最終更新日:2021年09月16日
Mentor Capitalです。
今回は信用金庫と付き合うメリットについて解説したいと思います。
信用金庫から融資を受けるという事に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
おそらく、「銀行から借りるよりも金利が高いので、あまり信用金庫から借りたくはない。」
「メガバンクや地銀が相手にしてくれないから仕方なく信用金庫から借りているのでしょう」というイメージを持っている、経営者や経理担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、金利が高かったり、取り扱い預金高が少ないから何となく不安というだけで、信用金庫と付き合わないのであれば、
信用金庫と付き合う事によって得られるメリットはみすみす捨てているようなものです。
銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す?
銀行の仕事を皮肉った文句として、「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」という文句があります。
銀行は、
という体質を皮肉った文句です。
確かに、調子が良い時には融資をしてくれるのに、調子が悪くなった途端手のひらを返すなんてひどいじゃないかと思われるかもしれませんが、営利企業としては当然の事かもしれません。
特に昨今は自由金利とはいえ、政策金利がマイナスになっているので銀行の貸し出し利率もどうしても低く設定されていますし、
一件の融資失敗が全体に与える影響が大きくなっているので、銀行としても自社を守る為には、焦げ付きそうな融資は行わない、
業績が悪化したらこれ以上融資しないという安全策に走るのは致し方ありません。
よって、経営者や経理担当者は、その様な銀行の立場を非難しても仕方ないので、銀行の立場を理解した上で自社が資金難に陥らないように対策をうつ必要があります。
一番、簡単な解決方法は複数の金融機関との取引を持っておくことです。仮にメインバンクが自社の財務状況を見て融資を打ち切ったとしても、
すぐ他の銀行に融資を打診できるような体制を整えておいた方が良いでしょう。
しかし、複数の取引先を持ったとしても、このような悩みを解決する事はできません。
もちろん貸し出しの審査は各社によって微妙に異なりますが、銀行から借りる限り銀行の枠組みで審査されるので、
メインバンクが手を引いてしまえば、他の付き合っている銀行も融資を引きあげてしまう可能性が高いからです。
このように、資金調達先を全部銀行にしてしまうと、多かれ少なかれ審査基準は違いますが一行が貸してくれない場合は他の銀行も貸してくれない可能性が高いのです。
このようなリスクを軽減するために、取引先金融機関の中に1社、信用金庫を入れておいた方がよいでしょう。
よく、信用金庫は銀行の小さい版で地方銀行が取り扱い預金額を小さくして、営業エリアも小さくしたのが信用金庫だという風に認識している人がいますがこれは間違いです。
信用金庫はもともと、明治維新以降、日本が近代化していく中で地方から集めたお金を都市部に投資する事によって利益を上げていた銀行の弊害を是正するために作られた機関です。
すなわち、銀行により資金を循環させると、資金が都市部に集中して地方は貧しいままなので、
地方で資金が循環する仕組みを作って地方を繁栄させようというコンセプトで作られたのが信用金庫なのです。
このような設立経由ゆえに信用金庫は非営利法人となっていて、銀行の様に利益を追求する組織として作られてはいません。
もちろん、非営利法人だからと言って、財務状況が悪い会社に対しても審査を甘くして貸し出したり、経営計画がずさんな会社に対しても経営計画を見ずに融資を行うような事はしませんが、
信用金庫が存立している地方の中小企業の繁栄を考えた上で、社長の人となりと、事業の成長性を加味した上で、
銀行ならリスクを躊躇してひいてしまうような場合でも、信用金庫なら長い目で見守ってくれる事が多いのです。
この様に貸しはがしリスクが低いのが信用金庫の一番のメリットです。
銀行は調子が良い時にはどんどん貸し出してくれるのと同時に、企業の調子が悪い時に撤退するのも早いので、長期的に安定して付き合いのできる信用金庫と取引しておくべきです。
信用金庫の営業マンの方がいろいろ聞きやすい
また、そもそも銀行の営業マンがどの程度の時間を自社に割いてくれるのかを考えた時に、信用金庫の営業マンに相談しやすい環境は作っておく必要があります。
一般的に銀行がターゲットする先は売上規模によって決まっているとされています。例えばメガバンクが相手にする企業は売上30億円以上とされていて、融資額も億単位の案件が中心となります。
よって、地元密着でコツコツと商売をしている企業の多くにとってメガバンクと取引をする事は重要ではありません。
メガバンクがそもそも相手にしてくれないし、信用保証協会の保証付き融資の限度額1億円以上のプロパー融資が必要な場合などを除いて、
事業者側にもメガバンクと付き合うメリットがほとんどないからです。
よって、地元密着で事業を行っている企業は、その地域の地銀と信用金庫に口座を持っておいた方が良いと考えられます。
地銀と信用金庫どちらと取引した方が良いかについては一長一短あるので一概に言う事はできませんが両者のメリット・デメリットを加味した上で上手な付き合いをする必要があります。
一般的に、信用金庫のデメリットは貸付金利が高い事ですが、貸付金利が高い分サポートが充実しています。
地銀が相手にしないような事業規模の会社でも、信用金庫の営業マンならばきちんとフォローをしてくれるので、
地銀に色々相談しているけれども、地銀の営業マンにあまり時間を割いて貰えないという経営者や経理担当者はぜひ信用金庫と取引して信用金庫の営業マンに色々相談した方が良いでしょう。
信用金庫の中には良い金融商品も
また、信用金庫が取り扱っている金融商品だからといって、一律に都市銀行や、地方銀行と似たような商品を少し悪い条件で取り扱っているのだと考えるのは間違いです。
もちろん、その地方の信用金庫にもよるのですが、
信用金庫が扱っている商品には時には、とても良い金融商品があるので、何か良い金融商品はないか調べる為にも信用金庫との付き合いはしておいた方が良いでしょう。
ちなみに、信用金庫の金融商品で注目しておきたい金融商品が定期積金です。定期積金とは信用金庫独特の金融商品で信用金庫も積極的に売り出していこうとしています。
定期積金は定期的にお金を信用金庫に預けて満期になったら払い戻しを受ける金融商品です。
例えば5年契約の定期積み金に入ると、5年間毎月定額のお金を納めて、5年後に元金に利子をつけて払い戻しがされます。
利息金額は初めに納めたお金の方が多く利子が付くようになっていて、1か月目に納めた積立金にはか月分の利息が、
2か月目に納めた積立金には59か月分、60か月目に納めた積立金には1か月分の利息が付くようになっています。
信用金庫との取引実績と信頼関係を作るのには使いやすい商品で、毎月支払いがあるので、このタイミングを利用して信用金庫の営業マンを会社に派遣してもらって、
聞きたい情報を聞く情報交換の場にする事ができますし、何か会社の業績が悪くなったとしても、ここで信頼関係を築いておけば挽回する事が可能となります。
この様な理由から信用金庫の中でも定期積金は検討するべきサービスだと言えます。
会員になると更なるメリットも
また、銀行と違って信用金庫独特のメリットが信用金庫の会員になった時のメリットです。
通常の株式会社形態で運営されている銀行の株主になったからと言って特にメリットはありませんが、信用金庫の会員となった場合独特のメリットがあります。
なお、ここで言う会員とは単に信用金庫を利用している人を指しているのではなく、信用金庫を運営している非営利法人に出資する人や企業の事を指します。
なお信用金庫の会員となるためにはいくつかの条件がありますが、そもそもどの信用金庫においても信用金庫の設立目的は地域の資金を地域の発展の為に循環させる事にあるので、
その信用金庫がある地域に出資者が関連している事が重要で、営業地域内に住んでいる人や勤めている人、企業の場合はその地域に事業所を持っていて、
従業員300人以下でかつ資本金9億円以下である事が要件となります。
なお、預金だけの付き合いの場合や、小口融資や預金を担保にした融資の場合は会員になる必要はありませんが、法人が通常の融資を受ける場合は信用組合の会員になる事が必要です。
この条件を満たした上で、信用金庫への出資が認められ、信用金庫の会員となった場合は専用のローンが組めたり、優遇金利が利用できたり、配当が受けられます。
この事についてひとつずつ説明します。
信用金庫会員専用のローン
まず、信用金庫会員専用のローンの事ですが、会員になれば信用金庫によっても条件が異なりますがメガバンク並みの金利でローンを組めるようになるようです。
ただし、教育ローン、マイカーローンなどの様にローン商品の多くは個人向けである事が多いので企業にとってはメリットが少ないかもしれません。
会員に対する金利優遇
次に、メリットとしてあげられるのが会員に対する金利優遇です。
信用金庫の会員への金利優遇の細かい条件については各信用金庫によって異なりますが、多くのケースでは通常の金利の0.5%~1%程度低い金利で融資を受ける事が可能となります。
配当について
また、最後の配当についてですが、これは株式会社の配当にあたるもので、
信用金庫の出資者は信用金庫の業績と、自身の出資金額に基づいて信用金庫の利益の中から配当を受け取る事ができます。
もちろん信用金庫の業績によって配当が無い場合も考えられますが、一般的に銀行の預金として預けていても金利0.01%のように、
ほとんど金利を受け取る事はできないので、資産運用して増やすのならば、信用金庫に出資する方が、預金として信用金庫に預けておくよりも高い利回りで運用する事が可能です。
以上の様に、信用金庫の会員となるメリットについて説明しましたが、あくまでもこれはお金が余っていて、使い道に困っている場合の活用方法です。
手元の資金が十分ではないのに無理やり信用金庫の会員になる必要はありませんし、
手元に資金があったら信用金庫に出資するよりもより高い利回りで事業を行って増やせるのならば事業投資を行うべきですし、
会社として業績が上がっているのならば、銀行は融資先に困っているので資金調達についてもそれほど気にする必要はありません。
ただし、事業が成熟しきっていて、今後安定して地元で経営を続けていきたいという場合は信用金庫の会員となるのも魅力的な選択肢であるという事ができます。
最期に
以上のように、信用金庫のメリットについて説明してきました。
信用金庫と言うと、どうしても金利の高い銀行というイメージがあり敬遠されがちになっていますが、銀行とは違う様々なメリットがあります。
一番の大きな違いは銀行が営利法人であるのに対して、信用金庫は非営利法人なので、
銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸しますが、信用金庫は地域に密着して地域の発展に貢献するのが設立目的なので、
事業が苦しい時も銀行と比較して粘り強く事業を見守ってくれるという事です。
この様に貸しはがしの可能性が低く、事業を見守ってくれるので地域に密着している企業は信用金庫と取引をしておいた方がよいでしょう。
また、貸しはがしの可能性が低いだけではなく、面倒見が良いのが信用金庫のメリットです。
銀行は利益を追求しなければならないので、零細企業であったり、貸し出しできる枠の無い企業への対応についてはどうしても後回しになってしまいます。
このような企業が融資の情報について仕入れたい場合に頼りになる存在が信用金庫です。
先ほども述べた通り信用金庫は利益を追求するだけではなく、非営利団体として地域を発展させる役目があるので、
零細企業でも望まれているのであれば、信用金庫の営業マンがフットワーク軽く対応してくれます。
この様にフットワーク軽く零細企業にも付き合ってくれるのも信用金庫と付き合うメリットです。
また、信用金庫に出資して会員になると、ローンが組めたり、金利が優遇されたり、配当を受けられたりと様々なメリットがあります。
以上のように、信用金庫は中小企業にとって、心強い味方となりうる存在なので食わず嫌いせずにぜひ信用金庫と長期的に信頼関係を構築できるような付き合いをした方が良いと考えられます。
いかがでしたでしょうか?
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