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銀行融資の是非はランクで決まる?銀行格付けの仕組み

最終更新日:2018年11月26日

 

 

Mentor Capitalです。

 

 

 

 

今回は銀行格付けの仕組みについて解説したいと思います。

 

 

 

 

 

中小企業の経営者にとって銀行は資金調達を行う為の重要なパートナーです。

また銀行がどのように融資するか否かを決めているかについて、

よく銀行は企業を格付けしており、格付けに従って融資をするか否かを検討しているという風に説明されます。

この「格付け」とは何なのでしょうか。本記事では銀行の格付けの仕組みについて徹底解説します。

 

 

 

銀行融資の格付けとは?なぜ銀行は取引先にランクをつけるのか

 

 

まずは格付けの仕組みを考える前に銀行が格付けを行うのかについて説明します。
銀行が融資の際に気を付ける事はどうすれば融資を行う事によって銀行の利益を最大化できるかという事ではなく、

どうすれば万が一にも貸し倒れにならないように融資ができるかという事です。
つまり銀行はリターン予想をベースに融資の意思決定をするのではなく、実際の貸し倒れリスクをベースに融資の意思決定を行います。
これにはいくつかの原因がありますが、銀行の貸付金利は日銀の政策金利と連動しているので、日銀が低いので、

金利を自由に設定できるとしてもそれほど高い金利は設定する事ができないのと、低金利の為に数十、数百の取引先の中から一企業でも貸し倒れを出してしまえば

銀行の利益に大きな影響がある事に原因があります。

この様な状態では銀行の融資は二極化すると言われていて、銀行からすればどの規模の企業に貸しても金利はあまり変わらないので、
貸し倒れリスクの無い所に信用のしっかりしている企業にできるだけ多くのお金を融資しようと思いますし、

信用の無い中小零細には万が一にも貸し倒れが発生すると怖いので担保を用意して貰ったり信用保証協会が保証人になってくれない融資は怖くて実行できないという事になります。

このように銀行は取引先の信用状態によって態度を変えるわけですが、銀行がこの信用状態を測る際の指標が「格付けという事になります。

銀行から融資を受ける企業から見ても、格付けをあげれば銀行からの融資を受けやすくなるので自社の格付け評価をあげるように努力するべきです。

次章以降、この格付けの仕組みについて説明します。

 

 

 

銀行が格付けを行う仕組みについて

 

 

まずは、銀行はどのような基準で格付けを行うのかについて説明します。

各銀行はその銀行ごとに企業の信用度を判定するためのスコアリングシートを保有しています。

各銀行は自行のスコアリングシートを元に企業の信用を定量化し、それによって企業の信用度を10段階前後のランクに格付けします。

ランクの数や基準については銀行によって微妙に異なると考えられますが、ランクをざっくりと分類すると、

普通に融資をしても良い「正常先貸し倒れのリスクがあるかもしれない「要注意先破綻が懸念される「破綻懸念先の3種類に分ける事ができ、

正常先に分類されているのであれば一安心だと言え、要注意先に分類されているのであれば銀行から融資を受けるのに少し困るかもしれません。

なお、自社の格付けについて銀行は明確に教えてはくれません。

銀行から取引先に格付けを伝える事によって関係がこじれる事を懸念していて、

銀行として格付けを伝える事を禁止している場合もあるからです。

ただし、銀行の担当営業マンとの信頼関係が構築されているのであれば、ストレートに格付けを聞いたとしても、「真ん中位」や「真ん中より少し下」「格付け上の方です」の様に

漠然とした位置位は教えてくれる可能性が高いと考えられます。

また、銀行として格付けを教える事を禁止していても、業績が下がった後に急に銀行の営業が減れば格付けが下がったと考えられますし、

銀行が足繁く通うなら取引先の中でも正常先の中でもかなり上位の格付けにいると推測できますし、
銀行に融資の相談をしてもなかなか担当営業マンが稟議をあげるのも有耶無耶にする位ならば要注意先に分類されていると考えられます。

この様に銀行の態度によって自社の格付けを推測する事ができます。

ちなみに、この格付けを行うスコアリングシートの項目は、定量評価定性評価の項目に分類する事ができます。

定量評価とは、財務諸表に記載されている情報を元にどの位自己資本を持っているか、どの位の支払い能力があるかなどの数字をベースに評価する方法です。

一方で定性評価とは、伸びそうな市場なのか、経営者の能力は十分なのかなどの様に担当者の主観によってある程度判断が分かれて数値化できない指標に基づいた評価です。

格付けを高めるためには、この定量評価、定性評価の両方に気を付ける必要があります。

 

この2つの評価軸の中身についてより詳しく説明します。

 

まず定量評価は更に「安全性」「成長性」「収益性」「返済能力」の4項目に分類する事ができます。

 

 

 

定量評価:安全性について

ギアリング比率、固定長期適合比率、流動比率などの指標に基づき評価します。それぞれの指標の詳細については省略するとして、
要するに企業は安定経営できるようにどの位資本を蓄えているのか、いざとなった時にすぐ使える流動資産をどの位保有しているのかを審査しています。

定量評価:成長性について

 

成長性とは企業が順調に成長しているかを確認する指標で、経常利益増加率、自己資本額、売上高の過去3年程度の推移に基づいて評価します。
それぞれの指標についての詳細は省略して、要するに、きちんと売上高は大きくなっているのか、それによって利益が上げられているのか、

あげた利益によって資本金がきちんと増加しているのかを審査しています。

定量評価:収益性について

 

収益性とは企業がどの位利益をあげられる体制作りができているかを測る指標で、売上高経常利益率、総資本経常利益率、収益フローなどの指標に基づいて評価します。

要するに、どれだけ利益率の高い商売をしているのか、資本に対してどの位効率的に利益を生み出せているのか、安定して黒字を出せているのかについて審査をしています。

定量評価:返済能力について

 

返済能力とは、銀行から企業に融資を行った場合どの程度の金額を融資しても返済できそうか能力を測る指標で、

債務償還年数、インタレスト・カバレッジ・レシオ、キャッシュフロー額などの指標に基づいて評価します。

要するに、現在の負債を返すのにどの位かかりそうなのか、資金調達コストに対してどの位の利益をあげているのか、返済の原資はどの位ありそうなのかについて審査をしています。
 

 

【定性評価について】

 

定性評価は、上記の様に銀行が過去3年分程度の決算書を預かった上で、銀行が各指標の数値を算出し、基準数値と照らし合わせて点数をつけます。
よって、決算書の内容を変えなければ定量評価によって格付けを変化させる事は困難です。

一方で定性評価は銀行員の主観に基づく評価なので、指標によっては銀行員との信頼関係をきちんと構築できればある程度主導的に点数をあげる事ができます

銀行が格付けを行う際の定性評価項目としては、審査を受ける会社の業界の市場動向や市場規模、景気感応度などのマクロな市場の評価項目、

市場内で取引先がどの様な会社と競合していて、他社との間でどの様な競争力を持っていて、どの位シェアを持っているかという市場の中で相対的な評価項目、

どの位業界で長い間活躍しているのか、しっかりとした営業基盤はあるのか、会社の経営者の資質はどうか、株主との関係性に問題はないか、

従業員はきちんと働いているのか、自行との間で今までどの位の取引実績があるのかというなどの企業に対する評価項目について、銀行員の主観に基づきながら点数付けを行います。

このうち、マクロな市場に関しては銀行との関係性だけで評価を変えるのは困難ですが、例えば、会社の競争力については銀行員に自社の事を理解してもらわなければ、

業界外の素人から見た時にどういう差別化をしているのかはわかりませんし、企業に対する評価項目については銀行員が会社に対して好印象を持っていれば高評価を狙えるという風に考えられます。
 

 

【格付けを良くするためにはどうすればよいのか】

 

 

銀行の格付け方法の概要については上記の通りでもちろん銀行によって評価の方法は多少異なります。

では、どうすれば銀行格付けを良くして、銀行から融資を受けやすい状態になるのでしょうか。

まず、銀行の担当営業マンに自社の格付けをあげるにはどうすれば良いのかストレートに聞いてみて対策を立ててください。

もちろん、銀行員との信頼関係ができていなかったり、いっさい銀行からの評価に関する情報を取引先に言わない様に銀行から厳命されているのならば答えてくれないかもしれませんが、

銀行員の立場からすれば取引先の格付けが上がって融資がしやすくなればノルマの達成も楽になるので銀行の営業マンからもメリットがないわけではありません。

よって、担当の営業マンによっては、明言はしなくてもここを少し直すと良い評価ができそうですという風にヒントを教えてくれる事もあると考えられます。

このようなヒントから格付けをあげる為に必要な対策を見つけ出す必要があります。

 

なお、一般的には銀行の格付けをあげるために必要だと言われている対策について説明します。

 

 

 

 

 

自己資本額を高める

 

自己資本額は企業の安定性、成長性の評価に大きな影響を与えます。

例えば、負債の部に入っている役員借入金を資本金する、役員借入金を免除する
増資するなどの方法によって自己資本額を高めると企業の財務基盤が安定するので銀行からの格付けが良くなるといわれています。
 

資産と負債のバランスを最適化する

貸借対照表について考えた時に、すぐに現金化できない固定資産よりも流動資産が多い方が、

すぐに返さなければならない短期借入金よりも返済期限がまだ先の長期借入金が多い方が評価される傾向にあります。

ゴルフに行かないのに保有しているゴルフの会員権や使う予定の無い土地の様な遊休資産は売却してしまった方が良いでしょう。

また、受取手形や売掛金などの債権を現金化する事によってキャッシュフローはよくなるので、

取引先と支払いサイトを短くできないか取引先と相談する事によって貸借対照表の見栄えを良くする事も可能です。

 

 

収益性を改善する

集積性を高めるためには資本に対して高効率で利益を生み出せるような体質を目指す必要があります。

要するに粗利率の高い商売をするという事なのですがこれに関しては上の2つの対策と異なりコントロールの難しい項目です。

例えば同じ原価の商品をより高単価で販売すれば粗利率は高まりますが、販売個数自体が減ると考えられるのでトータルで発生する経常利益の総額は減ってしまうかも知れません。

収益性の改善については売上を下げない様に少しずつ高収益体質を作り出すようにビジネスモデルのブラッシュアップを行う必要があります
 

 

 

【まとめ】

 

 

以上のように銀行の格付けの仕組みについて説明しました。

銀行の取引先は二極化していると言われていて格付けの高い債権回収リスクの低い所には積極的に融資を行っていて、格付けの低い債権回収リスクの低い所には融資に慎重になります。

特に銀行は融資した際の貸し倒れリスクを恐れるので格付けの高い企業と低い企業では扱いが異なります。
よって、格付けでどのような評価を受けるかによって、融資の受けやすさが大きく異なるので事業者は銀行の格付けを高くする必要があります。

この格付けの仕組みですが、格付けは財務諸表の数値を元に定量的な評価基準で評価を行う定量評価と、
銀行員の主観的な意見を数値化した定性的な評価基準の2種類の基準によって評価しています。

定量的な過去の財務諸表から、安全性、成長性、収益性、返済能力の4つの観点から評価数値を算出し基準数値との比較で企業の信用を評価します。

定性評価は市場の環境や、市場の中でも取引先のポジショニング、取引自体の能力について銀行員が主観的に点数づけを行います。

自社ではどうしようもない評価項目もありますが、自社と担当銀行員との関係性によって評価が高くなりやすい項目も存在します。

また、格付けを改善するためには、定性評価は銀行マンの主観なので究極的には対策を行って良くなる保証はありませんが、

定量評価については数字を改善すれば格付けが高くなる可能性が高いと考えられます。

なお、自社の格付けや改善策について知りたい場合は、銀行員も融資のノルマがあるので取引先の格付けが高い事に越したことはないので、

直接聞いてみれば何らかのヒントを貰える可能性があると考えられます。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

何か不明な点等が有れば、お気軽にメンターキャピタルまでお問合せ下さい!!