運転資金の融資はどこがいい?運転資金の基礎からメリット・デメリットも解説!
最終更新日:2021年10月22日
Mentor Capitalです。
運転資金は経営を行っていくために必要不可欠な資金であり、一般的に事業の売上が使用されます。
しかし、個人事業主や中小企業などは自己資金力の問題で運転資金が不足してしまう事も十分ありえるでしょう。
ここでは運転資金について、銀行融資をはじめ融資を受けられる金融機関、調達方法などについてご説明しています。
運転資金とは?
運転資金は簡単に説明すると、「経営を行うにあたって必要となる資金」です。
会社を経営し、事業を行っていくためには必ずお金が必要になります。
事務所の家賃や費用等をはじめ、従業員に支払う給料や仕入れ費用など、日々必要となる資金の事をまとめて運転資金と呼びます。
混同されやすいのですが、事業を行う上で商品仕入れ以外に必要となる資金は設備資金と呼ばれ運転資金とは区別されます。
設備資金は、特に初期投資として使用される事が多いと覚えておきましょう。
- 設備資金=パソコン・コピー機等の購入、事業所や不動産関係の契約などの費用
- 運転資金=人件費・仕入れ、事業所の家賃や水道光熱費など継続的に発生する費用
運転資金は「在高方式」や「回転期間方式」という計算方法を用いる事で詳細に分析する事が出来ます。
運転資金は売上によってカバーされるものですが、現金ではなく売掛金などで取引を行っていた場合は買掛金や人件費の支払いに追い付かなくなってしまいます。
常日頃から分析を行っておけばある程度対応可能ですが、特に個人事業主や事業をスタートさせたばかりの中小企業では急激な売上の増加などにより運転資金が不足する事も考えられるでしょう。
ですので常日頃から運転資金の算出を行っていくとともに、融資先についても検討しておく必要があると言えます。
調達方法としては事業活動で得た売上のほか、融資としては銀行融資、事業者ロー路、ビジネスローンなどを利用した融資などがあります。
安定した事業を継続するためにも、運転資金はとても重要なものなのです。
「運転資金」
https://ja.wikipedia.org/wiki/運転資金
銀行など金融機関から見た運転資金の分類
設備資金を除いたものが運転資金だという事は先にお伝えしましたが、用途が幅広い運転資金は一括りにするのは難しいものです。
実際に運転資金の融資を行う側、すなわち銀行などの金融機関はこの運転資金を専門的に細かく分類しています。
分類方法についてはいくつかありますが、ここでは大きく5種類に分類しています。
種類について確認するとともに、せっかくですので融資の受けやすさも合わせて見ていきましょう。
経常運転資金
売上を維持するために必要な仕入れの代金、人件費や家賃の支払い代金等幅広く利用されるのが経常運転資金です。
まさに経常運転資金は会社の経営・事業を行っていくために必要不可欠な資金となっており、運転資金の中でも最も基本的なものです。
算出式は「経常運転資金=売上債権+棚卸資産-買入債務」で求められ、経常運転資金の範囲内ならば銀行融資は受けやすいと言えるでしょう。
増加運転資金
通常、売上が増加すれば比例して人件費も増加します。
売上の増加に伴って必要となるこの資金の事を増加運転資金と言います。
基本的には売上の増加に伴って運転資金が不足している=業績が好調であると判断されますから、経常運転資金と同じくこちらも銀行融資を行う対象としている資金です。
減少運転資金
増加運転資金とは逆に、売上の減少に伴い必要となる資金の事を減少運転資金と言います。
この場合売上が減少して資金が不足し、仕入れが出来ない・人件費が支払えないという状況に会社が陥っているという事になるでしょう。
つまり減少運転資金は、その不足分を補うために利用される資金です。
当然、前向きな資金という訳ではありませんから、銀行融資も受けにくいものとなります。
既に借入先がある場合は相談を行う事も重要となりますが、いずれにしても売上を増加させる・諸経費を見直す・事業の継続について判断すると言った早急な対策が必要となるでしょう。
季節運転資金
季節運転資金はある特定の時期に必要となる資金です。
従業員に支払うための賞与・特定の時期にしか仕入れる事の出来ない商品などに使用されます。
一般的に商品の売買には季節サイクルが存在するため、特定の時期には仕入れ・売上の代金が減少・増加する事となります。
仕入れの代金が急激に増加した場合は売上の回収が間に合わなくなる事もあるため、そのギャップを埋めるために季節運転資金を使用するのです。
設備運転資金
車両や備品など、事業を行っていくために設備を整える場合は先に資金の目途を付けるのが一般的。
しかし、何らかの理由が生じて資金代金の一部・あるいは全てが未払いとなってしまう事もあります。
この場合、未払金は設備購入から半年を目途として、「設備資金」あるいは「運転資金」へと分けられます。
半年以内に決済を行えば「設備資金」、半年以上経過した場合は「運転資金」として取り扱われるという訳です。
その他の運転資金
ここで分類したもの以外でも、「手形決済資金」や「買掛金決済資金」というように運転資金は細かく分けられます。
運転資金が足りなくなってしまう場合は、複数の要素が原因となっている事も珍しくありません。
実際に問題が起きてしまった場合は、「どの運転資金が足りていないのか」を早急に把握する事が重要だと言えるでしょう。
運転資金の算出式
安定した事業活動を行っていくためにも、どれくらいの運転資金が必要になるか常に把握しておかなくてはなりません。
先ほど経常運転資金の項目で計算式については少し触れましたが、ここではもう少し詳しくご説明しましょう。
在高方式を使った運転資金の計算
先ほど経常運転資金の項目でご説明したものは「在高方式」と呼ばれるものでより詳しくすると下記のようになります。
経常運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-買入債務(買掛金+支払手形)
まだ未回収となっている売上が売上債権、棚卸資産は在庫。
仕入れ債務は売上債権の逆でまだ支払っていないお金の事です。
基本的にB/S(貸借対照表)上の残高で計算を行いますが、他にも平均月商で算出する方法があります。
このように運転資金の算出方法は在高方式が一般的となっていますが、売上債権を回収するまでの期間を用いた「回転期間方式」という方法もあるので覚えておきましょう。
運転資金が足りなくなる要因は?
一定の利益を上げているにも関わらず、事業を続けていくための資金が無いという状態に陥ってしまうパターンがあります。
運転資金が足りなくなってしまう要因としては、「売上債権回収までの期間が長い」「不良在庫の存在」「買入債務の支払いが早い」といったものが挙げられます。
このような状況は、利益はあるのに倒産してしまう黒字倒産の危険性が高くなるでしょう。
黒字倒産までは行かずとも、継続的に安定した事業を行っていくためには運転資金については常に気を配っておかなくてはなりません。
運転資金を借り入れる際の注意点
なぜ運転資金が必要なのか
運転資金が足りなくなり、売上によるカバーも期待出来ない場合は融資について検討する必要性が出てきます。
上記でご説明した通り、銀行など金融機関の担当者は企業が必要とする運転資金を細かく分類しています。
「なぜ資金が必要なのか、どれくらいの金額か」をしっかりと説明出来るようにしておかないと、特に銀行融資は難しいものとなるでしょう。
融資借入までの期間を決める
使用用途や金額など運転資金の融資が必要な理由を明確にする事が出来たら、次は融資など借入までの期間についても説明出来るようにしておきましょう。
例えば「急激な売上増加によって売掛金の回収が追い付かないため、今秋中に300万円が必要」など、具体的に説明するほどより融資の可能性が高まります。
返済スケジュールを決める
最後に、融資の返済期間についてです。銀行など金融機関側としては、融資した資金を回収出来るかどうかを重要視しています。
一般的に運転資金の弁済期間は最長で5年となっていますが、これは企業の状態などによって変化します。
次回以降も借入を検討している場合、特に銀行融資を考える場合は最長の5年は避けるべきでしょう。
また、事前に事業計画所などを作っておくことで、より融資の可能性が高まるのは間違いありません。
運転資金の融資先について
①銀行融資
運転資金の融資を受ける場合に最初に検討するのは銀行融資でしょう。
ただし、銀行では通常、「運転資金」という形でサービスを取り扱っているわけではありません。
基本的に商品名としては「事業者ローン」や「ビジネスローン」となっている場合が多いため、運転資金としての利用が可能かどうか事前に確認したほうが良いでしょう。
- メリット=金利・利息が低い、融資が高額(1,000万円以上も有り)金融機関からの信用度が上がる
- デメリット=審査が厳しい、保証人が必要となる場合が多い
② ノンバンク系からの融資
銀行融資が難しい場合、銀行以外の金融機関であるノンバンク系からの融資は、スピードを重視する運転資金の調達として活用できます。
ノンバンク系には主に消費者金融と信販会社の2つがあり、有名なもので言えばオリックス・クレジット株式会社の「VIPローンカードビジネス」や
プロミスの「自営者カードローン」などが挙げられます。
特に最近ではカードローンタイプが普及しており、資金調達方法としてはトップクラスの利用のしやすさや手軽さから人気です。
自営業者向け・法人向けがありますが、事業者によって対象が異なるため事前に確認する事が大事です。銀行融資が難しい場合はノンバンク系の融資は有効です。
- メリット=審査スピードが早い(問題が無ければ1週間以内)、カードローンタイプも多く手軽
- デメリット=金利が高い、限度額は高くても1,000万円まで
③ 公的制度融資(政府系金融機関)
国が100%出資している公的制度融資には、大きく分けて政府系金融機関と地方自治体からの融資の2つがあります。
日本金融公庫や商工組合中央金庫で募集されているものが政府系金融機関の公的制度融資です。
税金で運用されている事も理由ですが審査の厳しさは銀行融資以上であり、事業計画書などの書類提出が義務づけられている事がほとんどです。
日本政策金融公庫のホームページ上で検索が行えますので、融資を検討する場合は目的の融資を確認してみましょう。
- メリット=金利が低い、専門家からの助言を受けられるものも存在する
- デメリット=審査が非常に厳しい、創業2年以上という条件が多い
④公的制度融資(地方自治体)
上記の政府系金融機関に対して、各都道府県で募集されている小規模事業資金などが地方自治体からの融資となります。
名目上は助成金や補助金として取り扱われている事もありますので、運転資金として活用できるものを自身で探す必要があります。
大々的に募集が行われていませんので目的の資金を探すのに時間がかかる可能性があります。
例えば、中小企業庁の「ミラサポ」という専門検索サイトを利用する事で比較的スムーズに探せる可能性があります。
- メリット=金利が低い、専門家からの助言を受けられるものも存在する
- デメリット=審査が非常に厳しい、数が多い
⑤手形割引
手形割引は期日前の手形を銀行などの金融機関や手形割引専門業者に買い取ってもらい現金化してもらう方法です。
運転資金以外でも、様々な用途で利用されている方法と言えます。
手形割引を利用する際は銀行ならば取引規定約定所の提出が必要であり、手形割引専門業者に依頼した場合も規制に沿った手続きを行わなければなりません。
一定の手数料が必要となるほか、手形の振出人(発行した人)に支払い能力が無ければ手形割引が成立しないのが特徴です。
業界大手の「大黒屋」の他、様々な業者が手形割引を取り扱っています。
- メリット=審査スピードが早い、全国に業者が多く存在する
- デメリット=手数料がかかる、手形が必要となる
⑥不動産担保ローン
不動産を担保として融資を受ける場合は、1,000万円を超える高額な融資を受ける事も可能です。
借入先としては銀行や消費者金融などがありますが、金額や審査方法が異なるため別の調達方法として紹介させて頂きました。
不動産の登記確認などの作業があるため時間はかかってしまいますが、銀行やノンバンク系の事業性融資と違い事業歴が浅くとも審査に通過する可能性が高いと言えます。
- メリット=高額な融資が可能、業歴が浅くとも審査に通過する可能性がある
- デメリット=不動産(建物・土地)等が必要となる、返済不可能となった場合リスクが高い
⑦ファクタリング
売掛債権を現金化するファクタリングは、近年急速に利用者が増加しているサービスです。
手数料がかかる事などは手形割引と同様ですが、貸し倒れリスクをファクタリング会社が負担する事などの違いがあります。
手数料は2社間・3社間で異なっており、2社間であれば売掛債権買い取り金額の10%~30%、3社間であれば1%~5%ほどになります。
簡単、そして手軽に利用できる資金調達方法という事で今後はますます需要が高まっていくサービスだと言えるでしょう。
- メリット=融資ではないため手軽に利用できる、担保も不要
- デメリット=銀行融資など他の方法と比べて手数料が高い
運転資金の融資で気を付けるポイント
担保や保証人については調達方法によって異なりますが、運転資金の融資に申し込んだ際は必ず審査が行われる事となります。
事業の内容や会社の経営状況によっても異なりますが、運転資金に申し込む際に気を付けるポイントを整理します。
- 運転資金の必要性
- 金額や期間、返済計画などを詳細に説明できるか
- 赤字や債務超過の場合は立て直せる見込みはあるか
基本的には上記のような点に注意するのが良いでしょう。
申し込みにあたり「なぜ運転資金が必要なのか」を明確にするとともに、融資金額や期間、返済計画などについても算出しておく必要性があります。
なお、既に運転資金がショートし経営状況が思わしくない場合は、売上を拡大する・経費を削減するなどの対応策を取る必要があります。
その上で合理的な説明が必要となりますので注意が必要です。
【まとめ】運転資金の融資・調達方法について
運転資金は事業を行っていく上で必要不可欠なものです。
運転資金の重要性について認識するとともに、常に「どれくらいの金額が必要となるのか」「銀行融資は可能か」「その他金融機関から借入れるか」などを調べておく事も重要なポイントです。
今回、運転資金の融資先・調達先として銀行融資の他、いくつかピックアップしましたが、将来的に運転資金が足りなくなると予想される場合は、早めに融資・調達を検討して備えておきましょう。
資金についての不安を先に無くしておけば、経営・事業も安心して行っていけるはずです。
いかがでしたでしょうか?
何か不明な点等が有れば、お気軽にメンターキャピタルまでお問合せ下さい!!