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違法なファクタリングには要注意!特徴と違法業者の見分け方を解説

最終更新日:2024年02月28日

ファクタリングは未回収の売掛金を資金化し、資金繰りやキャッシュフローを改善できる金融サービスです。
しかし、ファクタリングを装った違法な貸付を行う業者も存在しており、消費者庁や金融庁、警察庁などが注意喚起を行っています。

違法な貸付でないか判断するためには、ファクタリングの仕組みや関連法令の正しい知識を知ることが大切です。

この記事では、違法なファクタリングの特徴や違法業者の見分け方を紹介します。

そもそもファクタリングとは

そもそもファクタリングとは、売掛金(売掛債権)をファクタリング会社が買い取り、期日前に資金化する金融サービスを指す言葉です。
金融庁はファクタリングを、債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスと定義しています。[注1]

ファクタリングの種類によっては、最短即日での資金調達が可能です。
そのため、ファクタリングを正しく活用すれば、資金繰りやキャッシュフローを改善し、黒字倒産を回避することができます。

また、ファクタリング会社は利用者ではなく、売掛先の信用度を重視します。
赤字決算や税金の滞納により、金融機関の融資を受けることが難しい場合も、ファクタリングなら審査に通る可能性があります。

[注1] 金融庁.「ファクタリングに関する注意喚起」.https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html,(参照 2022-05-27)

ファクタリングを取り巻く法律について

ファクタリングに関連のある法律が、売買契約や債権譲渡について定めた民法です。
ファクタリングを取り巻く法律をわかりやすく解説します。

売買契約

ファクタリングに関連のある条項が民法555条です。
民法555条では、モノやサービスの対価として金銭をやりとりする「売買契約」について以下のように定めています。

「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
引用:e-Gov.「民法 」.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089,(参照 2022-05-27)

売掛金をファクタリング会社が買い取り、対価として金銭を支払うファクタリングも民法555条の売買契約に該当します。

債権譲渡

ファクタリングには、売掛金をファクタリング会社に譲渡する「債権譲渡」の側面もあります。

「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。」
引用:e-Gov.「民法 」.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089,(参照 2022-05-27)

民法466条の規定により、売掛金は売掛先の同意がなくてもファクタリング会社に譲渡できます。
ただし、第三者が同様の権利を主張した場合、相手方とのトラブルに発展する可能性があります。

その場合、民法467条で定められた第三者対抗要件を具備するか、利用者とファクタリング会社が債権譲渡登記を行う必要があります。

「債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」
引用:e-Gov.「民法 」.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089,(参照 2022-05-27)

金銭消費貸借契約

前述のとおり、ファクタリングは売買契約に基づく売掛金の譲渡であり、金銭の貸し借りをする金銭消費貸借契約ではありません。
ファクタリングと区別するため、民法第587条で定められた金銭消費貸借契約の内容を確認しておきましょう。

「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」
引用:e-Gov.「民法 」.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089,(参照 2022-05-27)
債権を担保とした金銭消費貸借契約として、債権担保融資(ABL)があります。ファクタリングと債権担保融資は異なる金融サービスです。

ファクタリングを装って違法な貸付を行った事例も存在するため、ファクタリングを利用する際は慎重に業者選びを行わなければなりません。
 

 

違法ではないファクタリング

金融庁や消費者庁は、ファクタリングを装った違法な貸付の注意喚起を行っています。
ファクタリングを正しく活用するため、違法ではないファクタリングの特徴や仕組みを知っておきましょう。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングとは、売掛金を保有する企業とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶファクタリングです。

2社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社が債権譲渡登記を行うため、売掛先(債務者)にファクタリングを利用したことが通知されません。

「債権譲渡登記による場合は、第三者対抗要件と債務者対抗要件の具備方法が分離されており、第三者対抗要件については、債務者を関与させることなく、譲渡人と譲受人との共同申請により債権譲渡登記をすることで具備することができる仕組みが採られています。」
引用:法務省.「債権譲渡登記制度について(Q2) 」.https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00047.html,(参照 2022-05-27)

取引相手との信頼関係を悪化させることなく、資金繰りやキャッシュフローを改善できます。
また、売掛先の承諾を得る必要がないため、申し込みから売掛金の買い取りまでスピーディーに手続きが完了し、最短即日での入金も可能です。

ただし、2社間ファクタリングは他のファクタリングサービスよりも手数料が高くなるのがデメリットです。2社間ファクタリングの流れは次のとおりです。

・ファクタリング会社に売掛金を譲渡する
・手数料を差し引いた金額が利用者の口座に入金される
・売掛先が売掛金を利用者の口座に振り込む
・利用者が売掛金の満額をファクタリング会社の口座に振り込む

3社間ファクタリング

一方、売掛金を保有する企業とファクタリング会社の2社だけでなく、売掛先も交えて行うのが3社間ファクタリングです。
3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に売掛金を譲渡する前に、あらかじめ売掛先への債権譲渡通知を行い、承諾を得る必要があります。
そのため、2社間ファクタリングと違い、ファクタリングを利用したことが取引相手に知られるのがデメリットです。
また、売掛先との合意形成が必要なため、入金まで1~2週間程度の時間がかかります。

しかし、3社間ファクタリングには2社間ファクタリングにないメリットもいくつかあります。

・売掛先がファクタリング契約に関与するため、貸し倒れのリスクが低く、ファクタリング手数料が安くなる
・売掛先から直接売掛金を回収できるため、債権回収の見込みが高く、ファクタリング会社の審査にとおりやすい

3社間ファクタリングの流れは次のとおりです。2社間ファクタリングとの違いは、売掛先が売掛金をファクタリング会社に直接入金する点です。

・利用者、売掛先、ファクタリング会社の3社間でファクタリング契約を締結する
・ファクタリング会社に売掛金を譲渡する
・手数料を差し引いた金額が利用者の口座に入金される
・売掛先が売掛金をファクタリング会社の口座に振り込む

ファクタリング業者が法律違反で逮捕された事例

コロナ禍による経営難や倒産危機に付け込み、違法なファクタリングを持ちかける業者も存在します。
実際にファクタリング業者が法律違反で逮捕された事例も存在します。

「買い取り」を装って「貸付」を行うケースや、違法な給与ファクタリングを行うケースに注意しましょう。

「買い取り」ではなく「貸付」をしているが、2社間ファクタリングを装っている

ファクタリングは売掛金を譲渡し、その対価として金銭を得る売買契約です。
しかし、売掛金の「買い取り」を行うとして2社間ファクタリングを持ちかけ、実際は「貸付」を行う違法なファクタリング会社が存在します。

貸付を行う場合、利息制限法により、年利は最大20%までに制限されています。
ファクタリング契約は貸付ではないため、利息制限法の対象ではありません。

ファクタリング契約を装い、年利20%を超える高額な貸付を行う違法業者に注意が必要です。

実際、2017年にファクタリングを装った違法業者が全国で初めて摘発され、貸金業法違反(無登録営業)または出資法違反(超高金利)の疑いで逮捕されています。

ファクタリングを初めて利用する方は、あらかじめ契約書を確認し、「債権買取」と記載されているか、「貸付」になっていないかを確認しましょう。
また、売掛金と異なる担保が求められたり、保証人を立てることが要求されたりした場合も、通常のファクタリング契約とは異なる契約である可能性があります。

「貸金業」登録をしていない業者が給与ファクタリングを行った

違法なファクタリングの代表例が「給与ファクタリング」です。
給与ファクタリングとは、個人の給与を労働債権として期日前に買い取り、現金化する金融サービスを意味します。

給与ファクタリングは債権を譲渡し、資金化する通常のファクタリングではなく、資金の貸付を行う「貸金業」に該当します。

「給与ファクタリングでは、譲受人から労働者への金銭の交付だけでなく、譲受人による労働者からの資金の回収を含めた資金移転のシステムが構築されているということができ、これは経済的に貸付けと同様の機能を有しているため、給与ファクタリングを業として行うものは、貸金業に該当すると考えられます。」
引用: 金融庁.「ファクタリングに関する注意喚起」.https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html,(参照 2022-05-27)

貸金業の登録をせず、給与ファクタリングと称するサービスを提供するファクタリング会社は法令に違反しています。
また、給与ファクタリングには、高額な手数料を請求する事業者や、悪質な取り立てを行う事業者も少なくありません。

違法なファクタリングを行う業者の注意点

それでは、違法なファクタリングを行う業者をどうやって見分ければよいのでしょうか。違法業者を見分けるためのポイントを5つ紹介します。

1. 手数料の金額が高い

ファクタリングを利用し、売掛金を譲渡するには、所定のファクタリング手数料の支払いが必要です。
もし手数料の金額が相場よりも高すぎる場合は、違法なファクタリング会社の可能性があります。

2社間ファクタリングの場合は10%~20%程度、3社間ファクタリングの場合は15%以下の手数料が目安です。

2. 契約書がない、もしくは内容が不透明

ファクタリングは売掛金を譲渡し、売却金を得る売買契約です。
そのため、ファクタリング契約を締結する際は契約書を取り交わし、売掛金の存在を証明するための書類などの提出が必要です。

契約書がない場合や、必要書類の提出が求められない場合は違法業者の可能性があります。

3. 会社の詳細がわからない

ファクタリングを利用する前に会社のホームページを閲覧し、事業者の所在地や代表者の氏名などを忘れず確認しましょう。
もし会社情報が記載されていないか、詳細が曖昧な場合は、ファクタリングを隠れ蓑にした違法業者の可能性が高まります。

また、日本貸金業協会が公開している「ヤミ金(悪質業者)の実例検索」のページを利用し、該当していないか確認する方法も効果的です。

4. 担当者の対応がおかしい

ファクタリング契約を締結する場合は、ファクタリング会社の担当者の様子も判断材料の一つになります。
担当者の対応がおかしい場合や、ファクタリング契約についての説明が曖昧な場合、「買い取り」ではなく「貸付」を提案してくる場合は、そのファクタリング会社を利用しないようにしましょう。

5. 分割返済が可能である

ファクタリング契約では、売掛先から売掛金の支払いがあった後、原則として一括払いでファクタリング会社に売掛金を入金する必要があります。
もし売掛金の分割返済が可能な場合や、分割返済を持ちかけられた場合は、ファクタリングを装った貸金業者などの可能性があります。

悪質な取り立てを受けた場合の対処法

「督促の電話が多い」「深夜に督促の電話がある」など、ファクタリング会社から悪質な取り立てを受けた場合は、すみやかに警察に相談しましょう。
ファクタリング会社の過剰な債権回収により、業務に支障が生じた場合は、恐喝罪や恐喝罪に該当する可能性があります。

金融庁のホームページでも、以下のような注意喚起がされています。

「最高裁判所の判例では、権利の実行について、権利の範囲又は社会通念上一般に、忍容すべきものと認められる程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪又は脅迫罪が成立することがあるとされています。悪質な取立ての被害に遭った場合には、警察に相談をお願いいたします。」
引用:金融庁.「ファクタリングに関する注意喚起」.https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html,(参照 2022-05-27)

金融庁の注意喚起のとおり、悪質な取り立ての被害に遭った場合は警察に相談することが大切です。
また、金融庁の金融サービス利用者相談室や、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターなどに相談することもできます。

違法なファクタリング業者には注意!見分け方を身につけよう

ファクタリングを正しく利用すれば、資金繰りやキャッシュフローを改善できます。
ファクタリングを装った貸付や給与ファクタリングは違法です。

違法な貸付とファクタリングの違いを知り、信頼できるファクタリング会社を利用することが大切です。
Mentor Capitalではお客様に安心して取引が行えるよう、お客様へのご説明やご提案を丁寧に行っております。
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