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銀行融資はコネがあると有利になるのか?知っておきたい人脈と銀行融資の関係

最終更新日:2020年05月20日

 

 

Mentor Capitalです。

 

 

 

 

 

一昔前に第一線で働いていたビジネスマンと話をしているとビジネスにおいて大事なのは人脈で、特に銀行融資は相手の信用を見て融資をしているので、

特に創業期の会社としての実績が乏しい場合や経営が厳しくなっている場合などは、知り合いに銀行員がいる場合は、その銀行に頼めば融資が受けやすくなると言われる事があります。

本当に銀行融資にコネや人脈が影響するのでしょうか。本記事では銀行融資とコネや人脈の関係について説明します。

 

 

 

【どの位のコネがあればコネ融資は起こりうるのか?】

 

まず、一般論としてちょっとやそっとのコネでは銀行融資で有利な立場になる事はありません。

例えば、銀行員の知り合いが融資を担当する場合を想定します。この銀行員の知り合いが自分の事を100%信頼してくれて協力してくれる場合、

その知り合いは融資が受けやすいようにあの手この手を提案してくれるでしょう。
しかし、いくら知り合いの銀行員が書類作成に協力してくれて、担当者として良い評価をしてくれていても、知り合いの銀行員自体には決裁権限が無い可能性が大いにあります。

例えば支店決裁の場合、融資の決定はその担当者だけではなく、上役だったり支店長だったりが決裁に関わってきます。

よって何か財務状況や経営計画の精度以上に、担当者が過度に融資をプッシュするのであれば上役や支店長は不審がりますし、

実際の財務状況や経営計画の正確さに基づいて上役や支店長が客観的に融資の是非を判断する事になります。
このような理由から、銀行の担当者と仲が良いという程度で融資を強引に通せないという事がわかります。

 

また、仮に支店長とコネクションがある場合でも大きな金額の融資の場合は本店審査になります。

この場合、支店長が強引に融資を通過させようとしても本店がきちんと客観的に審査をする為に、支店長との間のコネや人脈によって融資を受けるという事はできません。

このような制度上の理由からコネや人脈によって融資を受ける事は困難だと考えられます。

ただし、仮に支店長との間にコネを持っていて、支店決裁の範囲内で融資を受ける場合、支店長が上手く書類を作成すればコネ融資が成立する可能性はあります

 

 

 

 

 

【銀行員から見たコネ融資のリスク】

 

 

 

 

 

このように支店長とコネがあって支店決裁の範囲の融資の場合はコネ融資が成立する可能性がありますが、

支店長にとってわざわざ知り合いの為に強引にコネ融資を通すにはリスクが高すぎると考えられます。

 

銀行は原則としてコネ融資を禁止にしています。昔はコネによる融資が容認されていたようですが、

大手銀行がコネ融資によって多額の回収不能が発生したために、今日ではコネ融資は禁止となりました。

コネ融資が大きな問題となった代表的な事件としては「コシ・トラスト事件」が挙げられます。

これは2009年に発生した融資金詐欺事件で、コシ・トラスト社は改ざんした決算書を元に三井住友銀行から1億円の融資をだまし取ったとして社長をはじめ6人が逮捕されました。

また、三井住友銀行のコネ融資はこれだけではなくコシ・トラスト社や関係企業に合計70社に対しての融資金のうち約100億円の融資が焦げ付いていたと言われています。

この融資詐欺が成立したのは銀行側に内通者がいたからで、同社の社長が担当銀行員の後輩という事もあり懇意になり、自分の家の家賃を社長に肩代わりさせたり、高級外車を借りたり、一緒に豪遊したりと取り込まれた事が発端であるとされています。

ここから同社は行員と緊密な関係になり、最終的には3人の行員が同社の決算書の改ざんを黙認し融資の本店稟議を通すために協力していたと言われています。

また、この問題は三井住友銀行だけに留まらず三菱UFJ銀行や千葉銀行もコシ・トラスト社の紹介融資によって融資の焦げ付きが発生したと言われています。

また、この融資の内一部は暴力団関係者に渡って見られており、社会的に大きな問題となりました。

このような問題が発生した事によって、銀行においてコネ融資が全面的に禁止となったのですが、このような背景からコネ融資を行うのには非常に大きなリスクが伴います。

仮に融資が焦げ付いたりして審査の妥当性が検証されて、コネによる融資だったと判断された場合、支店長クラスであったとしてもほぼ退職は免れ得ないと考えられますし、マスコミの報道などによって社会的責任も追及される可能性もありますし、刑事・民事の両面から裁判になる可能性があります。

このような理由から、銀行員との間に人脈を持っていたとしても、銀行員がそのような重大なリスクをとってまで知り合いを支援するという事はほぼありえないと考えられます。

ただし、審査は甘くなりませんが銀行の重役と知り合いなので他の案件よりも優先的に融資審査を行うなど、早く審査を行ってくれる可能性はあります。

 

 

 

【銀行員との良い関係性づくりは重要】

 

このようにコネによって融資を受けられるという可能性は基本的にはありません。

よって、プライベートで銀行員と親しくなろうとする必要がありませんし、決して贈り物や賄賂によって融資を受けようとするべきではありません

しかし、銀行融資を受ける際に、銀行員との良い関係性作りはとても重要です。

この良い関係性というのは決してコネや人脈に基づくものではありません。

銀行は決算状況や借入残高のような定量的な要素だけではなく、経営者の人柄や事業の成長性のような主観的だったり、定量的に判断できなかったりする事柄も審査の要素としています。

銀行員との良い関係性をつくる事によってこれらの審査を良くする事は可能です。

しかし、これらの要素を良くするのは銀行員との個人的な関係性ではなく、後から銀行員が説明できるような理由である必要があります。

例えば、決算上の良い可能性も悪い可能性もきちんと報告してくれる、経営計画を作ってきちんと銀行に定期的に説明しているなど、

経営体制を信頼して貰えるようにする事が、銀行員との良い関係づくりにおいては重要だといえます。

個人的な人間関係を密とするのではなく、銀行と経営者、融資をする側と受ける側としての信頼性を確固たるものにしようとする取り組みが必要だと言えます。

 

 

 

【最期に】

 

以上のように銀行融資においてコネや人脈があった方が有利なのかという事について説明しました。

確かに高度経済成長期やバブルの前後など貸し出し実績を増やすために多少融資の審査が甘かった時代には、人脈によって融資してもらいやすかったという時代はあったかもしれません。

しかし、今は融資をする側として貸し倒れが発生しない様に審査を厳格にしています。

特にコシ・トラスト事件に象徴されるように大手の金融機関がコネ融資によって多額の融資が回収不能になったころから、現在コネ融資には厳しい目が向けられています。

このような時勢において銀行員がコネを理由に融資を行うという事は単に銀行をクビになるというわけではなく、

民事・刑事訴訟に発展したり、マスコミの報道によって社会的責任を問われたりする可能性もあります。

このような理由からいくら知り合いだからと言って、コネがあるからといって銀行が強引に融資を行う事は無いと考えた方が良いでしょう。

ただしプライベートや個人的な関係性を持つ必要がありませんが、銀行と会社との関係性を日頃から良くするように心がけるのは重要です。

そのためには定期的に状況を報告したり、経営計画を説明したりと銀行が信頼できる経営体制を構築しておいた方が良いでしょう。

 

いかがでしたでしょうか?

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