最終更新日:2020年03月02日
Mentor Capitalです。
でんさいやファクタリングという決済システムや資金調達手段の登場と共に、事業運営を取り巻く経済活動のスタイルが変貌しつつあります。
しかし電子記録債権や無形資産の譲渡などという言葉を見聞きする機会が増えたにも関わらず、それらが一体どういうものなのかを掴み切れずにいる方も少なくないのではないでしょうか。
でんさいを利用した「でんさい割引」や「でんさいファクタリング」は資金調達の可能性を拡大させる資金調達手段として、今後ますますの普及が予想されるシステムだと考えられます。
でんさい・ファクタリング・でんさいファクタリングの3つに注目し、そのシステムや可能性を確認しながら解説します。
【でんさいとファクタリング両システムの特徴とは?】
でんさいファクタリングのシステムを知るためには「でんさい」と「ファクタリング」の概要を確認しておくべきでしょう。
でんさいのシステムとは
でんさいは全国銀行協会によって設立された株式会社全銀電子債権ネットワーク(通称:でんさいネット)が発行する電子記録債権で、手形や小切手を電子データ化して取引を行います。
取引発生が登録されるとでんさいネットの記録原簿に取引データが記録され、でんさいが発生します。
売掛として発生したでんさいは発注者の支払い方法に合わせ手形や小切手としてのデータに変換され、受注者が支払いを資金化した時点で消滅します。
でんさいはインターネット上やFAXのやり取りで管理できることから、発注側は手形振出や印紙代などのコストが軽減され、
受注側は回収コスト削減や回収率向上が望めるうえに集金時の盗難や紛失のリスクがなく、資金化までの管理も簡略できます。
ファクタリングのシステムとは
流動性の低い未回収の売掛債権を売却し、流動性の高い資金への置き換えを行うのがファクタリングで、
売掛先にファクタリング業者への債権譲渡を通知する3社間取引と通知しない2社間取引が存在します。
・3社間取引とは
売掛先に債権譲渡を通知し売掛債権を譲渡し資金調達を行い、売掛金回収はファクタリング業者が行うため「売掛債権の売却」をイメージすると掴みやすいのではないでしょうか。
・2社間取引とは
売掛先に通知せず売掛債権を売却し資金調達を行いますが、売掛金回収は売掛債権を所有していた会社が行い回収した資金をファクタリング業者に引き渡します。
「売掛金を担保に融資を受ける」イメージが近いと言えます。
ファクタリングは3社間取引・2社間取引共に売掛金が回収不能となっても譲渡元に買戻し義務が発生しないノンリコースで行われます。
3社間取引では取引先に債権譲渡の通知が行われますが、通知を行わない2社間取引では二重譲渡を防ぐため法務局で債権譲渡登記を行います。
ファクタリング手数料は3社間取引の方が安いものの取引先との信頼関係の問題もあり、2社間取引でのファクタリングが広く利用される傾向にあります。
【でんさいファクタリングは売掛債権データ譲渡で行う新たな資金調達手段!】
でんさいの電子記録債権には手形や小切手などの金銭債権の他に、無形資産である売掛債権の電子データも含まれることは既に紹介しました。
支払い日に売掛債権が自動決済され売掛金回収の効率化が図れるのと共に、券面が存在しないでんさいの手形データは、「分割割引が可能」などの柔軟性の高さも魅力の1つだと言えるでしょう。
売掛債権は流動性が悪くキャッシュフローを悪化させる資産でしたがファクタリングの登場で、流動性の高い資金への置き換えが可能となりました。
でんさいの金銭債権の1つである売掛債権も譲渡が可能なことから、でんさいの売掛債権データをファクタリングして資金調達を行うことができます。
でんさいファクタリングとは?
所有するでんさいの売掛債権データは、仕入れ業者に譲渡し発注企業からの入金を仕入れ業者への支払いへと転換させることが可能です。
しかし下請け業者へのでんさい譲渡は手形をまわすのと同じであり、売掛債権を入金日前に資金に置き換えるファクタリングとは異なります。
でんさいファクタリングの基本システムは一般的なファクタリング同様、売掛債権データをファクタリング業者に譲渡して資金に置き換えます。
一般的なファクタリングとの相違点は譲渡する債権が、「無形資産であるか電子記録債権であるか」だと言えます。
またでんさいの譲渡履歴は全てでんさいネットの記録原簿に記録されガラス張りであるため、2社間取引は行えずでんさいファクタリングの利用は取引先に知られてしまいます。
しかし、でんさいファクタリングで買取りを行うのは、でんさいネット加盟の銀行や銀行の子会社であることが多く、
一般的なファクタリング業者よりネガティブな印象を持たれにくいのではないかと考えられます。
【でんさいファクタリングの利用で発生するメリットやデメリットとは?】
でんさいファクタリングは一般的なファクタリングと異なり売掛債権データの譲渡で資金調達を行いますが、
でんさいファクタリングを利用した場合に生じるメリットやデメリットにはどのようなものがあるのかを紹介します。
でんさいファクタリングで生じるメリットとは?
一般的なファクタリングの利用はファクタリング業者を変える度に契約を結ぶ必要がありますが、
でんさいファクタリングはでんさい加盟銀行やその子会社が買取を行うため、ファクタリング先を変更しても新たな契約を結ぶ必要がありません。
システムに加入すれば買取り条件の良いファクタリング先に、簡単に乗り換えることができるのは大きな魅力だと言えるでしょう。
またでんさいファクタリングの利用には以下のメリットがあります。
・でんさいファクタリングはノンリコースで行われる
でんさいの手形データの割引や売掛債権データの譲渡は買戻し義務が発生するリコースとなり、万一割引や譲渡を行った電子記録債権が不渡りになると買戻す必要が生じます。
しかしでんさいファクタリングの譲渡に関しては、買戻し義務のないノンリコースとなり金銭トラブルに巻き込まれるリスクが軽減します。
・でんさいファクタリングの審査対象は発注側の支払い能力
一般的なファクタリングの2社間取引では売掛債権の譲渡を希望する受注者の支払い能力を審査しますが、でんさいファクタリングは売掛債権データへの支払い義務のある発注者を審査します。
ファクタリングの2社間取引の審査通過が難しい中小・零細企業でも、でんさいファクタリングであれば簡単に利用することができます。
またでんさいネットへの加盟時は審査が行われますが、でんさいファクタリング利用目的の加盟は簡易審査のみででんさいネットに加盟することが可能です。
でんさいファクタリングで生じるデメリットとは?
でんさいファクタリングを希望しても発注側がでんさいネット未加盟では、でんさい発生が不可能となりでんさいファクタリングの利用はできません。
またシステム上2社間取引が行えず取引先にでんさいファクタリング利用が知られてしまうことや、
でんさいネット加盟銀行やその子会社以外のファクタリング業者が利用できないのもデメリットと感じる方はいるでしょう。
さらに売掛債権譲渡による即日現金化に対応できない点など、今後改善は予想されるものの現在対応できていない課題が存在することも事実です。
【でんさいやファクタリングについてまとめ】
でんさいやファクタリングという新たな手法の資金調達手段が登場し、資金調達の選択肢が広がりました。
今回解説したでんさいファクタリングは未だ知名度の高い資金調達手段ではないものの、でんさいの普及と共に一般的になっていくのではないかと考えらられます。
事業運営に欠かすことができない資金調達を効果的に行うためには、でんさい・ファクタリング・でんさいファクタリングなどシステムの特徴を掴み的確な判断を行うことが求められます。
今後も新たな決済システムや資金調達手段の登場が予想されることからも、定期的に情報収集を行う必要があると言えるでしょう。
いかがでしたでしょうか?
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