金融機関からの融資を受ける際の資金種類、審査ポイント
最終更新日:2019年11月20日
Mentor Capitalです。
今回は、金融機関からの融資を受ける際の資金種類、審査ポイントについて解説したいと思います。
資金調達にはいくつかの方法がありますが、多くの中小企業では金融機関からの借入が主な資金調達方法になることが一般的といえるでしょう。
今回は金融機関からの融資を受ける際の流れや、金融機関がどのような視点で審査を行っているかについて説明していくことにします。
【 1 】資金の種類
借入の資金は大きく分けると以下の2種類に分けられます。
① 設備資金
② 運転資金
まず、①の設備資金についてですが、機械や備品、車などを購入する資金であり、比較的金額が大きいものを購入する際の資金となります。
設備資金については、前向きな資金と言われており、例えば機械を購入することで生産性の増加や売上の増加につながるといった投資的な意味を持つものが中心となります。
そのため、金融機関としても、設備資金については後述する運転資金よりも比較的融資審査が通りやすくなっています。
一方で②の運転資金についてですが、そもそも運転資金とは企業が事業活動を行っていくために毎月必要な資金になります。
具体的には「人件費」「材料の仕入れ費用」「水道高熱費」「賃料」等が挙げられます。
そのため、運転資金が不足してしまうと事業活動を継続していくことが不可能となっていしまい倒産してします。
設備資金が不足しても設備が購入できないだけですが、運転資金の不足は企業にとって致命傷となります。
運転資金は本来は足りなくなる状況があってはいけない資金のため、金融機関では運転資金への融資は後ろ向きな資金といわれることが多いです。
以上が①設備資金、②運転資金の説明となります。
【 2 】金融機関の審査ポイント
さて、次に融資を申し込んだ際、金融機関がどのような視点を持って審査をおこなっているかについて説明します。
設備資金と運転資金では審査の視点が異なりますが、今回は運転資金の審査の視点にについて説明します。
まず、融資を申し込む際に3期分の決算書の提出が求められることになります。
金融機関は決算書記載の情報をベースに審査を行いますので、まずは決算書の内容が分からないことには先に進みません。
すでに金融機関から融資を受けている場合には、継続的に決算書の提出が求められますので、すでに決算書を渡していることも多いかもしれません。
融資の契約をするときに金銭消費貸借契約書というものがありますが、この書類に融資を受けた後に金融機関へ決算書を提出することといった内容が含まれています。
融資の審査としては、決算書の内容がまずは第一に見られます。
当然、売上が増加しているか、利益を計上しているかといった点が非常に重要な要素ではありますが、金融機関が審査において一番重視しているポイントは「返済が可能か」という点につきます。
バブル期以降、多くの金融機関が不良債権処理に悩まされており、それは現在も続いています。
そのため金融機関としては返ってくる見込みのない会社には、お金は貸さないといったスタンスが強まっています。
そのため、金融機関が決算書で真っ先にみるのは、売上や利益の項目ではなく、この会社にはいくら現預金があるのかということです。
いくら売上や利益が多くても、現預金が少ないと返済が不可能とみなされてしまいます。
逆に言うと売上や利益が少なくても、現預金がしっかりと確保できていれば問題ありません。
また、現預金にすぐに変えられる売掛金や商品がどのくらいあるのか、支払うものである買掛金や支払手形はどのくらいあるのかといった点も非常に重要となります。
現預金、売掛金、商品は「流動資産」という項目になります。一方で、買掛金や支払手形は「流動負債」という項目になります。
「流動資産」と「流動負債」のバランスがしっかりととれているか、つまり、支払う「流動負債」に対して手持ちの「流動資産」が確保できているのかといった点が非常に重要です。
しかしながら、運転資金が不足する時は、この「流動資産」と「流動負債」のバランスが崩れている状況の時が多くなります。
そのため、借入の返済は何でするのかといったものがあると審査は通りやすくなります。
例えば仕入費用が増加したために、売上げの入金期日前までに支払いが必要になった状況では、売上は一定量見込めているものの、
支払にまわせる資金が足りないので運転資金で借入をおこないたいという場合があったとします。
この場合、売上げが1カ月、2カ月後に入ってくる可能性が高ければ、審査も通りやすくなります。
返済財源も売上と説明することで信頼性も高くなります。
一方で、売上げの低下が続くことによって、人件費や家賃の支払いが厳しくなり、その資金として借入をおこないたい場合には、
売上での返済と説明をしたとしても信頼性は低く見られてしまうため、審査のハードルが上がってしまいます。
このように同じ売上という返済財源でも、状況によっては信頼性が変わってきてしまいます。
いかに根拠がある返済財源を提示できるかが融資を受けるための、押さえるべきポイントとなります。
また、審査のポイントして資金使途は何かということも挙げられます。
運転資金の場合だと「商品の仕入費用」「人件費の支払い」「諸経費の支払い等」様々な資金使途に使用可能できますが、その資金使途が適正かどうかといった点もチェックをされます。
設備資金の場合においては、基本的には購入先に対して直接振り込みを行うため、基本的に請求書記載の金額までしか融資を受けられません。
例えば500万円の機械を購入予定で、融資も500万円で審査が通っていたが、支払いの際に割引がおこなわれて支払額が450万円になった場合、
差額の50万円については金融機関へ一括で返済を行うといった流れになります。
一方で、運転資金の場合は、銀行口座に融資金額が振り込まれた後、基本的には自由に融資のお金を使用することができます。
金融機関も口座の動きをみながらチェックを行ったりしますが、厳密に何にいくら使ったというところまでは把握できないため、資金の自由度は高いのですが、
その分、審査時に何に使うのかといったことが細かく見られることになります。
そのため、融資申し込みの際には、資金使途を明確に細かく設定をしていると審査が通りやすくなります。
【 3 】融資可否について
金融機関の審査の可否はだれが決めているのかということですが、金融機関の決済は大きく「支店決済」と「本部決済」があります。
「支店決済」とはその支店の支店長が融資の可否を決定できます。
一方で、「本部決済」は支店長の承認を得た後、金融機関の本部に融資の承認が必要となるものです。
基本的には本部決済の方が時間もかかり審査基準も厳しくなります。
では、その2つのどちらかになるかの基準ですが、これは状況に応じて異なります。
まずは、融資金額の大小です。融資金額が低いものについては支店決済、融資金額が高いものについては本部決済となります。
ただ、金額が低いといっても通常の中小企業であれば多くは支店決済となることが多いです。
しかしながら、ほかの基準として債務者区分によるものがあります。金融機関は顧客をいくつかに分類しています。
特に問題がない取引先 「正常先」
業況がやや悪い取引先 「要注意先」「破たん懸念先」「実質破たん先」
分類には大きく上記のものが挙げられます。
これを「債務者区分」といいますが、債務者区分が悪い顧客に関しては、金額の大小にかかわらず本部決済となります。
■まとめ
金融機関の審査ポイントについて説明をおこなってきましたが、最後に、融資を申し込む際には必ず複数の金融機関に相談をすることを強くお勧めします。
その理由は、金融機関の融資は金融機関の担当者に大きく影響を受けるためです。担当者のレベルが低かったりすると同じ融資案件でも否決になることがあります。
また、支店決済の場合、支店長の判断ですべて決まってしまうので、一応審査基準みないものはありますが、依然として人的依存度が高いです。
同じ銀行でも審査が通りやすい支店や、審査が通りにくい支店はあります。
そのため、ある金融機関で融資を断られたとしても、他の金融機関では融資が出たというケースは非常に多くあります。
また、複数の金融機関と交渉をしていた方が情報収集もおこなえ、金融機関同士で競い合わせることもできるため、有利に交渉を進めることも可能になってきます。
是非、融資の申し込みをする場合は、一つの金融機関でなく複数の金融機関と交渉をするようにしてください。
いかがでしたでしょうか?
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