業融資のメリット
審査から融資までスピーディ
従来の金融機関の事業融資と言えば審査から融資まで1週間、早くて1カ月程度の時間を要するのが一般的でした。
現在は審査から融資まで3日程度とするカードローン系の事業融資も多く登場していますが、
これらは金額が低いものが中心となっており金融機関の事業融資と比べるのは適当ではありません。
対して、フィンテックの事業融資は例え高額融資でも審査から融資まで1日程度で済むものも多くあります。
フィンテックの審査はすべて経営状態・財務状態などオンライン上のデータを元に行われ、申込者に対して適切な金額の融資をスピーディに行う事が出来るのです。
事業融資の種類が豊富
フィンテック誕生の地であるアメリカでは事業融資系のフィンテックにも様々な種類があります。
中小企業を対象としたものを中心に、学生向け・個人事業主向け・インターネットショッピングサイトの運営企業向けなど、対象を明確にした事業融資系のフィンテックが存在します。
国内ではまだ多くありませんが、今後進出企業の増加と共に融資対象を絞り込んだフィンテックが誕生する可能性があります。
融資対象であれば審査に通過する確率が更に高まるのは間違いないでしょう。
フィンテック事業融資のデメリット
国内ではまだ数が少ない事業融資系フィンテック
クラウドファンディング市場の盛り上がりを受け、貸付型クラウドファンディングであるソーシャルレンディングは国内でも増加傾向にあります。
しかし、消費者向けサービスの増加速度に比べ直接的な事業融資系フィンテックは多くありません。
現状フィンテックで事業融資を利用する際は、実績のある運営会社を選ぶのが良いでしょう。
国内におけるフィンテックの今後
近年大きな動きを見せ始めた国内のフィンテック市場ですが、やはり海外に比べると日本はかなり遅れていると言っても過言ではないでしょう。
海外と比べても日本の金融システムは非常に安定しており、オンライン上で資金のやり取りを行うことに抵抗感を示す方も少なくはありません。
法改正も無事行われ投資額も順調に伸びている事からこれからの成長に期待がかかっていますが、今後更に発展するかどうかはまだ未知数だと言えます。
個人や消費者からすればあまり関わりがないとも言えますが、事業などで直接フィンテックに関わるような方は今後の展開に注意が必要だと言えます。
フィンテックの国内市場に関する情報などは、定期的に金融庁や研究所が公開していますので、積極的にチェックするのが良いでしょう。
フィンテック革命まとめ
国内ではまだまだ始まったばかりの感があるフィンテックですが、海外では大きな盛り上がりを見せており日本がいかに遅れているかを痛感させられます。
フィンテックは新しいサービスであるものの、従来の常識を覆す革新的なシステムであり決済サービスやクラウドファンディング、アプリなどは一般にも徐々に浸透してきている印象を受けます。
しかし、特に資金調達分野での国内フィンテックサービスに関してはまだ試験的に導入されているようなものも多く、今後普及していくかどうかは正直分かりません。
新しいサービスだからこそ早めに情報を集めておけば、今後フィンテックに関わる事があっても安心です。
今回の記事を参考に、是非新しいサービスの一つであるフィンテックの知識を深めておくのが良いのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?
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