資金繰りを改善する3つのポイント!これで銀行融資の審査を通過しよう
最終更新日:2018年10月29日
Mentor Capitalです。
今回は、資金繰りを改善するポイントについて解説したいと思います。
事業を行うにあたり、運転資金など資金繰りを行うのは非常に重要ですので、常日頃から資金繰りを改善する意識が必要です。
手元資金が不足している場合、多くの企業は銀行から融資を受けて資金調達を行います。
しかし、銀行から見ると、利益が計上されていない企業に融資するのは債権回収リスクが伴います。
十分な利益を計上し、事業拡大のための資金調達として融資を受ける場合は返済能力があると判断されやすいですが、
運転資金が不足するような状況で融資の申込みが合った場合は銀行としては融資に慎重になります。
企業側としても、運転資金の融資を申し込む場合には、まず資金繰りを改善することが大事です。
今回はその資金繰りを改善する方法について3つのポイントを1つずつ詳しく説明します。
資金繰り改善のポイント1:月次の資金繰り表作成
自社の資金繰りを把握し、改善するためには月次の資金繰り表作成が有効です。
これはどの企業にも言えますが、最低、月次ベースで資金繰り表を作成するべきです。
資金繰り表というと、何か財務の専門的な知識が必要なように思えますが、要するに家計簿の企業版のようなものです。
企業の帳簿は費用収益対応の原則がありますので費用のうち利益に貢献した部分のみを費用として計上しますが、家計簿は期間中に掛かった費用は全て費用として計上します。
例えば100万円の機械を買った際に減価償却して期中に20万円分だけ費用にするのが前者、100万円全部を期中の費用とみなすのが後者の考え方です。
どちらが資金繰りを反映しているかについて考えた時に、もちろん今期に実際に支出されたお金は100万円ですので後者の考えの方が資金繰りの状況を反映していると言えます。
このように、資金繰りを改善するためには、前提として自社の資金繰り状況を可視化するために、
損益計算書とは別に実際のお金の出し入れに基づいた企業版の家計簿である資金繰り表を作成する必要があります。
なお、資金繰り表を作成する際の期間は、1週間単位だと細かいお金の流れまで把握する事が可能になりますが手間がかかります。
とはいえ、四半期単位で作成すると、お金が不足するタイミングが判断できません。
そこで有効的な資金繰り表を作成する際には1か月毎に作成するのが良いでしょう。
資金繰り表は過去の成績を分析する為のものではなく、未来の資金繰りが厳しいタイミングを事前に把握し、事前に改善するためのものです。
資金が不足すると気づいてから銀行融資を頼んでも間に合う様に3~4か月先の資金繰りの予想も行うべきでしょう。
銀行の営業マンは資金繰り表をしっかり作成して資金繰り状況を説明できる経営者や経理担当者は信頼しやすくなります。
資金繰り改善のポイント2:資金繰り悪化の原因を把握する
資金繰り表を作成すると、自社の資金繰りを悪化させている原因が見えてきます。
単純に売り上げが上がらず固定費が高いために赤字になっている企業の場合は、資金繰りを把握した上で赤字の原因は売上不振だと判断できます。
その場合の改善方法としては固定費を削減するか、売上をアップする改善策を考える必要があります。
この資金繰り悪化の原因を把握することによって一番メリットがある企業は毎月少しだけでも黒字になっているはずなのに、なぜかいつも手元資金が不足して困っている企業です。
この様な企業の場合は資金繰りの悪化の原因を追究する事によって解決できる可能性があります。
その場合は銀行の融資を受けなくても自社だけで資金繰りを改善できる場合があります。
では、多くの企業の資金繰りを悪化させている原因について、よくあるケースを説明した上で、資金繰り悪化の原因を把握する方法について説明します。
在庫がコントロールできていない
在庫を持つ商売の場合は、在庫をコントロールできないために資金繰りが悪化しているケースがあります。
在庫は貸借対照表では資産として計上されていますが、現金化できなければ資金繰りを悪化させる主要原因となりますので、
自社にいくら位の在庫があるのか、そのうち何か月たっても販売できていない在庫や、これからも売れる見込みのない不良在庫がいくらあるのかを把握してください。
その上で、不良在庫は値下げをしてでも販売して現金化する努力をしましょう。
そして、今後同様の在庫を積み上げないように、売れ筋商品の把握を徹底して行ったり、商品を仕入れるロット数を工夫するなど、可能な限り心がけましょう。
お金が先に出ていく支払いサイクルになっている
お金の入金と出金のタイミングによって資金繰りの難易度は異なります。
例えば、建設業の場合1件1件の仕事の売上は大きいですが完成するまで代金を貰えない一方で、材料費、人件費などは先に支払う必要があります。
そのため家屋を完成させて代金を貰うまでの運転資金を潤沢に用意しておく必要があります。
一方で本屋さんは販売委託制度によって本を販売している事が多いため、売れた後に書籍の仕入れ代金を支払い、
販売できなかった書籍は返品しますので、仕入れ代金は後払いで運転資金が無駄に在庫化することがありません。
ですので小さな運転資金でも経営する事ができます。
この様にお金が出るタイミングと入るタイミングは資金繰りをする上で重要で、費用はできるだけ遅く支払い、売上はできるだけ早く回収することが資金繰りの改善につながります。
よって、現在の売上先と費用の支払先の各条件を確認した上で、資金繰りを悪化させている取引先については支払いの条件交渉を行ったほうが良いでしょう。
なかなか売掛金を現金化できない会社に対しては同じ支払期日でも売掛金を手形化できれば、手形割引を利用して現金化できます。
これも資金繰り改善の1つですので、売掛金を手形化できないか交渉するのも有効です。
また、支払先についても単純に支払い期間を伸ばせないか交渉することも考えましょう。
手形払いにして支払い期日を伸ばせないか合わせて交渉するのも有効です。
手元の現金を増やす方法としては売掛金を現金化するファクタリングも考えられますが、医療・介護・建設など一部の業界を除けば手数料が高く、
結果的に利益を圧迫しますので利用する際には十分に検討が必要です。
無駄な固定的支出を削減する
資金繰りが悪いだけではなく利益が上がっていない会社もそうですが、無駄な固定的支出は削減するべきです。
使っていないシステムの使用料や、必要以上に広いオフィスの家賃など、見直せる項目を改善するだけでもランニングコストが低下します。
それだけで手元に残る資金が多くなりますので、結果的に資金繰りが改善します。
この時に販管費の中でも金額の高い人件費を削減したくなりますが、リストラをすると現場の士気が低下しますので、
離職は自然の流れに任せた上で、システム化によって仕事を効率化しそれに合わせて採用を絞った方がよいでしょう。
資金繰り改善のポイント3:銀行と融資交渉をする
資金繰りを悪化させる原因を突き止めた上で、改善策を計画し、それでも資金が足りなければ銀行に融資交渉を行う必要があります。
この際にはどのような事に気を付ければ良いのでしょうか。
現状を正確に伝える
基本的に経営状態が悪い会社に対して銀行は融資を行うのに慎重になりますので、
資金繰りを改善するための融資を希望したり、リスケを希望する場合、まず相手の信用を得る必要があります。
もちろん、日頃銀行と取引を行っていて支払期日を守って返済している事は長期的に銀行と信頼関係を築く上で重要な事ですがそれだけでは足りません。
まず、銀行に現状を正確に伝える必要があります。
銀行の営業マンの立場からすれば一番怖いのは自社の資金繰りの状況が分かっていない顧客で、
資金繰りの管理方法が分かっていない会社は、資金繰り改善の為に融資を行っても結局失敗する可能性が高いからです。
ですので資金繰り表などを作成した上で、自社の資金繰りについて正確に説明し、資金繰りの改善の為に融資が必要な事と、
きちんと資金繰りを管理する体制を整えている事を銀行側に伝える必要があります。
資金繰りの悪化原因と改善策を伝える
資金繰りをきちんと管理できる体制がある事を伝えるのは最低限として、もちろんそれだけでは足りません。
企業側がなぜ資金繰りが悪化したかを理解した上で、改善の方法を明確にしなければ、結局資金繰りを改善することは難しいと言えます。
この様な理由から銀行に資金繰りが悪化した原因を説明した上でどのような対策を行う必要があるのかを説明できる必要があります。
経営計画書として資金繰り改善スケジュールを明確化する
改善のスケジュールは銀行マンに口答で説明しただけでは不十分です。
銀行マンが口答でどれだけ自社の考え方を理解したか不明確ですし、銀行マンが理解して融資をしても良いかなと思っても、
その銀行内で融資の稟議を行う際に、きちんとした説明資料がなければ上司を納得させる事ができないかもしれません。そういった意味でも経営計画書を作成した上で
- 現状どの位の資金がなぜ足りないのか
- 資金繰りを改善するためにどの様なスケジュールで改善策を行うのか
- 改善のためには、どの様な費用がどの位必要だと考えられるのか
- その費用を銀行からの融資で賄った場合、どの様な計画で融資を返済していくのか
これらについてまとめた経営計画書を作成する必要があります。
なお、この計画が甘いと逆に銀行側からの信用を失いかねないので、経営計画について実現できそうなプランを提示するようにしてください。
損益計算書からは見えてこない資金繰り問題
資金繰りを改善するためには、まず「資金繰り」とは何なのかについて考える必要があります。
実は意識をしなければ自社の資金繰りがどうなっているか詳細まで見えてきません。損益計算書を見えても資金繰りがどうなっているか、改善するのはどこか分からないのです。
資金繰りとはつまりお金の流れの事を指し、出ていくお金より入ってくるお金が多ければ資金繰りが改善されている状況で、逆であれば資金繰りは悪化していると言えます。
この「出ていくお金」と「入ってくるお金」は1つ1つ注意してチェックしなければ管理できません。これが資金繰り改善の第一歩です。
例えば、月次で損益を計算している会社はあると思いますが、ある小売店のある月の業績が売上100万円、売上原価50万円であったとしても、
この会社はこれによって手元の現金が50万円増えたとは限りません。
その月に100万円分仕入れをしていれば、100万円入金されて、100万円仕入れにお金を使っているのでお金の収支はプラスマイナスゼロになります。
売上原価とは、その売上を上げるためにどれだけの原価が掛かったかであって、現在どの位のお金が商品在庫として滞留しているかはわからないのです。
また、お金を支払うタイミングによっても違います。
例えば7月に広告を掲載して広告宣伝費に100万円が掛かったとしても、広告もまだ出ていないしお客さんも売上も上がっていない6月に前払いで100万円支払うのと、
広告を掲載したことによってお客さんも売り上げもあがった8月に後払いで広告宣伝費を支払うのでは、支払いの厳しさが全然違います。
このように資金繰りは損益計算書を見ただけでは分かりませんので、黒字になっているのに毎回手元資金が不足し、
銀行へ融資のお願いしているという企業の多くは実はそもそも自社の資金繰りを把握していない可能性があります。
資金繰りの改善について最期に
以上のように銀行から融資を受ける為の資金繰りの改善方法について説明してきました。
銀行は資金繰りが悪化している会社には融資を渋る傾向がありますので、銀行から融資を受けるためには、まず銀行が融資できるようにできるだけ資金繰りを改善する必要があります。
まず最低限必要な対応として資金繰り表を作成します。資金繰りが可視化されていない企業を銀行マンは信用する事ができません。
資金繰り表は難しいモノではなく、企業の家計簿をつけるようなイメージで実際のお金の出し入れを記録しておくものです。
資金繰り表は最低月単位で記録する必要があり、過去の資金繰り状況を分析して未来に活かす事も重要ですが、
3〜4ヵ月先の資金繰りを予想して、資金が足りなくなる前に余裕を持って資金調達方法を検討するためにも必要です。
このように資金繰り表を作成した上で、資金繰りを改善する必要があります。資金繰りの悪化に対する対策としては、
- ・在庫のコントロールができていない
- ・入金と出金のタイミングから運転資金が大量に必要な支払い条件になっている
- ・売上に関係ない無駄な固定費を支出している
上記のような場合が考えられ、このような原因一つ一つに対して改善していく必要があります。
また、銀行から融資を受けたい際には、資金繰り表で自社の資金繰り管理や改善が可能である点を示した上で、
経営計画を作成して資金繰り悪化の原因が何でどの様なスケジュールで改善を行うのか、そのためにはどのような費用が必要なのか、
銀行からの融資をどのようなスケジュールで返済していくのかについて説明することが大事です。
いかがでしたでしょうか?
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